キングフィッシュ(Kingfish)はグレイトフル・デッドのギタリスト兼ヴォーカリストのボブ・ウェア(Bob Weir)が参加したことで有名になりますが、結成はもっと古く、1973年のサンフランシスコに遡ります。
マシュー・ケリー(Matthew Kelly,g,harp,vo)がグレイトフル・デッドの弟分のバンド、ニュー・ライダース・オブ・ザ・パープル・セイジ(New Riders Of The Purple Sage(NRPS))のベーシストデイブ・トーバート(Dave Torbert,b,vo)と一緒にロビー・ホドディノット(Robby Hoddinot,g)、クリス・ヘロルド(Chris Herold.ds)、ミック・ワード(Mick Ward)を加えて結成したのが始まりでした。ミック・ワードはその後死亡。
マシュー・ケリーはグレイトフル・デッドのアルバムにもハープで参加したりして、ボブ・ウェアとの交流は以前からありました。その関係からか、1974年にボブ・ウェアがバンドに参加すると、彼等のファーストアルバム『Kingfish』がリリースされました。1976年のリリースでした。
Side A
1. Lazy Lightnin'
2. Supplication
3. Wild Northland
4. Asia Minor
5. Home To Dixie
6. Jump For Joy
Side B
1. Good-Bye Yer Honor
2. Big Iron
3. This Time
4. Hypnotize
5. Bye And Bye
プロデュースはダン・ヒーリー(Dan Healy)とボブ・ウェアです。
A-1とA-2はボブ・ウェアの曲でグレイトフル・デッドのライブでも時々歌われています。
ボブ・ウェアが歌うとどうしてもグレイトフル・デッドを思い出してしまいます。グレイトフル・デッドでのボブ・ウェアはどちらかというとカントリー寄りの曲が多かったので、ここでもそれが続いているようです。ロビーのギターとマシューのハープが光ります。
1976年というとグレイトフル・デッドがアルバム『Blues For Allah』をリリースした後(1975年)で、同じ人がアルバムの絵を描いています。本当によく似ています。姉妹盤かと思ったほどです。
1970年以降のグレイトフル・デッドはカントリーに傾倒し、先述のNRPSもカントリーバンドでしたし、このキングフィッシュもどちらかというとカントリーっぽいバンドでした。
このアルバムのリリース後にボブ・ウェアはバンドを去ります。ボブ・ウェアはグレイトフル・デッドとの掛け持ちでしたから当然と言えば当然でした。
ボブ・ウェアが在籍していた時のライブ音源が、翌年にセカンドアルバムとして発表されました。『Live 'N' Kickin'』です。
これはハリウッドのロキシーでのライブです。但し、なぜかボブ・ウェアのヴォーカルは聴けません。おそらくこれからキングフィッシュはボブ・ウェア抜きで、やっていかなければならないという気持ちの表れではないでしょうか。
ジミー・ロジャースやチャック・ベリーのナンバーを取り上げています。
この後、メンバーのロビーとクリスが脱退し、代わりにマイケル・オニール(Michael O'Neill,g)とウィングスのドラマージョー・イングリッシュ(Joe English,ds)、それにボブ・ホギンズ(Bob Hogins,key)が加入しました。
そして1978年にサードアルバム『Trident』がリリースされます。
プロデュースはジョニー・サンドリンでした。
ここでバンドは解散します。
1982年にはデイブが心臓発作で死亡しました。
マシュー・ケリーは1995年にボブ・ウェアーと共にRatDogの創設に加わります。
その年にグレイトフル・デッドのジェリー・ガルシアが亡くなります。ここにグレイトフル・デッドの歴史は幕を閉じます。後に残ったメンバーで『DEAD』として復活させることになるのですが、そのあたりはまたいずれかの機会で。
その後、バンドは時折再編したりしているようです。未発表音源やライブ音源もCD化されているようです。
1999年にはボブ・ウェアも参加してのアルバム『Sundown on the Forest』も発表しました。
しかしその後は目立った活動はしていないようです。
グレイトフル・デッドの関連バンドとして一時期騒がれたバンドでした。
Kingfish - Big Iron - 2/7/1976 - Winterland (Official)
Kingfish - Lazy Lightnin' / Supplication
Kingfish - Jump For Joy - 2/7/1976 - Winterland (Official)
それでは今日はこの辺で。