Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

映画『しとやかな獣』を観る

先日のキネ旬シアターは『しとやかな獣』でした。

 

監督:川島雄三

脚本:新藤兼人

出演:若尾文子船越英二高松英郎伊藤雄之助山岡久乃小沢昭一

製作:1962年 日本

 

キネ旬シアターでは大映4K映画祭」なるものが開催されています。かつての大映作品が何本か4Kにレストアされて上映されているのです。

上映作品は

薄桜記」「しとやかな獣」「赤い天使」「刺青」「山椒大夫」「近松物語」「斬る」「炎上」などです。いずれも観た映画ばかりです。

市川崑川島雄三溝口健二、そして増村保造など1950年代から60年代に活躍した監督の名作が目白押しです。

俳優陣も長谷川一夫市川雷蔵勝新太郎若尾文子川津祐介など懐かしすぎる俳優が顔を見せます。

 

私はこの映画をリアルタイムでは観ていませんが、ビデオで何度か観ていました。劇場で観るのは初めてでした。

この映画は幕末太陽傳で知られる川島雄三監督によるブラック・コメディ作品です。川島雄三はわずか45歳で亡くなった奇才でした。

 

舞台は都内のとある2DKの団地の一室。元陸軍中佐の夫とその夫を立てる一見上品で従順な妻との二人ぐらし。娘は有名作家の2号。息子は芸能プロダクションの集金係。夫は娘と息子を操り小遣いや生活費をを入れさせています。娘は作家から金をせしめ、息子はプロダクションの会計係の女性(若尾文子)と共謀して会社の金を横領。こうして一家の生活は成り立っています。しかし、息子の横領が会社にバレたことで騒動が持ち上がりますが・・・。

 

 

この一家は戦後、極貧状態だったようで、二度とあのような生活には戻らないと固く決意しています。そのために父親は娘を妾にさせ、息子には横領をさせ、安い団地ではありますが不自由ない生活を送っています。その日常を壊すような騒動が巻き起こりますが、夫婦はいたって冷静に受け止め、娘や息子を宥めます。

 

息子を女の身体を武器に篭絡し、会社の金を横領し、自分の旅館を開業させた会計係(若尾文子)のしたたかさがこの映画のタイトル「しとやかな獣」になっているのかと思いきや、実は母親の山岡久乃、こっちが「しとやかな獣」なのではないかと思えてきました。何が起きても冷静に、夫を立てながら、子供たちを宥めすかし、今の生活を守り通すという強い意志が、その冷めた目つきから感じられます。

独特の定点カメラ・アングルがこの映画の異常さを表現しています。団地の一室をあらゆる方向から撮り、まるで隠し撮りでもしているような感覚を覚えます。

この映画は川島雄三が亡くなる前年に上映された映画です。松竹、東宝そして大映と移り、大映で3本の作品を撮りました。いずれも若尾文子が主演でした。人間の本性を面白おかしく描いた作品が多かったように思います。

 

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それでは今日はこの辺で。