Flying Skynyrdのブログ

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映画『明日の食卓』を観る

一昨日のキネ旬シアターは『明日の食卓』でした。

 

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原作:椰月美智子

監督:瀬々敬久

出演:菅野美穂高畑充希尾野真千子

製作:2021年  日本

 

椰月美智子原作の同名小説の映画化です。

 

たまたま同じ姓で同じ名を持つ3人の子供とその母親たちの子育てに悩む母親たちの物語です。

 

映画の冒頭。とある場所で一人の母親が息子に暴力をふるい、壁に打ち付けました。子供は動かなくなりました。

 

ここから3つの家族が登場します。お互いに接点は全くありません。

 

第1の家族

静岡在住の石橋家

母親 石橋あすみ(尾野真千子) 専業主婦

父親 石橋太一 サラリーマン

息子 石橋優(ユウ) 小学5年生

夫の実家の隣に家を建ててもらって、優雅に暮らす一家。夫は子育てに無関心ですが、息子は優しく素直で、成績も優秀。姑とはつかず離れずの距離感。どこから見ても幸せを絵にかいたような家庭です。しかし、その息子が学校でいじめをしていることが発覚。しかもそれは直接手を出さず、人を操っていじめをさせるという陰湿なものでした。さらに姑に対して暴力をふるっていたのです。母親は息子の素顔が信じられません。

 

第2の家族

神奈川在住の石橋家

母親 石橋留美子(菅野美穂) ルポライター

父親 石橋豊 フリーカメラマン

息子 石橋悠宇(ユウ) 小学5年生 弟がいる

妻は元雑誌記者で、現在は二人の子育てをしながらブログ執筆に勤しんでいます。その子育てブログが人気で、元の雑誌社から仕事も入り大忙し。夫はカメラマンですが浮気しており、最近仕事を失い、自暴自棄に。妻は夫の浮気を黙認しており、夫婦仲は冷えています。子育てはすべて妻。暴れん坊でヤンチャな仲の悪い息子たちに手を焼いていおり、言うことを聞かない息子たちをいつも怒鳴りつけています。長男の悠宇はいつも自分ばかり怒られていることに不満を持ちます。家事を一切手伝わない夫と言うことを聞かない子供たちに妻のストレスはたまる一方です。

 

第3の家族

大阪在住の石橋家

母親 石橋加奈 フリーター、シングル・マザー

息子 石橋勇(ユウ) 小学5年生

母親は借金返済のため一日中仕事を掛け持ちして働き詰め。唯一の楽しみは貯金通帳を眺めることです。息子はそんな母親に気を使い悩みを打ち明けられないでいます。ある時学校から呼び出しがあり、もう少し子供に注意を向けて欲しいと忠告されます。借金もあと一回の返済で完済するところまできましたが、昼のアルバイトがクビになり、不安になる中、留守の間にダメな弟が訪ねてきて、通帳と印鑑を盗み出してしまいました。息子は見て見ぬふりをしたのです。母親は気が狂ったようになります。

 

そんな3つの家庭が交互に映し出され、それぞれの母親の子育ての悩みや息子たちの両親に対する思いが描かれていきます。

そして、それぞれの家庭である事件がきっかけとなり、母親たちの息子への怒りが爆発し、首を絞めるところまでエスカレートします。

 

そして冒頭の子殺し事件へと話は展開します。

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果たして冒頭の息子を殺したのはこの3人の母親の内、誰なのか? それとも全く別の事件なのか?・・・。

 

男女共同参画社会などと叫ばれる一方で、世界に名だたる男女不平等社会、日本。子育てに関しても現実社会はいまだに女性に負担が大きくのしかかっているのではないでしょうか。

この映画でも、夫は全く子育てに無関心で妻任せ。挙句の果てが「お前の育て方が悪かったんだ」ときてはたまったものではありません。まさに昭和の時代そのものです。未だにこんな現実があるのです。女性として、また母親としての悩み、一歩間違えれば誰でも陥りそうな事件です。観ている方もつい引き込まれ、いたたまれない思いにさせられました。それでもやっぱり子供にとっては父親ではなく母親の存在が大なのです。

 

菅野美穂の体当たり的な演技は凄かったです。まるで実体験であるかのような凄まじさがありました。実際は優しいお母さんなのでしょうが。

 

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それでは今日はこの辺で。