Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

アメリカン・メロハー『ファントムズ・オペラ(Phantom's Opera)/Following Dreams』

CD棚整理、第2弾はファントムズ・オペラ(Phantom's Opera)/Following Dreams』です。1998年のリリースです。 

01.Ai To Yume No Sekai

02.Play My Guitar

03.I'm So Tired

04.Heartache

05.I've Had My Share

06.Life Is So Natural

07.Following Dreams

08.You're In REM Again

09.My Love, Is It You?

10.Have You Ever Been Alone?

11.In The Middle Of The Night

12.Land Of The Damned

13.Land Of The Damend (Hidden Track)

 

メンバーは

コ-リー・ブライス(Colie Brice,vo)

ジャック・ヤング(Jack Young,key,vo)

ボビー・ギルマーティン(Bobby Gilmartin,g,vo)

エリック・ヴァルツ(Eric Walz,b)

ボブ・ネルソン(Bob Nelson,ds,vo)

です。

 

ファントムズ・オペラの結成は古く、キーボードプレイヤーのジャック・ヤングがボン・ジョヴィアレック・ジョン・サッチ(b)ティコ・トーレス(ds)などが、1968年に結成したのが始まりです。

ただメンバーの入れ替えは激しく、結局アレックスとティコはボン・ジョヴィに正式に参加したため、バンドの活動は停止します。

その後ジャックはGeminiというバンドのレコーディングに立ち会い、コーリー・ブライスと知り合います。そしてコーリーとともにファントムズ・オペラの再編に向かいます。さらにGeminiのドラマー、ボブ・ネルソン、ベーシストにフランク・ディル、そしてギターにマイケル・ロメオを加入させます。マイケルは後にシンフォニーXに加入することになります。その後ベースがフランクからエリックに代わります。

 

そして1991年にデビューアルバムが完成します。しかし、世の中はメロディアス・ハードには冷たく、リリースには至りませんでした。結果、メンバーは続々と退団してしまいます。マイケル・ロメオもソロアルバムを制作、そしてシンフォニーXへと向かいます。

残されたジャックは不遇な時を過ごしますが、以前にバンドに在籍したことのあるディーン・ファザーノに欧州のレーベル、ロング・アイランドを紹介され、以前のデビューアルバムのリリースが叶うのです。これがきっかけで去って行ったメンバー(コーリー、ボブ、エリック)が戻り再びファントムズ・オペラは再始動します。

 

そしてセカンドアルバム『So Long to Broadway』が1997年にリリースされます。

 

そしてサードアルバムが『Following Dreams』という訳です。

 

見事にメロハーです。クイーン風もあり、プログレ風もあり、ポップチューンもありです。

1曲目のタイトルは明らかに日本を意識しています。おそらくこのバンドはアメリカでは売れなかったでしょうね。欧州または日本向きです。

 

メロハー好きの私がこのようなアルバムを眠らせていたなんて不覚でした。

 

まだまだあります。ボチボチいきます。

 


Phantom's Opera - I'm So Tired


Phantom's Opera - Portrait Of Dorian Grey.wmv


Phantom's Opera - Love's a Painful Game

 

 

それでは今日はこの辺で。

映画 『海よりもまだ深く』を観る

今日のキネ旬シアターは海よりもまだ深くでした。

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監督・脚本:是枝裕和

主演:阿部寛真木よう子樹木希林

制作:日本 2016年公開

 

是枝裕和監督が追い続ける、家族をテーマとした映画です。是枝作品も結構な数になりました。

 

阿部寛演じる篠田良多は15年前に島尾敏雄文学賞を受賞しましたが、その後は鳴かず飛ばずで、今は取材ということを名目にした興信所で働いています。しかし小説の方はさっぱり進みません。妻(真木よう子)からは離婚され、月に1度だけ息子の養育費を払うという口実で息子に会わせてもらっています。

 

しかし良多は大のギャンブル好きで、すべてギャンブルにつぎ込み5万円の養育費を都合するのにも一苦労です。当然家賃も滞納、興信所の後輩から借金してなんとか暮らしている状態です。そういうダメな男に愛想をつかして離婚されたのでした。

 

息子の誕生日のプレゼントを何とかしたくて、一人暮らしをする母親(樹木希林)のところへ行って金目の物を物色したり、姉に借金を申し込んだりしますがうまくいきません。

 

良多は興信所の仕事を活かして妻の素行調査をし、妻に新しい恋人が出来たことを知り激しく嫉妬します。妻に対する未練もたっぷりです。

 

月に1度の面会の日に、養育費は工面できませんでしたが、興信所の浮気調査で知り得た情報を、本人に買い取ってもらうという、いわば恐喝のようなことまでしてなんとか息子にプレゼントだけは買い与えることが出来ました。

 

その帰り、良太は息子を母の住む団地に連れていきます。息子は母に懐いています。そして妻が息子を迎えに来て一時をを過ごしますが、台風が近づいてきて帰れなくなってしまいます。やむを得ず狭い団地で一晩を過ごすことになりました。

 

良多は妻の気を引こうと色々気を揉みますが、妻は既にその気はなく冷たいものです。ただ母親にはいろいろ良くしてもらって申し訳なく思っています。母から「あなたたちはもう駄目なの?」、と聞かれて「はい」と答えるしかありません。息子を心配する母もこれで諦めがつきました。

