先日のキネ旬シアターは『パトリシア・ハイスミスに恋して』でした。
監督・脚本:エヴァ・ヴィティヤ
出演:マリジェーン・ミーカー、モニーク・ビュフェ
ナレーション:グウェドリン・クリスティ
製作:2022年 スイス・ドイツ 2023年 日本公開
映画『太陽がいっぱい』や『見知らぬ乗客』の原作者として知られる、パトリシア・ハイスミスのドキュメンタリーです。その他『アメリカの友人』や『ふくろうの叫び』なども映画化されるなど人気女流作家です。
私も一時期この作家に凝ったことがあって何冊か読みました。もう随分前のことで内容はほとんど憶えていません。ましてや、彼女の生い立ちや人生については何も知りませんでした。ただ小説は面白かったのではまってしまったことを記憶しています。
彼女が世に出たのは1950年の処女作『見知らぬ乗客』が巨匠アルフレッド・ヒッチコックに認められ映画化されたことによります。
そして1952年には『キャロル』を偽名を使って出版しています。これは何故かというと彼女は同性愛者だったのです。当時の風潮から同性愛は決して歓迎されるものではありませんでした。しかし、この小説は大変な人気を呼び、後に映画化されています。画面にこの映画の場面が映し出された時に、「あっ、観たことある!」と思って、帰ってブログを検索したらやっぱり観てました。我がブログが役に立ちました。というか、忘れっぽさがひどすぎます。
その後の映画『太陽がいっぱい』で彼女の人気は不動のものとなりました。彼女の小説はアメリカではほとんど映画化もしくはテレビドラマ化されています。日本未公開の映画が多数あります。
『太陽がいっぱい』に出てくるリプリー青年も実は同性愛者だったのです。小説『リプリー』シリーズはこの後も続きました。映画『太陽がいっぱい』は後に『リプリー』としてリメイクされています。
順風満帆に見えた彼女の人生も苦悩の人生でした。同性愛者達との出会いと別れ、縁切りまでした母親との確執。映画はスイスで見つかった彼女の日記からその人生を紐解くとともに、彼女と恋人だった女性たちが彼女の私生活を語ります。
彼女が描く『犯罪小説』は犯罪が主題ではなく、あくまでも人間なのだということがよくわかりました。
それでは今日はこの辺で。