南部のバンドらしからぬ南部のバンド『アウトローズ(Outlaws)』です。
アウトローズの結成は古く、遡れば1964年にフランク・ギドリー(Frank Guidry)によって結成されました。その時のメンバーにはヒューイ・トーマソン(Hughie Thomasson,g,vo)とフランク・オキーフ(Frank O'Keefe,b)もいました。
しかしその後はメンバーチェンジが激しく、創設者のフランク・ギドリーはバンドを去り、ビリー・ジョーンズ(Billy Jones,g,vo)が加わり、さらにモンテ・ヨーホー(Monte Yoho)、最後にヘンリー・ポール(Henry Paul,g,vo)が加わって、デビュー時のメンバーが揃いました。これが1972年のことでした。
彼等はレーナード・スキナードやマーシャル・タッカー・バンドと演奏活動を共にして、地元では人気バンドになっていたらしい。当時のバンド名は『Los Hombress Malo』と名乗っていたようです。
アリスタレコードのクライヴ・デイヴィスが彼らを気に入り、契約を結ぶことになりました。ここでレーナード・スキナードのロニー・ヴァン・ザントがバンド名を『Outlaws』にしてみてはと提案があり、正式にアウトローズが誕生したのです。
サザンロックというと当時は何といってもキャプリコーン・レコードが多かったのですが、アリスタレコードでは珍しかったのではないでしょうか。
そして1975年にデビューアルバム『戦慄のアウトローズ(Outlaws)』がリリースされました。
Side A
1.There Goes Another Love Song
2.Song For You
3.Song In The Breeze
4.If Follows From Your Heart
5.Cry No More
Side B
1.Waterhole
2.Stay With Me
3.Keep Prayin'
4.Knoxville Girl
5.Green Grass & High Tides
プロデュースはドアーズやジャニス・ジョプリンなどでおなじみのポール・ロスチャイルド(Paul Rothchild)です。
スペシャル・サンクスでレーナード・スキナードとなっています。
このアルバム、先入観というか予備知識なしで聴いたら、おそらくサザンロックとは思えないでしょう。どちらかといったらウェストコースト、それもロサンゼルスサウンドに近いものが有ります。イーグルス、ドゥービー・ブラザース、ポコあたりを感じさせます。サザンロックで言えばデュアン・オールマン亡き後のオールマン・ブラザースあたりでしょうか。
さわやかなハーモーニーとカントリータッチの曲。初めて聴いた時にはちょっと戸惑いました。南部の泥臭さを想像していたものですから。それでもレーナード・スキナードを思わせるトリプルギターも聴けますし、ラストの曲などは10分近い曲で、レーナードの「フリーバード」を彷彿とさせます。A-2などもまさにレナードばりのギターです。
A-4にはジョン・デヴィッド・サウザーがバッキングヴォーカルで参加しており、ますますウェストコーストの香りがプンプンです。
ただ、私にとっての欠点は3人がヴォーカルを執っていますが、いずれもちょっと弱い。ロサンゼルス風といえばそうかもしれませんが、ダン・フォーゲルバーグのようです。ロニー・ヴァン・ザントを望んでも酷でしょうが、もう少し迫力あるヴォーカルが欲しいところでした。
その後も彼らはメンバーチェンジを繰り返しながら1996年まで活動します。1996年にヒューイ・トーマソンがレーナード・スキナードの加入することになり、解散。その間、ビリー・ジョーンズとフランク・オキーフは1995年に亡くなりました。フランクは薬物、ビリーは自殺でした。
2005年にアウトローズは再結成しますが、2007年にヒューイ・トマソンが心臓発作で亡くなります。
その後もヘンリー・ポールとモンテ・ヨーホーが中心となって活動を続けているようです。
1978年に発売されたライブ盤『Bring It Back Alive』は聴きものです。先ほどの「フリーバード」風の曲「Green Grass & High Tides」を1面潰して20分も演奏しています。レナードの弟分の面目躍如です。
アウトローズ、今聴くと非常に新鮮に聴けました。決して無法者ではありません。
The Outlaws "Outlaws", 1975. Track A4: "It Follows from Your Heart"
The Outlaws - Green Grass and High Tides
それでは今日はこの辺で。