 

夜中、トイレに起きた息子に、公園に行ってみないかと誘います。嵐の中です。公園の大きな滑り台の中で親子の会話をします。息子に「お父さんはなりたい自分になれた?」と聞かれます。良太は「まだなれていない。でも、なりたいと思う気持ちで生きていくことが大切なんだ」と言います。息子は「そうなんだ」と答えます。

 

そこに妻が迎えに来て、元夫婦の会話があります。「どうしてこうなっちゃったんだろうね?」。妻には「もう前を向かせてよ」と言われてしまいます。良多は「分かった、分かってた」と答えます。これで良多も踏ん切りがついたのでしょう。

 

翌朝、台風一過の中、母親に見送られ3人は帰っていきます。良多の足取りは心なしか軽やかでした。

 

これといったストーリーはありません。とにかく日常です。料理を作るシーン、おやつを食べる場面、植木に水をやる場面、知人と立ち話をするシーン、すべてが日常です。これらのシーンに「あー、あるある」と思わずうなずいてしまいます。

舞台となる清瀬の団地は是枝監督が19年間住んでいたところらしいです。この団地の狭い一室が猶更日常を感じさせます。このような日常風景を撮らせたら天下一品です。

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母親役の樹木希林が素晴らしい。何とも自然で、年々演技に磨きがかかっています。その母親の言葉で「幸せになるためには何かを諦めなきゃならないのよ」という名言が残ります。

 

是枝監督の常連、リリー・フランキーが興信所の所長役で出演しています。ここでも名言。「男は誰かの過去になる勇気を持たなきゃだめだ」。カッコよすぎます。

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さらに良太が叫ぶ言葉、「そんなに簡単になりたい大人になんかなれないぞ!」。良太が高校生から恐喝まがいで金をふんだくった後、その高校生に「あんたみたいな大人にだけはなりたくない」と言われて、返した言葉。

 

良多は父親が、やはり金遣いが荒く、その分母親が苦労したことを知っています。父親のようにだけはなりたくない、と思って生きてきました。だから公務員になりたかったのに。ところがやっていることは父親そっくり。そんな自分に嫌気がさしていました。

 

映画のラストで良太が家から持ち出した父親の硯を質屋に持っていきました。質屋は父親の昔からの馴染みの店で、主人(ミッキー・カーチス)も父親のことはよく知っています。硯を見て、「これはいいものだ、30万」と言います。びっくりする良太。さらに主人は良太が文学賞をもらった時にその本を買い集め、近所の人たちに配って歩いたことを聞かされます。そしてその硯で摺ってこの本にサインしてくれと頼まれます。硯を摺りながら良太は父親を許せる気持ちになったのでしょうか。

 

現実(今日)を見ないで夢(明日)ばかり見続ける男。「愛だけでは大人は生きてはいけないのよ」と突き放す女。なりたい大人になれていない自分へのいら立ち。何か身につまされます。なりたい自分になれましたか?と自問しても虚しく響きます。

 

この映画は名言の集まりです。いっぱいいい言葉があったのですが、残念ながら忘れました。記憶力の低下を嘆きます。

 

海よりもまだ深く」というのはテレサ・テンの「別れの予感」の一節でした。この曲が流れているときに、母親が良太に「海よりも深く人を愛したことなんてある?」と聞きます。「私はないわ、そんな人滅多にいないと思う。ないから生きていける。」。う~ん、そうか。

 

阿部寛のダメ男ぶりはサマになっていました。

 

エンディングのハナレグミの主題歌『深呼吸』が何とも切ない。

 

今、キネ旬シアターでは「是枝裕和監督作品特集」をやっています。

 

来週はいよいよ『万引き家族』を観に行く予定です。

 

 

 


映画『海よりもまだ深く』予告編


ハナレグミ – 深呼吸 【Music Video Short ver.】

 

海よりもまだ深く [DVD]
 

 

 

それでは今日はこの辺で。

リチャード・アンダーソンと『タイム・レクイエム(Time Requiem)』

ちょこちょこと掘り出しているのではなく、この際思い切りレコード・CD棚の整理をしようということで整理を始めようと思います。まだ生前整理というわけではありませんが、どのように整理しようか暗中模索中です。

その作業の中で今では全然聴いていないCDがゾロゾロと出て来ました。せっかくなので、それらを死ぬまでに一度はと今聴いているところなのですが、中にはこれはいいね!というのがありましたので、それらを少しずつ紹介したいと思います。

 

まず第1弾は『タイム・レクイエム(Time Requiem)/タイム・レクイエム(Time Requiem)』です。2002年のリリースです。

01.Time Requiem

02.Watching The Tower Of Skies

03.Milagros Charm

04.The Aphorism

05.Brutal Mentor

06.Visions Of New Dawn

07.Grand Opus

08.Interplay Of Matters

09.Above And Beyond

10.Losers Shades Of Hell *

* 日本盤ボーナストラック

 

メンバー

リチャード・アンダーソン(Richard Andersson,key)

アポロ・パパナサシオ(Apollo Papathanasio,vo)

マグナス・ノード(Magnus Nordh,g)

ディック・ロウグレン(Dick Lövgren,b)

ピーター・ウィルドアー(Peter Wildoer,ds)

プロデュースはリチャード・アンダーソンです。

 

