今日の「聴き比べ」は井上陽水の『心もよう』です。
この曲を初めて聴いたのは、学生時代に聴いていた深夜放送だったと思います。
かなりの衝撃でした。それまでにも陽水の曲では『傘がない』など印象に残る曲が合ったのですが、この曲はその中でも極め付きでした。
発表されたのが1973年です。アルバムは3枚目の『氷の世界』でした。
1973年というと、既にプロテスト・ソングの時代は去り、ニュー・フォークと呼ばれる吉田拓郎や泉谷しげる、かぐや姫などいわゆるフォーライフ・レコードの全盛期でした。その中に井上陽水も入っていたのですが、拓郎や泉谷、かぐや姫などはまだまだフォークっぽさを感じさせていましたが、陽水の曲はどこか洗練されていて、彼らとは違った趣がありました。これがいわゆるJポップの始まりではないかと勝手の解釈しています。
そしてこの曲は特に詩がよくて、自分の学生時代の実体験をダブらせながらしみじみと聴いていました。泣けてきます。
心もよう
作詞・作曲:井上陽水
さみしさのつれづれに
手紙をしたためています
あなたに 黒いインクがきれいでしょう
青いびんせんが悲しいでしょう?!
あなたの笑い顔を不思議なことに
今日は覚えていました
19才になったお祝いに
作った歌も忘れたのに
さみしさだけを手紙につめて
ふるさとにすむあなたに送る
あなたにとって見飽きた文字が
季節の中で埋もれてしまう
遠くで暮らす事が
二人に良くないのはわかっていました
くもりガラスの外は雨
私の気持ちは書けません
さみしさだけを手紙につめて
ふるさとにすむあなたに送る
あなたにとって見飽きた文字が
季節の中で埋もれてしまう
あざやか色の春はかげろう
まぶしい夏の光は強く
秋風の後 雪が追いかけ
季節はめぐり あなたを変える
この曲を大好きなテレサ・テンちゃんがカバーしています。女性が歌うとまた一味違ってきます。
そしてもう一人、これも好きだった高田みずえちゃんがカバーしました。相撲界の女将さんになってしまいました。
今聴いても、胸が苦しくなります。
このアルバムには以前聴き比べた『白い一日』の他に『小春おばさん』という曲があります。目立たない曲ですが好きな曲です。
それでは今日はこの辺で。