1970年、ヴァシティ・バニヤン(Vashti Bunyan)が残したたった1枚のレコードは、その後ヴァシティ・バニヤンが音楽界から姿を消したこともあって、またプレス数の少なさもあって、後に”幻の名盤”と騒がれ、30万円とも40万ともいわれるほどの値がつきました。今でも当時のレコードには相当な値がついていると思います。
それが2000年にCDとアナログ盤で再発されました。当然私も再発盤で入手したわけですが、なるほど騒がれるだけのことはあると感心しました。
ヴァシティ・バニヤンは1945年にイギリスのニューカッスルに生まれ、すぐにロンドンに移住しました。
18歳でニューヨークに渡り、ボブ・ディランの音楽に触れ、衝撃を受けミュージシャンになる決心をしました。
ロンドンに戻り音楽に専念し、ザ・ローリング・ストーンズのマネージャー、アンドリュー・オールダムに見いだされ、1965年にジャガー・リチャーズの共作曲「Some Things Just Your Mind」をレコーディングします。
その後ヴァシティはTwice as Muchの「Coldest Night of the Year」という曲のレコーディングに参加して、アンドリュー・オールダムの元を去ります。
ヴァシティはドノヴァンに会うために恋人と一緒に旅に出ます。この旅の期間中に曲作りを始めます。
旅行中にフェアポート・コンベンションやピンク・フロイドなどを手掛けたプロデューサー、ジョー・ボイドに出会います。そしてフェアポート・コンベンションのサイモン・ニコル、デイブ・スワブリック、インクレダブル・ストリングバンドのロビン・ウィルソン、さらにはサンディ・デニーのストリングス・アレンジャーのロバート・カービィらと共に、旅行期間中に作った曲のレコーディングを始めました。
そしてフィリップスと契約しファーストソロアルバムをリリースします。それが『Just Another Diamond Day』です。
01.Diamond Day
02.Grow Worms
03.Lily Pond
04.Timothy Grub
05.Where I Like To Stand
06.Swallow Song
07.Window Over The Bay
08.Rose Hip November
09.Come Wind Come Rain
10.Hebridean Sun
11.Raibow River
12.Trawlerman's Song
13.Jog Along Bess
14.Iris's Song For Us
15.Love Song
16.I'd Like To Walk Around In Your Mind
17.Winter Is Blue
18.Iris's Song(Version 2)
15~18はCD用のエキストラトラックです。
メンバーは
クリストファー・サイクス(Christopher Sykes,p,organ)
ジョン・ジェイムス(John James.(dulcichord)
ロビン・ウィリアムスン(Robin Williams,fidle,mandolin,harp)
デイヴ・スワブリック(Dave Swarbrick,fidle,mandolin)
サイモン・ニコル(Simon Nicol,banjo)
ロバート・カービィ(Robert Kirby,string & recorder arrangement)
プロデュースはジョー・ボイド(Joe Boyed)です。
なお、ジャケットのデザインはクリストファーとジョンの手によるものです。馬車による旅の途中の風景です。
03は「キラキラ星」です。
余分な音は全くなく、ヴァシティ・バニヤンの透き通った美しい声にマンドリンとバンジョー、ピアノ、オルガン、フィドルそれにストリングスが被さってきます。これぞ素朴なブリティッシュフォークです。
しかしこのアルバムはほとんど注目されませんでした。失意のヴァシティは音楽界を去り、子育てに専念します。
1990年代の後半になり、自分の歌が評判を呼ぶようになるとヴァシティも音楽に対する意欲が湧いてきました。そしてCDが再発されたのです。
そして2005年に35年ぶりとなるアルバム『Lookaftering』をリリースします。
変わらぬ歌声でした。
さらに9年後の2014年に3枚目のアルバム『Heartleap』をリリースします。
残念ながら未購入です。情報によると、本人はこれをラストアルバムにするそうです。
もったいない話です。早く入手しないと。また廃盤になったりしたら大変です。
心が疲れた時にこのような音楽を聴くと本当に癒されます。私も何度癒されたことか。
Vashti Bunyan - Just Another Diamond Day
Vashti Bunyan - Rose Hip November
それでは今日はこの辺で。