早見和真という作家の小説『イノセント・デイズ』を読了しました。忘れないうちに書いておこうと思います。
この作家は初めてです。ミステリー本を検索していたら引っかかった本です。
いわゆる犯罪小説です。女性死刑囚のお話です。
かつての恋人の妻と双子の子供、計3人を放火により殺害した、女性は控訴せず放火殺人により死刑が確定しています。
この事件は犯人が整形した過去があるということで『整形シンデレラ放火殺人事件』などという固有名詞まで付けられました。24歳の女性ということでマスコミも大騒ぎでした。
この事件の背景を彼女と関わった人たちの回想で物語は進行します。義姉妹や幼馴染み、同級生、恋人の友人、拘置所の看守などの証言から彼女の実像と事件の謎が暴かれてゆきます。
我が国においても過去に目立った犯罪にはだいたい「~事件」などと固有名詞が付けられました。戦後は「下山事件」「名張毒ブドウ酒事件」「袴田事件」「連続射殺魔事件」などなど、数え上げたらきりがありません。中には冤罪事件もありました。
これらの名付けられた事件にはそのタイトルの奥に隠された様々な事情が隠されている場合が多くあります。それらの事件の真相を追求し、世に送り出されたものがいわゆる「ノンフィクション」と呼ばれる、報道や映画、小説です。これらによって、私たちは表向きの事情とは別の事情を知ることができるわけです。
『永山事件』や『吉展ちゃん事件』の根底に流れる「貧困問題」や『狭山事件』のような「部落差別」による冤罪事件など、単純には理解できない問題が隠されていることが多いのです。だからといって犯罪が許されるわけではありませんが。
この小説も、彼女の不遇な少女時代やその性格が明らかになることにより、果たして彼女はそんな犯罪を犯すことができたのか、という疑問にぶつかります。そして幼馴染はこの事件は冤罪だとの確信を得ます。しかし、彼女はかたくなに死刑を望みます。それはなぜなのか・・・
まさに慟哭のミステリーでした。ネタバレはしません。
でも、待てよ。これだと備忘録にならないな。まあいいか。
ちなみにこの小説はドラマ化されたようです。全く知りませんでした。
それでは今日はこの辺で。