1970年代のロリー・ギャラガー(Rory Gallagher)
今日はブルースロック・ギタリストとしてのロリー・ギャラガーを取り上げてみたいと思います。といっても、1970年代に限定したいと思います。なぜなら、タイトルが60年~70年となっていることもありますが、ロリーのキャリアが長いため最後まで書いていると長くなりすぎるか、あるいは散漫になってしまう恐れがありますので、ある程度時期を限定して書いてみようと思いました。
ロリーのソロデビューは1971年です。当時私は高校生で、洋楽に興味を持ち始めましたが金銭的にそんなにレコードを買えるような状況ではありませんでした。雑誌を立ち読みしたり、レコード屋でレコードジャケットを眺めたりしていました。そんな時、レコード屋からレコード会社の広告パンフレットのようなものをもらって帰ってみていると、それがポリドールのもので、そこにロリー・ギャラガーのデビューアルバムの宣伝が大きく取り上げられていました。それには当然いいことばかり書いてありますから、たまらなく聴いてみたくなりました。しかしながらラジオでもかからないし、これは何としても買わなければならないと思ってしまいました。なんとか小遣いを貯めてようやく手に入れました。その名も『Rory Gallagher(ロリー・ギャラガー)』です。
いいアルバムでした。「I Fall Apart」や「For The Last Time」など大好きです。想像していたより渋い声で、濃厚なブルースという感じではなく、やはりロックです。でも根っこはブルースだということは充分伝わってきました。そして彼が以前に"Taste(テイスト)"という3人編成のバンドを組んでいて、こちらも結構な人気を博していたこともわかりました。
立て続けに2枚目のアルバム『Deuce(デュース)』を発表します。
基本的にロリーのアルバムに駄作は1枚もないのでどれも安心して聴けるので、当然このアルバムもいいです。(1971年)
そして次はライブアルバム『Live! In Europe(ライヴ・イン・ヨーロッパ)』です。
カッコいいの一言です。ライヴになるとブルースロッカーの面目躍如です。とにかくしびれます。オープニングの定番「Messin' With The Kid」から始まって「Laund Romat」「Pistol Slapper Blues」など最高です。弾き語りブルースなどもやっていて本当にブルース好きなんだなと思わせます。このころのメンバーはジェリー・マッカヴォイ (Gerry McAvoy b)とウィルガー・キャンベル(Wilger Cambell ds)の3人組でした。(1972年)
次は『Blue Print(ブルー・プリント)』です。
これはいい曲が揃っています。「 Walk On Hot Coals」「Daughter Of The Everglades」「Seventh Son Of A Seventh Son」など、ライヴでもよく演奏される曲が入っています。このアルバムからドラムスがロッド・デ・アス(Rod De'Ath)に代わり、キーボードにルー・マーティン(lou Martin)が加わり4人編成になります。ルー・マーティンの加入が音楽性の幅を広げた感じがします。彼のピアノはいいです。(1973年)
次が『Tatoo(タトゥー)』です。
個人的にはこれがロリーの最高傑作だと思っています。「Tatoo'd Lady」「A Million Miles Away」などは最高の名曲ではないでしょうか。このレコードが日本で発売されたときは速攻で買いました。何度も何度も繰り返し聴いた憶えがあります。このころからややポップな感じが出てきた気がします。(1973年)
次は再びライブアルバム、しかも2枚組です。『Irish Tour(アイリッシュ・ツアー(当時の日本盤タイトルは「ライヴ・イン・アイルランド」です))』
文句のつけようがありません。選曲もいいし、言うことなしです。(1974年)
なお、この時の模様はDVDにもなっています。
さらに、最近このアイリッシュ・ツアーの全貌が発売されました。なんとCD7枚にDVD1枚の8枚組です。買ってしまいました。『Irish Tour '74 Delux Edition』
このあと2度目の来日します。早速チケットを購入しました。場所は東京体育館です。何と前から2列目の席がとれたのです。友人達と共に行きました。逆に言うと日本ではそれほどの人気は無かったということなのでしょうか。
ロリーを目の前にして大興奮でした。
この2年後、3度目の来日をします(チケットの半券は残っていません)。
その後ロリーはレコード会社も変わり順調にレコードも発売しました。
『Against The Grain(アゲインスト・ザ・グレイン)』1975年
『Calling Card(コーリング・カード)』1976年
『Photo-Finish(フォト・フィニッシュ)』1978年
『Top Priority(トップ・プライオリティ)』1979年
『Stage Struck(ステージ・ストラック)』1980年
もちろんこれらのすべては水準以上の出来ですが、徐々にロリーの人気は下がり始めます。それはロリーの音楽がどうのこうのではなく、時代が変わってきたといいますか、それまでのブルースロック人気はすでに去り、ニューウェイヴ、パンク、へヴィメタル、AORへと世の中は変わってきていたのです。そして80年代に入るとロリーも試行錯誤の時代になりますが、それはまたということで。
時代が変わろうとも、クラシカルなロックをやり通すという頑なな職人気質は私は大好きでした。早逝は非常に悔やまれます。
ちなみに面白いCDを10年程前に入手しました。初来日時の東京公演の模様の2枚組です。もちろんブートレグですが、音は結構いいです。「A Million Miles Away」の思わせぶりたっぷりのギターが泣かせます。
なお、テイスト時代のアルバムは2枚のアルバムと2枚のライヴがそれぞれ発表されています。クリームの後継者と言われるだけのことはあります。ロリーも元気いっぱいのプレイをしています。
『Taste(テイスト)』1969年
『On The Boards(オン・ザ・ボーズ)』1970年
『Live Taste(ライヴ・テイスト)』1971年 モントレーでのライヴ
『Live At The Isle Of Wight』1972年 ワイト島でのライヴ
70年代のロリーの映像は比較的DVD化されています。私も5枚程所有しています。常に一所懸命な姿に打たれます。
それでは今日はこの辺で。