サンフランシスコの最高峰バンド、モビー・グレイプ(Moby Grape)が1969年に解散してから7年後、嬉しいニュースが入ってきました。
モビー・グレイプの中心メンバー、ジェリー・ミラー(Jerry Miller,g,vo)とボブ・モズレー(Bob Mosley,b,vo)が新しいバンドを結成したというニュースです。その名もファイン・ワイン(Fine Wine)。まさに洗練されたブドウから極上のワインが創り出されたようなものでした。
その他のメンバーはマイケル・ビーン(Michael Been,g,vo)とジョン・クラヴィオット(John Craviotto,ds)です。
この前の年にはクイックシルバー・メッセンジャー・サーヴィスの再結成があり、この年にはフライング・バリット・ブラザースにいたリック・ロバーツがファイアー・フォールを結成するなど、シスコでもロスでもウェストコーストが賑やかになっていた頃で、このファイン・ワインの結成も私にとっては嬉しいニュースでした。
そしてポリドール・レコードからアルバム『Fine Wine』が発売されました。
Side A
1.Got To Get Back Home
2.As Near As I Can Tell
3.If You Feel Like Dancin
4.Cold Heart
5.Heaven Knows
6.8:05
Side B
1.I'll Never Be Lonely Again
2.Step Right Up
3.Shadow of Yourself
4.Talkin' 'Bout You
5.Everything's Gonna Be Alright
6.I Wonder If It's All Worth It?
プロデュースはマイケル・オコーナー(Michael O'Connor)とファイン・ワインです。
ボブ・モズレーの曲がA-1とB-3の2曲。
ジェリー・ミラーの曲がA-3,4,6 B-2,4の5曲
マイケル・ビーンの曲がA-2,5 B-2,5の4曲
ミラーとビーンの共作がB-6
マイケル・ビーンが存在感を示しています。彼は後にソロアルバムも出しています。
A-6の「8:05」はモビー・グレイプ時代の名曲です。
オープニングからCCRを思わせるようなロックンロールから始まりますが、それ以降はモビー・グレイプ時代のセンスのいいメロディーとジェリー・ミラーのカッコいいギターが随所に現れて、聴き惚れてしまいます。
マイケル・ビーンの曲は意外といっては失礼ですが、モビー・グレイプによく似合っています。
しかし、このバンドもこの1枚のみのリリースで、その後はどうやら活動を停止したようです。好みのバンドでしたが残念です。
ボブ・モズレーはこの後ニール・ヤング、ジェフ・ブラックバーン、メンバーのジョン・クラヴィオットとダックス(The Ducks)なるバンドを結成しましたが短命に終わりました。その後は以前から悩まされていた統合失調症と戦いながらも音楽活動を続けています。
ジェリー・ミラーはローリングストーン誌の選ぶ100人の偉大なギタリストの68位に選出など、そのギターリストとしての力量は衆知のことで、多くのミュージシャンと競演しました。現在も自身のバンドを持ち活動を続けています。
1970年代中盤、まだまだウェストコーストロックも元気でした。
Fine Wine - Near As I Can Tell
Fine Wine - Shadow Of Yourself
それでは今日はこの辺で。