Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

映画『ワイルド・ローズ』を観る

昨日のキネ旬シアターは『ワイルド・ローズ』でした。

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監督:トム・ハーパー

主演:ジェシー・バックリー、ジュリー・ウォルターズソフィー・オコネドー

製作:2019年 イギリス 2020年 日本公開

 

イギリス、グラスゴー。2人の幼い子供を抱えるシングルマザー、ローズ。彼女にはカントリー・シンガーになるという夢がありました。

しかし、彼女には犯罪歴がありました。麻薬の密売で1年の刑期を終え、出所したばかりです。入所前に歌っていたクラブもクビになりました。もう一度採用してほしいと頼みますが、前科者はお断りと言われ、暴れて出入り禁止になってしまいます。

子供たちは母親に預けてありました。久々の対面でも子供たちは何かよそよそしい感じです。すっかり祖母に懐いてしまいました。

ローズはアメリカのナッシュビルで歌うという夢を母親に話しますが、母親にはそんな夢は諦めて子育てをしっかりやりなさいと言われてしまいます。

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その後、ローズは資産家のスザンナの家で家政婦として働き始めます。ローズが歌いながら仕事をしていると、それをスザンナの子供たちが聞き入っていました。子供達からその話を聞いたスザンナは興味を持ちました。彼女もカントリーのファンだったのです。

 

ローズはスザンナにナッシュビルの夢を話し、旅費を出してくれないかと頼みますが、それは断られます。しかし、スザンナはローズの歌を録音して知り合いの伝手を頼ってラジオ・パーソナリティのボブ・ハリスにテープを送ります。ハリスはローズの歌を気に入り、ロンドンに来るように連絡してきました。

 

ローズは大喜びでロンドン行きを決めますが、犯罪歴があって行動範囲を決められていました。それでも裁判所と掛け合って、許可を得ました。そしてロンドンへ。途中の電車の中で知り合った男たちと酒を飲んで大騒ぎ。気がつくとカバンやコートを盗まれていました。体一つでボブ・ハリスと面会します。ボブはメッセージを持った自作の曲を作るようにと言い、ローズは自分には何も訴えるものがないとないと気づき、そのままロンドンへ帰ります。

 

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スザンナはホームパーティでローズに歌わせることにしました。ナッシュビル行きの旅費を稼がせるためでした。ローズはその準備のため母親に子供たちの世話をお願いしますが、母親は怒って断ります。仕方なく知人に子供たちの世話を頼みますが、子供達もほったらかしにされて怒ってしまいます。

 

パーティーの前日、スザンナの夫がローズに「お前に前歴があるのは分かっている。子供には近づくな、パーティーが終わり次第出ていけ」と言われます。その日、ローズの子供が大怪我をしてしまいます。ローズは病院に行きますが、翌日のパーティーに行けなくなってしまいます。その時現れた母親に無理やり子供の面倒を頼んでパーティーに向かいます。

 

パーティー会場で遅れてきたローズがステージに上がります。しかしローズは歌えません。ステージを降りたローズはスザンナに自分の前歴と子供が2人いることを話しました。ローズは歌手の夢を諦め、母親としての生活を始めます。

 

そんなある日、母親がローズに金を渡しナッシュビルに行って来いと言います。自分も若い頃、薬剤師になる夢があったが子供できて諦めた。しかしそれは言い訳で、子供に夢を託す方が、自分で夢を追いかける方が楽だから、夢を捨てた。楽な道を選んだ。今はそれを後悔しているというのです。ローズは泣きながらその金を受け取ると、意気揚々とナッシュビルへと向かいます。

 

しかし、チャンスはそう簡単に訪れません。世界中から歌手になる夢を求めて集まってくる街なのです。ローズは街の観光ツアーに参加します。途中で誰もいないコンサート会場に足を踏み入れます。ローズは舞台に立ち歌い始めます。練習をしていたバンドのメンバーが歌に合わせて演奏してくれます。警備員が音楽関係者を紹介しようかと話しかけてきますが、ローズはそれを断ります。ローズはアメリカでの活動は諦め、グラスゴーへ帰る決心をします。ローズは気がついたのです。ここは自分がいる場所ではないと。気持ちも晴れやかに故郷に帰るのでした。

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1年後、ローズはグラスゴーでスザンナや母親、子供たちの前で自作の曲、「グラスゴー」を歌うのでした。グラスゴーは最高!、と。会場は万雷の拍手で埋め尽くされました。

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ローズを演じた主演のジェシー・バックリーは先日観た『ジュディ 虹の彼方に』でジュディの現地秘書を演じていた女優です。歌も抜群でした。

カントリーロックが全編に流れ気持ちの良い2時間でした。それにしても彼女の歌唱力は大したものです。なにか風貌と声がリンダ・ロンシュタッドを思い浮かばせます。

 

歌手になる夢と子育ての両立に悩む母親の姿。粗野で野蛮な女だったローズが母親として、また歌手として夢をかなえ自立するという成長物語でした。

子供たちがいくら母親を恨んでも、やっぱり母親大好きなんだという、そんな場面を魅せられると、ついウルッときてしまいます。歳ですね。

 


映画『ワイルド・ローズ』予告編

 

それでは今日はこの辺で。