今朝、新聞を開くと驚くべきニュースが目に飛び込んできました。
ショーケンこと萩原健一氏が亡くなったというのです。一見、目を疑いました。ついこの前まで、NHKのドラマ『不惑のスクラム』に出演していましたから。もっとも、そのドラマでも癌で亡くなるという役柄でした。今考えると不吉な役でした。
1950年生まれの68歳でした。
私が中学生の頃は、グループサウンズ全盛期で、ブルー・コメッツ、ザ・スパイダース、ザ・タイガース、ザ・サベージ以下、雨後のタケノコのようにグループが登場しました。その中でも異彩を放っていたのがザ・テンプターズでした。このグループのリードヴォーカルがショーケンでした。
「忘れ得ぬ君」「神様お願い!」「エメラルドの伝説」など次々にヒットを飛ばし、ザ・タイガースと並んで、グループサウンズのトップに君臨しました。『ザ・テンプターズ 涙のあとに微笑みを』という映画まで出来ました。
やがて、グループサウンズ・ブームは去り、バンドは解散。すると今度はザ・タイガースのジュリー(沢田研二)やスパイダース、タイガース、テンプターズのメンバーと共にPYGなるバンドを結成します。
しかし、このバンドは長続きはしませんでした。ショーケンが俳優として認められるようになり、忙しくなったということも原因のひとつでした。ジュリーたちは井上堯之バンドとして活動を続けました。
ソロになってからは柳ジョージなどとも共演したりして、「大阪で生まれた女」「愚か者よ」などのヒット曲がありました。
一方、ショーケンはテレビドラマ『太陽にほえろ!』のマカロニ刑事役が大当たり、役者としての人気が高まりました。
テレビドラマではこの後、水谷豊との『傷だらけの天使』、梅宮辰夫、桃井かおりとの『前略 おふくろ様』などが大ヒットしました。この他にもNHKの大河ドラマ『勝海舟』での岡田以蔵役、『元禄繚乱』の徳川綱吉役など、今でもよく憶えています。
映画では岸恵子との『約束』、市川崑監督の『股旅』、篠田正浩監督の『化石の森』、神代辰巳監督の『青春の蹉跌』、そして黒澤明監督の『影武者』、山口智子との『居酒屋ゆうれい』などが思い出深い作品となっています。
俳優としてのショーケンは決してうまい演技とは思えませんが、独特の雰囲気を持った役者であることは間違いありませんでした。それがドラマや映画には欠かせない存在だったのです。
一方、私生活はというと、小泉一十三、いしだあゆみ、そして今の奥さん、とみた リカと都合3回の結婚、途中倍賞美津子との恋愛などがあり、女性関係は賑やかでした。
また大麻所持で逮捕されたり、飲酒運転で人身事故を起こしたり、恐喝事件を起こしたりと、これまた世間を大いに騒がせました。
それでもこれらのことが許されてしまうというのは、彼のキャラクターなのでしょう。実にユニークな俳優兼歌手でした。
しかし、晩年の様子をテレビで観ていると、役柄がそうさせるのかもしれませんが、好々爺になったなという気がしていました。
片耳が聞こえないという話は聞いていましたが、まさか消化管間質腫瘍などという大病を患っているとは思いませんでした。
グループサウンズを夢中で観ていた少年にとって、ショーケンの早すぎる死はショックです。もっともっと、いぶし銀の演技を観たいと思っていた矢先だったのに本当に残念です。
心よりご冥福をお祈りします。合掌
ザ・テンプターズThe Tempters/エメラルドの伝説The Legend Of Emerald (1968年) 視聴No.5
それでは今日はこの辺で。