タイム・レクイエムはスウェーデンのネオ・クラシカル、プログレッシヴ、パワーメタルを併せ持ったようなヘヴィメタルバンドです。

 

中心メンバーのリチャード・アンダーソンは元々はクラシックを学ぶキーボード奏者です。

1998年にマジェスティック(Majestic)を結成します。このマジェスティックはアルバムを2枚リリースします。このバンドの評判は良かったのですが、リチャード・アンダーソンがビジネス上のトラブルに見舞われマジェスティックという名前は使えなくなり、新たなバンドを結成する必要が出て来ました。そしてマジェスティックのメンバー3人(アポロ、マグナス、ピーター)を引き連れ、さらにディックを加えてタイム・レクイエムというバンド名で再スタートを切ります。

つまりタイム・レクイエムはマジェスティックのバンド名が変わったようなものです。

 

1曲目から9分を超える大作です。2曲目も8分とこれまた大作です。マジェスティックを聴いていないので比較は出来ませんが、キーボードを前面に押し出し、プログレッシヴ・メタル風です。パワーメタルの要素も十分です。

バンド名から想像するともっと小難しいのかなと思ったら全然聴きやすいです。シンフォーニーXやドリーム・シアターに似たところがあります。

 

バンドはこの後3枚のアルバムをリリースします。

  

忘れているぐらいですから当然買っていません。

 

リチャード・アンダーソンはタイム・レクイエムと並行してタリスマンのマグナス・ニクルソン(Magnus Nilssong)とライジング・フォース、タリスマンのマルセル・ヤコブ(Marcel Jacob,b)、フラワー・キングスのゾルタン・チェルツ(Zoltan Csorsz,ds)それに後にライオンズ・シェアに行くパトリック・ヨハンソン(Patrik Johansson,vo)と共にスペースオデッセイ(Space Odyssey)を結成して活動しています。

  

これらも当然ながら未購入です。

 

今回出てきたⅭⅮにはプログレやゴシック系のメタルが多いのです。この手はそれほど大好きというわけでもではないので、こんなの買ったのか、なんて不思議な気持ちになります。

 

ぼちぼち紹介していきます。

 


Time Requiem - Time Requiem


Time Requiem - Watching the tower of skies


Time Requiem - Brutal Mentor

 

 

それでは今日はこの辺で。

『この胸のときめきを/エルヴィス・プレスリー』映画「エルヴィス・オン・ステージ」主題歌集

今日は珍しくプレスリーについて書いてみたいと思います。

私のプレスリーとの出会いは、1971年、映画『エルヴィス・オン・ステージ』でした。高校生でした。この映画ですっかりプレスリーに嵌ってしまいましたが、この映画の話をすると、私などより年上の連中にはよく馬鹿にされました。「あんなのはプレスリーじゃない」とか「昔はもっとカッコよかった」とか「もっと痩せてた」とか。でも私たちの年代ではこれがライヴのプレスリーのデビューでした。

しかしこの映画以前にプレスリーを観たことが無く、歌はラジオから流れてくるのを聴く程度でしたので、名前を知っていたという程度です。もちろん大歌手で映画俳優だということは知っていました。

友人のI.K君と観に行ったと記憶しています。二人とも帰りはプレスリーに成りきっていました。それほどカッコよかったのです。そしてさっそくレコードを買いました。

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Side A

1.I Just Can't Help Believin'  君を信じたい

2.Twenty Days And Twenty Nights  20昼夜

3.How The Web Was Woven  恋のはた織り

4.Patch It Up  パッチ・イット・アップ

5.Mary In The Morning  マリー・イン・ザ・モーニング

6.You Don't Have To Say You Love Me  この胸のときめきを

 

Side B

1.You've Lost That Lovin' Feelin'  ふられた気持ち

2.I've Lost You  去りし君へのバラード

3.Just Pretend  ジャスト・プリテンド

4.Stranger In The Crowd  群衆の中のストレンジャー

5.The Next Step Is Love  恋へもう一歩

6.Bridge Over Troubled Water  明日に架ける橋

 

参加ミュージシャンは

ジェームス・バートン(James Burton,g)

ジョニー・ウィルキンソン(John Wilkinson,g)

ジェリー・シェフ(Jerry Scheff,b)

ロン・タット(Ron Tutt,ds)

グレン・ハーディン(Glen D.Hardin,p)

チャーリー・ホッジ(Charlie Hodge,g,vo)

バックコーラスに

スウィート・インスピレーションズ(The Sweet Inspirations)

インペリアルズ(The Imperials)

 

ジェームス・バートンはグラム・パーソンズのレコードでもギターを弾いてます。

 

このレコードは正確に言うと映画『エルヴィス・オン・ステージ』のサントラ盤ではありません。日本語のタイトル副題も主題歌集となっています。

 

映画はエルヴィス・プレスリーが映画出演の契約が終了し、1970年にステージに復帰したときの模様をドキュメント風に描いた作品です。場所はラスベガス・インターナショナル・ホテルでの「エルヴィス・サマー・フェスティバル」の公演です。そのリハーサルの模様から本番のコンサート風景までをデニス・サンダース監督が制作した記録映画です。

映画で使われた曲とこのレコードでは曲目が若干違っています。

 

