先日のキネ旬シアターは『戦場のメリークリスマス』でした。
監督:大島渚
原作:ローレンス・ヴァン・デル・ポスト「影さす牢格子」「種子と蒔く者」
出演:デヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけし、トム・コンティ
製作:1983年 日本、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド
なんで今頃この映画が再上映されるのかと思ったら、4K修復版ということだそうです。確かに画像はきれいになったようです。
大島作品は1959年の『愛と希望の街』以来すべて観ていますので、当然この映画も観ていました。といっても、リアルタイムで観たのは1969年の『新宿泥棒日記』『少年』あたりからだったと思います。
当時の学生運動に参加していた左翼系の高校生、大学生には絶大なる人気を誇った監督でした。「政治の季節」が終焉を迎えると、『愛のコリーダ』や『愛の亡霊』といった性を題材にした問題作を製作しました。
そしてこの『戦場のメリークリスマス』も日本軍のジャワ島における俘虜収容所での日本軍の兵士と俘虜との軋轢と友情を描いた映画ですが、そう単純なものではなく、日本軍の俘虜に対する扱いなども遠慮なく描いています。残酷すぎるシーンも幾度となく登場します。ストーリーは今更ながらなので省略します。話は原作者の体験に基づいています。
当時興味深かったのはキャストの意外性でした。デヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけし、内田裕也、三上寛、ジョニー大倉など、いわゆる役者としては素人の連中を多く起用しました。果たしてどうなのかと心配しましたが、すべては杞憂でした。見事にはまりました。素人くさい演技が逆に真に迫っていました。特に坂本龍一とビートたけしの演技は注目です。
この映画は一応戦争映画ですが、戦闘シーンは一切ありません。大島作品最大のヒット作でした。もう、あれから40年近く経つのですね。月日の経つのは早いものです。懐かしくて涙が出そうでした。
音楽は当然坂本龍一です。
大島監督、生きていたら次はどんな作品を撮ったでしょう。
それでは今日はこの辺で。