今日の「聴き比べ」は岡林信康大先生の『私たちの望むものは』です。
岡林先生の「聴き比べ」はいったい何曲になったでしょう。
ボブ・ディランがフォークからロックへと舵を切ったように、岡林先生も１９７０年、それまでの生ギター１本のフォークからはっぴいえんどをバックに従えロックへと変身しました。ちょうどボブ・ディランがザ・バンドとコンビを組んだように。
この曲が歌われたのはちょうど私の高校生時代で、それまでも『手紙』や『チューリップのアップリケ』などいわゆるプロテスト・ソングに大きな影響を受けていましたが、この『私たちの望むもの』には大きく心が揺さぶられました。時は学生運動華やかかりし頃、激しく時代が変わろうとしている中、自分も何かをしなくてはと焦り、それでも希望に満ちた、そんな青臭い青春時代でした。
この曲を収録したアルバム『見るまえに跳べ』はジャックスの早川義夫さんのプロデュースでジャックスの名曲『ラヴ・ゼネレーション』や『堕天使ロック』などもカバーしています。勿論『それで自由になったのかい』や『おまわりさんに捧げる歌』などのメッセージソング、名曲『自由への長い旅』、そして究極のラヴソング『愛する人へ』も収録した名盤です。
私たちの望むものは
作詞：岡林信康
作曲：岡林信康
私たちの望むものは 生きる苦しみではなく
私たちの望むものは 生きる喜びなのだ
私たちの望むものは 社会のための 私ではなく
私たちの望むものは 私たちのための 社会なのだ
私たちの望むものは 与えられることではなく
私たちの望むものは 奪いとることなのだ
私たちの望むものは あなたを殺すことではなく
私たちの望むものは あなたと生きることなのだ
今ある不幸に とどまってはならない
まだ見ぬ幸せに 今跳び立つのだ
私たちの望むものは くりかえすことではなく
私たちの望むものは たえず変わってゆく ことなのだ
私たちの望むものは 決して私たちではなく
私たちの望むものは 私でありつづける ことなのだ
今ある不幸に とどまってはならない
まだ見ぬ幸せに 今跳び立つのだ
私たちの望むものは 生きる喜びではなく
私たちの望むものは 生きる苦しみなのだ
私たちの望むものは あなたと 生きることではなく
私たちの望むものは あなたを殺すことなのだ
今ある不幸に とどまってはならない
まだ見ぬ幸せに 今跳び立つのだ
私たちの望むものは
私たちの望むものは…
オリジナル録音
フォーク・ジャンボリーでのはっぴいえんどとのライヴ
１９７０年大晦日 共立講堂でのライヴ。
泉谷しげる先生もカバーしています。泉谷節全開です。歌詞を間違えているところがあります。
松山千春と山本コータローです。松山千春は小学校の時に岡林を生で聴いてフォークに嵌ったようです。歌詞は短縮版です。
こんな映像を見つけました。黒川舞さんという方がカバーしていました。こんな若い女性がこの曲を歌うなんて驚きです。
岡林先生がこれから先『私たちの望むものは』を歌うことはないでしょう。時は移りにけり、なのです。
それでは今日はこの辺で。
