今日は、再び私が癒し系ロックと位置付ける『ビューティフル・サウス』について書いてみます。以前に『トラヴィス』を書きましたが、この『ビューティフル・サウス』はもう少し明るめの癒し系です。
『ビューティフル・サウス』については以前の記事で若干触れています。
メンバーは
ポール・ヒートン (Paul Heaton,vo)
デイヴ・ヘミングウェイ (Dave Hemingway,vo)
ブリアナ・コリガン(Briana Corrigan,vo)
ショーン・ウェルシュ(Sean Welch,b)
デイヴ・ロザレイ(Dave Rotheray,g)
デヴィッド・ステッド (David Stead,ds)
ですが、途中で女性ヴォーカルが2回替わります。ジャクリーン・アボット(Jacqui Abbott)と最後はアリソン・ウィーラー(Alison Wheeler)です。
このバンドの前身は1984年に結成されてポールとデイヴ・ヘミングウェイが在籍していたザ・ハウスマーティンズ(The Housemartins)です。彼らは良質な2枚のアルバムを残して1988年に解散します。
これらは典型的なポップ・ロックアルバムで、本国イギリスでもかなりヒットして人気を博していました。
グループ解散後、ポールとデイヴは『ビューティフル・サウス』を結成します。このバンドの特徴は男性2人、女性1人のヴォーカルです。
1989年にファーストアルバム、『Welcome To The Beautiful South』をリリースします。
このジャケットも問題になったそうです。当然でしょうね。歌詞の内容も政治・社会に対する辛辣な批判が込められており、3人のヴォーカルの澄み切った声とは対照をなしています。アルバムはヒットし彼らは国民的バンドともてはやされるようになります。確かにこのアルバムは彼らの最高傑作かもしれません。冒頭に書きましたが、『トラヴィス』のような暗さはありませんが、メロディーは美しいです。
1990年にはセカンドアルバム『Choke』をリリースします。
前作同様美しいメロディーとハーモニーで満載ですが、歌詞を読むとやはり辛辣な批判やグロテスクなものまで曲と似合わないものが多いです。歌詞の意味が分からないで聴いていると心地よいポップなアルバムですが、そのギャップが激しいです。そこがこのバンドの面白いところなのです。
続く1992年には『0898』リリースします。
女性ヴォーカリストのブリアナの歌声が病みつきになります。ここまでのアルバムも、これ以降もそうですが、アルバムジャケットにメンバーの姿が現れたことがありません。裏表紙にもありません。ライナーノーツにも載っていません。珍しいです。全体的に明るい楽曲が増えているようです。歌詞は相変わらずで、中には理解不能(私には)の内容もあります。曲はいいです。
続いて、1994年に『Miaow』をリリースします。ジャケットが日本盤と違っています。
このアルバムから女性ヴォーカルがブリアナからジャクリーン・アボットに替わります。ブリアナがグループを去った理由は、ライナーを書いている中川五郎氏によるとポールの書く詩に嫌気が差したようです。フレッド・ニールの曲でニルソンが映画『真夜中のカーボーイ』で歌っていた「うわさの男」をカバーしています。また、このアルバムでは全曲ポールがリードヴォーカルをとっています。デイヴの声も捨てがたいのですが。
2年後、5枚目のアルバムとして『Blue Is The Colour』を発表します。
1曲目からジャクリーンのヴォーカルで始まります。ブリアナとはまた違う落ち着いた声で安心して聴けます。1曲を除いて全曲ポールの手によるものです。イギリス特有のケルティックとは違いますが、フォーク調の曲が目立ちます。
翌々年、1998年に『Quench』を発表します。
このアルバムはだいぶ印象が変わります。というのもキーボードをふんだんに使い、ジャクリーンのリードヴォーカルも増えたことにあります。音に厚みが出ました。
さらにポール・ウェーラーが1曲参加しています。それとハウスマーティンズで一緒だったノーマン・クックが協力しています。ジャズ風の曲があったりして、音楽性が一段と広がったような気がします。
2000年には『Painting It Red』をリリースします。
このアルバムは、全作をさらに前進させ、ブラスもふんだんに導入し、ロック色を強めています。楽曲は全曲ポールとデイヴ・ロザレイの共作になります。。リズムを重視し、前々作以前には見られなかった音作りになっています。もちろん静かな曲もありますが、全体としてはロック寄りになっています。
3年後の2003年には『Gaze』を発表します。
このアルバムから女性ヴォーカルがアリソン・ウィーラーに替わります。楽曲は前作同様全曲ポールとデイヴ・ロザレイの共作になります。前作の延長線上のアルバム。
このあと2006年に『Superbi』をリリースします。
残念ながら未購入です。この後バンドは解散します。
17年の歴史でした。原因はよくわかりませんが、人間関係の軋轢という話も聞いています。私個人としては、ファーストから4枚目か5枚目あたりまでが好きです。
今でも時々無性に聴きたくなる時があります。そのようなときは初期のアルバムを引っ張り出して聴いています。
The Beautiful South - Don't Marry Her [original explicit version - HQ]
それでは今日はこの辺で。