A-1はビリー・J・トーマスのヒット曲。これはコンサートからの曲です。バリー・マンとシンシア・ワイルの曲。

A-2は映画には登場しませんでした。ベン・ワイズマンとクリーヴ・ウェストレイクの共作。

A-3はリハーサルシーンで使われた曲。これもとクリーヴ・ウェストレイクの曲です。

A-4はコンサートから。映画の目玉曲になっています。とにかくカッコいい。

A-5はジョニー・シンバルとマイケル・ラスコーの曲。映画でも使われていましたが、これはスタジオ録音です。名曲。

A-6は言わずと知れた名曲。これは映画ではちょっとだけリハーサルで歌っていました。このレコードではスタジオ録音です。当時はダスティ・スプリングフィールドのヒット曲とは知らずに、プレスリーでヒットした曲だと思っていました。

 

B-1はライヴ音源です。これもバリー・マンとシンシア・ワイルの曲。

B-2はこれもライヴ音源です。「新曲です」という紹介で始まります。ケン・ハワードとアラン・ブレイクリーの曲です。

B-3は映画では使われませんでした。ダグ・フレットとガイ・フレッチャーの曲。

B-4はリハーサル風景で使われた曲です。ウィンフィールド・スコットの曲。

B-5はリハーサルシーンでちょっとだけ使われました。ポール・エヴァンスとポール・バーンズの共作です。

B-6はサイモン&ガーファンクルの名曲。このような曲も取り上げるところがプレスリーの凄いところ。このレコードでの拍手は後から被せたものです。

 

この時の衣装は今見るとちょっと引きますが、これが当時はバカ受けで、日本でもにしきのあきらなどが真似て似たような衣装を着ていました。

 

このラスベガスのショーのライブ盤はもう1枚発売されました。

 

そして 30年後には完全盤が発売されました。『エルヴィス・オン・ステージ 30Anniversary Edition』です。

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これは3枚組CDボックスではCD1がアルバム『エルヴィス・オン・ステージ』 にボーナストラックを7曲追加したものです。

CD2はラスベガス・インターナショナル・ホテルの8月12日のミッドナイトショーコンサートのライブ音源22曲をすべて収録しました。映画は8月11日~13日に行われた6回のショーから撮られていますが、この8月12日のミッドナイトショーからのテイクが一番多かったようです。

CD3は映画のために録音はしたが未発表になっている9曲と、リハーサル風景の16曲を収録しています。

 

しかし、このコンサートの7年後にプレスリーは亡くなりました。42歳でした。処方薬の過剰投与とのことでした。晩年は過食症ですっかり太ってしまい、若い頃のスリムな体からは想像もできない体型になってしまいました。すべてはストレスから来たとのことです。あまりにも早い死でした。

 

50年代から60年代にかけてプレスリーがロック界のみならず音楽界に与えた影響はビ-トルズと並んで偉大なものでした。とくに50年代後半の古いアメリカに新風を吹き込んだ功績は大きかったのではないでしょうか。なにしろプレスリーが音楽に合わせて振る腰つきが猥褻だと言って、テレビでは「下半身は写すな」といった具合にまだまだアメリカでも保守的な時代でしたから。それでも若者は熱狂し、プレスリー等の活躍で次第にロックンロールが市民権を得るようになったのです。

 

私もこの映画以降、後追いでプレスリーのレコードを買い漁りました。これ以前のロックンロールやバラードはやっぱりいいですね。

そして遂に50年代の5枚組CDボックスへと行き着いてしまいました。『King of Rock 'n' Roll The Complere 50's Masters』です。

 

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最近ではあまり聴く機会もありませんが、今回記事を書くにあたって聴き直しましたが、やっぱりいいです。本物です。ずいぶん昔ですが、NHKでもプレスリーがカムバックしたときのアコースティックライヴを放映したのを憶えています。

 

 


Elvis Presley - You've Lost That Lovin' Feelin' (Thats the Way It Is 1970)


Elvis Presley - Polk Salad Annie Live (High Quality)


Elvis Presley Sweet Caroline 1970 HQ Live


You Don't Have To Say You Love Me (Elvis RPO version)

 

 

エルヴィス・オン・ステージ?30th Anniversary Edition

エルヴィス・オン・ステージ?30th Anniversary Edition

 

 

King of Rock 'n' Roll

King of Rock 'n' Roll

 

 

 

それでは今日はこの辺で 。

 

 

サントラ盤『欲望』&『砂丘』

今日の「ロックが詰まったサントラ盤」はミケランジェロ・アントニオーニの2作品です。

ミケランジェロ・アントニオーニといえば私を難解(私にとって)な映画に引きずり込んだ監督です。そしてその監督の作品の中で最初に見た作品が今日の1本目、『欲望』です。そして続いて観たのが『砂丘』です。

 

まずは『欲望(Blow Up)』です。

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Side A

1.Main Title

2.Verushka (Part 1)

3.Verushka (Part 2)

4.The Naked Camera

5.Bring Down the Birds

6.Jane's Theme

 

Side B

1.Stroll On - The Yardbirds

2.The Thief

3.The Kiss

4.Curiosity

5.Thomas Studies Photos

6.The Bed

7.End Title

 

映画は

監督:ミケランジェロアントニー

制作:カルロ・ポンティ

主演:デヴィッド・ヘミングスヴァネッサ・レッドグレイヴジェーン・バーキン

制作:1966年 イギリス、イタリア 日本公開1967年

 

