今日の「聴き比べ」は『蒲田行進曲』です。
私などは『蒲田行進曲』と言えば、1982年のあの名作映画とその同名曲を思い浮かべますが、調べてみるとこの曲は1929年(昭和4年)の松竹映画『親父とその子』の主題歌であることがわかりました。監督は五所平之助です。
その時は川崎豊と曽我直子のデュエットでした。原曲はチェコの作曲家ルドルフ・フリムルのオペレッタ『放浪の王者』の中の「放浪者の歌」で、その旋律に堀内敬三という作詞・作曲家が詩を付けたものです(Wikipediaより)。
作詞:Brian Hooker
作曲:Rudolf Friml
訳詞:堀内敬三
虹の都光の港 キネマの天地
花の姿春の匂い あふるるところ
カメラの眼に映る かりそめの恋にさえ
青春もゆる 生命(いのち)はおどる
キネマの天地
胸を去らぬ想い出ゆかし キネマの世界
セットの花と輝くスター ほほえむところ
瞳の奥深く 焼付けた面影の
消えて結ぶ 幻の国
キネマの世界
春の蒲田花咲く蒲田 キネマの都
空に描く白日の夢 あふるるところ
輝く緑さえ とこしえの憧れに
生くる蒲田 若き蒲田
キネマの都
63青春歌年鑑 戦前編 1 昭和3年~8年 VICL 62732VICL 62733 11 蒲田行進曲川崎豊、曽我直子
そして1982年に名作『蒲田行進曲』が上映されました。
監督:深作欣二
脚本:つかこうへい
製作:松竹・角川
この映画はつかこうへいの戯曲をつかこうへい自身が映画用に脚本を書き、深作欣二がメガホンをとりました。「銀ちゃん」役は当初松田優作に依頼したが断られたため風間杜夫を抜擢しました。これが当たりました。ヤス役の平田満もいい味を出していました。小夏役の松坂慶子がそれはそれは美しかった。
階段落ち、そしてラストのどんでん返し。笑いあり涙ありの傑作でした。
そしてこの映画の挿入歌として使われたのが『蒲田行進曲』です。歌っているのは、松坂、風間、平田の3人です。
この曲をあがた森魚が1974年のアルバム『噫無情(レ・ミゼラブル) 』でカバーしました。これもまたいいです。タイトルは『蒲田行進曲 ’74』です。2番までになっています。松本隆がプロデュースしはちみつぱいのメンバーがバックを務め、緑魔子もヴォーカルで参加しています。前作の『乙女の儚夢』に引き続き大正ロマンあふれるアルバムです。
それでは今日はこの辺で。