アントニオーニ初めての英語作品です。カラー作品としては『赤い砂漠』に次ぐ2作品目です。カンヌ映画祭のグランプリを受賞しました。

アントニーニは一貫して『不条理な世界』と『愛の不毛』をテーマに映画を撮り続けましたが、この『欲望』も「不条理な世界」に満ち溢れていました。

アントニオーニについては先日に記事で書いていますのでご参考までに。

 

lynyrdburitto.hatenablog.com

 

この映画を観た日は訳が分からず、夜も眠れませんでした。どうしても納得できず後日もう一度観に行きました。そして自分なりの結論を出しました。これ以降この手の考えさせられる映画のとりこになっていったのです。

内容はというと、ある人気カメラマン・トーマスが散歩がてら公園を散歩ていると、一組のアベックを見かけます。二人のキスシーンをカメラに収めますが、気が付いた女がフィルムを返せと言ってきます。トーマスは断ります。すると女は自宅まで取りに来ます。仕方が無いのでヌード写真を撮らせる代わりにと偽のフィルムを渡します。その後そのフィルムを現像してみます。すると、女の目線の先に何かが見えます。そこを拡大(原題のBLOW UP)すると銃口が見えます。さらにそばには男の死体が横たわっています。慌てたトーマスは早速公園に行ってみると、実際に死体がありました。その死体は公園で女とキスをしていた男でした。トーマスは友人に知らせるために尋ねると、ドラッグパーティをやっていました。トーマスも寝込んでしまい、翌朝再び公園に行ってみると、死体は消えていました。

するとモッズ族の若者たちが車に乗って現れ、テニスコートでテニスを始めました。しかしボールはありません。見えないボールを打ち合っているのです。すると次第にトーマスにもボールを打ち合う音が聞こえてくるようになりました。そしてボールも見えるようになりました。若者がボールを拾ってくれと頼むと、トーマスは見えないボールを拾い投げ返すのでした。

いったい何が言いたいのでしょう、と寝ないで考えました。現実と幻想。レンズを通して見た世界は虚構なのか、肉眼で見た世界は果たして真実なのか、などなど無い頭で色々考えさせられました。以前ちょっとだけその辺を書いたことがありました。

lynyrdburitto.hatenablog.com


BLOW UP - Official Trailer (1966)

音楽の方はというと、ロックがいっぱい詰まったと言いながら、ロックはヤードバーズ(The Yardbirds)の1曲だけです。

あとはハービー・ハンコック(Herbie Hancock)の曲とアレンジです。

参加ミュージシャンは

フレディー・ハバード(Freddie Hubbard,trumpet)

ジョー・ニューマン(Joe Newman,trumpet)

フィル・ウッズ(Phil Wodds,alto sax)

ジョー・ヘンダーソン(Joe Henderson,tenor sax)

ジム・ホール(Jim Hall,guitar)

ロン・カーター(Ron Carter,bass)

ジャック・デジョネット(Jack DeJOHNETTE)

です。

好きなミュージシャンばかりです。

 

ヤードバーズ(THe Yardbirds)の方はというと、この時のメンバー

キース・レルフ(Keith Relf,vo)

ジェフ・ベック(Jeff Beck,g)

ジミー・ペイジ(Jimmy Page,g)

クリス・ドレンジャ(Chris Drenja,b)

ジム・マッカーティ(Jim McCarty)

でした。

ジェフ・ベックジミー・ペイジのツインリードは珍しく、映像が残っているのも貴重です。

この「ストロール・オン(Stroll On)」という曲はこの映画のために録音されたもので、当時はこのサントラ盤でしか聴けませんでした。後に編集盤にも収録されるようになりましたが。

出演シーンはトーマスが女を探すために入ったマーキークラブでヤードバーズが演奏しているという設定です。ジェフ・ベックがアンプの不調に怒ってギターを叩き壊すというシーンが有名です。その壊したギターのネックをファンたちが取り合うのですが、たまたま拾ったトーマスが、クラブを出てからすぐに捨ててしまうシーンは虚無感を表したシーンでした。当初はザ・フーに出演を依頼していたようですが、断られたようです。

1960年代のスィンギング・ロンドンの風俗を観られたのも貴重でした。

写真を拡大、現像していくシーンは緊迫感があって思わず息を止めてしまいました。

 

次の作品は砂丘(Zabriskie Point)』です。

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Side A

1.Heart Beat, Pig Meat - Pink Floyd

2.Brother Mary - Kaleidoscope

3.Excerpt From "Dark Star" - Grateful Dead

4.Crumbling Land - Pink Floyd

5.Tennessee Waltz - Patti Page

6.Sugar Babe - The Youngbloods

 

Side B

1.Love Scene - Jerry Garcia

2.I Wish I Was A Single Girl Again - Roscoe Holcomb

3.Mickey's Tune - Kaleidoscope

4.Dance Of Death - John Fahey

5.Come In Number 51, Your Time Is Up - Pink Floyd

 

 

映画は

監督:ミケランジェロ・アントニオーニ

主演:マーク・フレチェット、ダリア・ハルプリン

制作:1970年 アメリ

 

アントニオーニにとって3年ぶりのメガホン、初のアメリカ映画です。この映画はリアルタイムで観ました。

しかし、前作の『欲望』の印象が強烈すぎて、この作品の印象はリアルタイムで観たはずなのに極めて薄いです。よく憶えていないくらいです。

最後の爆発シーンが鮮明に残っています。

学生運動の最中、学校を抜け出しセスナ機を盗んで砂丘へと向かう青年。そこで女性と知り合い愛し合います。砂丘では何組ものカップルが愛し合っています。

別れた後、青年は空港に戻り、警官に発砲されて死にます。女性の方は査収の中の邸宅に向かいます。そこを離れると、いきなり建物が爆発します。その爆発がピンク・フロイドの演奏をバックに延々といつまでも続きます。

  


Zabriskie point (1970) - trailer

 

音楽の方は、ピンク・フロイド(Pink Floyd)グレイトフル・デッド(Grateful Dead)カレイドスコープ(Kaleidoscope)ヤングブラッズ(The Youngbloods)、そしてジョン・ファヒー(John Fahey)です。

何といっても注目されたのはピンク・フロイドの起用でしょう。ピンク・フロイドはこの映画のためにわざわざ曲作りから始めました。他にもたくさんの曲を作ったようですが採用されませんでした。ニック・メイスンは映画を観た後、「アントニオーニの音楽の使い方はイモ。最悪だ」とコメントを残したそうです。ピンク・フロイドの採用されなかった曲は後に2016年のボックスセットに収録されました。

映画ではローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)の「You Got the Silver」も流されましたが、サントラ盤には収録されませんでした。

サイケデリック・バンドのデヴィッド・リンドレイ(David Lndley)在籍のカレイドスコープの曲が2曲、ジェシ・コリン・ヤング率いるヤングブラッズの曲が1曲入っていてこれが嬉しいですね。

グレイトフル・デッドからは「ダークスター」の一部、それにジェリー・ガルシアのギターソロです。

そして珍しいのはジョン・ファフィ―です。ファフィ―のアコースティックギターは最高です。

パティ・ペイジテネシー・ワルツ」も収録されています。

 

こうしてサントラ盤を聴き返してみると、映画の場面が浮かんだりしてきます。やはり映画を観ていないで、こうしたサントラ盤を聴いても散漫な感じを受けるだけかもしれません。映画を観てのサントラ盤、なのかもしれません。

 

 

それでは今日はこの辺で。

サントラ盤『イージー・ライダー』&『いちご白書』

「ロックのいっぱい詰まったサントラ盤」を何枚か紹介したいと思います。ロックがいっぱい詰まったといっても、ロックコンサートのドキュメンタリーとかミュージシャンの伝記映画とかではなく、純粋にドラマ映画です。今日はアメリカン・ニューシネマの2本の映画のサントラ盤です。

古い作品ばかりですのでその点はご容赦願います。

1本目は映画イージー・ライダー(Easy Rider)』です。

 

 

Side A

1.The Pusher - Steppenwolf

2.Born To Be Wild - Steppenwolf

3.The Weight - Smith

4.Wasn't Born To Follow - The Byrds

5.If You Want To Be A Bird - The Holy Modal Rounders

 

Side B

1.Don't Bogart Me - The Fraternity Of Man

2.If Six Was Nine - The Jimi Hendrix Experience

3.Kyrie Eleison - The Electric Prunes

4.It's Alright Ma (I'm Only Bleeding) - Roger McGuinn

5.Ballad Of Easy Rider - Roger McGuinn

 

映画は

監督:デニス・ホッパー

主演:ピーター・フォンダデニス・ホッパージャック・ニコルソン

制作:1969年 アメリカ 1970年日本公開

です。

ピーター・フォンダの父は名優のヘンリー・フォンダ、姉はジェーン・フォンダ、娘はブリジット・フォンダです。

内容は、麻薬の密輸で大金を得たキャプテン・アメリカとビリーはカリフォルニアから2台のハーレーダビッドソンに乗り、途中気の合った弁護士のハンセンも同乗しニューオリンズを目指して自由な放浪の旅に出かけます。しかし、保守的な地元民はヒッピーのような恰好をした自由気ままな連中が許せません。旅の途中で弁護士のハンセンは連中に殺害され、さらに旅を続ける二人に凄惨な最後が訪れます。

 

音楽は『イージー・ライダー』の代名詞にもなったステッペン・ウルフ(Steppenwolf)「ワイルドでいこう!(Born To Be Wild)」バンド(The Band)の「ザ・ウェイト」など名曲が揃います。なおバンドの「ザ・ウェイト」は権利の関係でサントラ盤には収録されませんでした。代わりにスミス(Smith)のカバーヴァージョンが収録されています。スミスといってもあのザ・スミス(The Smith)ではありません。

その他ジミ・ヘンドリックス(The Jimi Hendrix Experience)エレクトリック・プルーンズ(The Electric Prunes)ホリー・モダル・ラウンダーズ(The Holy Modal Rounders)など当時のサイケデリックなバンドが登場します。

そしてバーズ(The Byrds)ロジャー・マッギン(Roger McGuinn)です。当初、エンディングはボブ・ディラン「It's Alright Ma」で決まっていましたが、ディランが試写を観てこれを断ったことによって、急遽ロジャー・マッギンが「It's Alright Ma」を歌いました。さらにイージーライダーのバラード(Ballad Of Easy Rider)」をエンディングで流しました。この曲は後にバーズの8作目『Ballad Of Easy Rider』に新しく録音して収録されました。

バーズの「Wasn't Born To Follow」はバーズの5作目『名うてのバード兄弟(Notorious Byrd Brothers)』から、ジミヘンのIf Six Was Nineはアルバム『Axis: Bold As Love』から、エレクトリック・プルーンズのKyrie Eleisonはアルバム『Mass In F Minor』からです。

残念なのはマイケル・ブルームフィールド(Michel Bloomfield)エレクトリック・フラッグ(The Erectric Flag)Flash, Bam, Pow」がサントラ盤に収録されなかったことです。

ドラマ映画でこれほどロックの曲が挿入されるのは、それまでそれほどなかったのではないでしょうか。

 


Steppenwolf - Born To Be Wild (Easy Rider) (1969)


Easy Rider - The Weight


Easy Rider 1969 End

 

 

 

 

次の映画は『いちご白書(The Strawberry Statement)』です。

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Side A

1.The Circle Game - Buffy Sainte-Marie

2.Our House - Crosby, Stills, Nash & Young

3.Market Basket

4.Down By The River - Neil Young

 

Side B

1.Long Time Gone - Crosby, Stills & Nash

2.Cyclatron

3.Something In The Air - Thunderclap Newman

 

Side C

1.Also Sprach Zarathustra (Part 1)

2.The Loner - Neil Young

3.Coit Tower

4.Fishin' Blues - The Red Mountain Jug Band

 

Side D

1.Concerto In D Minor

2.Helpless -  Crosby, Stills, Nash & Young

3.Pocket Band

4.Give Peace A Chance

 

映画は

監督:スチュアート・ハグマン

主演:ブルース・デイヴィソン、キム・ダービー

制作:1970年 アメリ

です。

 

この映画はアメリカ人作家のジェイムス・クネンが書いたノンフィクションの映画化です。カンヌ国際映画祭で特別審査員賞を受賞しました。

内容は、ノンポリ学生のサイモンは当時学内で起こっていた予備役将校訓練課程校舎建設反対闘争にも無関心でした。しかしある時、校内を歩いていると女性活動家のリンダと知り合います。

サイモンは彼女に惹かれ運動にも参加するようになりますが、今ひとつ本気になれません。リンダはそんな彼に嫌気がさし、彼のもとを去ってしまいます。しかし、サイモンは徐々に活動にのめり込むようになります。そして講堂に立てこもり籠城組にも参加するようになりました。

学校側は警察権力を利用し、学生を排除しようとします。そんな時にリンダが戻ってきました。ますます熱が入るサイモン。しかし権力側の弾圧は遂にバリケードを粉砕し、講堂内へとなだれ込みます。学生たちは輪になって「勝利を我らに」を合唱し床を鳴らします。警官は容赦なく学生を殴り、引きずり回します。リンダも殴られ流血します。サイモンは夢中で警官に殴りかかってリンダを助けに行きますが・・・・。

 

音楽の方はジョニ・ミッチェルサークル・ゲーム(The Circle Game)」バフィー・セント・メリー(Buffy Sainte-Marie)がカバーして大ヒットしました。震えるような声が印象的です。

またクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング(Crosby, Stills, Nash & Young)クロスビー・スティルス&ナッシュ(Crosby, Stills & Nash)ニール・ヤング(Neil Young)の名曲が揃います。特に「ダウン・バイ・ザ・リバー(Down By The River)」「ヘルプレス(Helpless)」、それにクロスビー・スティルス&ナッシュのデビッド・クロスビー「ロング・タイム・ゴーン(Long Time Gone)」がいいですね。

それと先日紹介したサンダークラップ・ニューマン(Thunderclap Newman)「サムシング・イン・ジ・エアー(革命)」もいいです。

 

 


Buffy Sainte-Marie - Circle Game - Strawberry Statement


Fragole e Sangue (The Strawberry Statement) Down By TheRiver


Final scene of 'The Strawberry Statement' (1970)

 

Strawberry Statement (1970) [DVD]

Strawberry Statement (1970) [DVD]

 

 

 

いちご白書

いちご白書

 

 

 

この2本の映画はともにアメリカン・ニューシネマの代表的作品となっています。両方の作品とも反体制的行動をとる若者たちを描いています。それまでのアメリカ映画にはこのような作品は少なかったはずです。しかしその反体制的行動も最後は保守的な既成勢力に阻まれ絶望的な最期を遂げます。自由な国と言われたアメリカでも現実は革命には程遠い現実がありました。アメリカン・ニューシネマのブームは10年も続かなかったと思います。アメリカ映画はこの後、ヒーロー主義の娯楽映画へと戻っていきます。

 

この2本の映画を観たのは私の記憶では1970年でした。この年は私の人生にとって、分岐点になった年だったと思います。

この前年に東大安田講堂闘争が起こり敗北、1970年3月には「よど号」ハイジャック事件が起こりました。今でこそ、悪の枢軸国などと呼ばれている北朝鮮ですが、当時の革命を夢見て、打倒!資本主義を目指す学生たちにとってはキューバと並んでユートピアのような国だったと思います。

そして日米安保の自動延長決定。これによって70年安保闘争の実質的敗北。学生運動セクショナリズム内ゲバへと突き進みます。そしてとうとう数年後には行き場を失いセクトも崩壊の道を辿ります。

そして暮れには三島由紀夫の割腹自殺。岡林信康が暮れのライブで「ゆきどまりのどっちらけ」を歌ったのは言い得て妙でした。右も左も行き止まりでした。

 

まだまだ思春期も終わらない少年?が未来への希望を持とうと思う一方、虚無感と絶望感を味わい、これまでのサッカー少年の世界観が変わりました。体育会系の思想から180度変わった節目の年でした。

 

その後のアメリカ映画のように日本でも「いちご白書をもう一度」などという情けなく、寂しい歌が流行ったのでした。まさに「時代は変わる」のです。

 

話は変わりますが、それまで洋画というと西部劇ぐらいしか観ていなかったので、この「イージー・ライダー」は衝撃でした。なにしろマリファナを鼻から吸うことにびっくりしたぐらいですから、この驚きは想像に難くありません。

 

それと田舎町ですからロードショーなどという洒落たものはなく、必ず最低でも2本立てです。この映画と同時上映が明日に向かって撃てです。これは西部劇ですが、これまでの西部劇とは全く違います。これもアメリカン・ニューシネマの代表作ですが、実在のギャングの悪行と逃亡劇です。そしてこれも体制側による残虐な最期。とにかく面白い。この映画の中でB. J. トーマスが歌う主題歌「雨にぬれても」が大ヒットしました。映画に対する見方が大きく変わった年でもあります。

 

この後、市の学生映画連盟(映画はタダで観れ、会費なし)に加入し、学校さぼって映画館に入り浸りになって、映画漬けの生活になるのでした。そして難解(私にとって)な映画にはまっていくのでした。

 

今日は途中から思い出話になってしまいました。

 

今度また機会があればロックが詰まったサントラ盤の第2弾を書きたいと思います。

 

lynyrdburitto.hatenablog.com

 

それでは今日はこの辺で。

 

 

 

 

 

演歌だけじゃない!『美空ひばり/Jazz & Standards』

今日はちょっと趣向を変えて、歌謡界の女王美空ひばりの別な一面を書いてみたいと思います。

美空ひばりといえば『天才少女』『歌謡界の女王』と謳われ女性初の国民栄誉賞まで受賞しました。そんな美空ひばりですがテレビでは歌謡曲を歌っている姿しか映していませんでした。

私も子供の頃からテレビやラジオで美空ひばりの歌は聴かされていましたが、彼女の没後にジャズを歌っているCDが発売されているの知って思わず買ってしまいました。

それが美空ひばり/Jazz & Standards』でした。

01.虹の彼方に Over The Rainbow

02.ラブ・レター Love Letters

03.上海 Shanghai

04.恋人よ我に帰れ Lover,Come Back To Me

05.アイ・ラブ・パリ I Love Paris

06.バラ色に人生 La Vie En Rose

07.セ・マニフィック C'est Magnifique

08.クライ・ミー・ア・リヴァー Cry Me A River

09.スターダスト Stardust

10.アゲイン Again

11.ダニー・ボーイ Danny Boy

12.愛さないなら棄てて Love Me Or Leave Me

13.ブルーベリー・ヒル Blueberry Hill

14.A列車で行こう Take The "A" Train

15.愛のタンゴ I Can't Tell A Waltz From A Tango

16.慕情 Love Is A Many-Splendored Thing

 

03,06,10,12,14,15はモノラル録音です。

 

モノラル録音があるように、これらの曲の中の上海「アゲイン」は16歳の頃に録音されています。

 

「恋人よ我に帰れ」A列車で行こうなどのジャズナンバーのスウィング感には驚く以外ありません。美空ひばりがジャズシンガーになっていても、おそらく一流のジャズヴォーカリストになっていたことでしょう。

 

「バラ色の人生」などのシャンソンやいわゆるスタンダードと呼ばれた曲が並びます。

天才は何を歌っても一流だという証拠です。

そういえばいつだったか黛敏郎のテレビ番組『題名のない音楽界』でクラシックに挑戦して、自分の思い通りに歌えなかったのか、悔しがっていた姿が思い出されます。

 

それと驚くのは英語の発音です。何も知らずに聴いたならば、日本人が歌っているとは思えないでしょう。美空ひばりは英語が話せるわけではないので、聴いたものをそのまま発音できるのでしょう。楽譜も読めるわけではなく、一度聴いたらもう歌えるということですから、耳の聴力というのか何というのかわかりませんが、とにかく人並外れて優れていたのでしょう。

 

私も美空ひばりについては特別思い入れがあるわけでもありませんが、学生時代に岡林信康のコンサートで飛び入りの美空ひばりを観て、その存在感に圧倒された思い出があります。岡林信康はその頃演歌に入れ込んで、美空ひばりに楽曲を提供していたこともあって、出演してくれたのでしょう。

それ以降、私も遅ればせながら美空ひばりの歌をまじめに聴くようになりました。確かに名曲がたくさんあります。特に好きなのが越後獅子の歌」「津軽のふるさと」「哀愁波止場」「悲しい酒」「みだれ髪」などでしょうか。

 

後にも先にもこれ以上の歌手は日本では現れないかもしれません。生きていれば81歳でしょうか。まだ歌っていたかもしれません。

 


恋人よ我に帰れ Lover, Come Back to Me/美空ひばり


美空ひばり   Cry Me a River


上海 Shanghai/美空ひばり


美空ひばり   慕情

 

 

それでは今日はこの辺で。