今日の「この人の、この1枚」はピート・タウンゼント(Pete Townshend)の『エンプティ・グラス(Empty Glass)』です。
ピート・タウンゼントはご承知の通りザ・フー(The Who)のリーダーです。
ピートはザ・フーの活動の傍ら、ソロアルバムの制作も同時に行っていました。メジャーからの最初のアルバムは1972年の『Who Came First』です。それ以前にも『Happy Birthday』や『I Am』という彼が教えを乞うていたインドの導師に捧げるチャリーティーアルバムを出していましたが、あくまでもプライベートでした。この海賊版が出始めたので、正式なソロアルバムとして『Who Came First』を発表したのです。
それからしばらくはソロ活動は控えていました。1976年に再びチャリティーアルバム『With Love』を制作する程度でした。
1977年には親友であるフェイセズ(Faces)のロニー・レーン(Ronnie Lane)と共同で『Rough Mix』を制作・リリースしました。
そんな中、1978年にザ・フーのドラマー、キース・ムーン(Keith Monn)が急逝、代わりにフェイセズからケニー・ジョーンズを迎えて再出発をしました。しかし、キースの死はピートにとってバンド活動に集中させる意欲を奪ったようです。ピートは再びソロ活動に集中するようになりました。
そして1980年に3枚目のソロアルバムとして発表されたのが『エンプティ・グラス(Empty Glass)』です。
Side A
1.Rough Boys
2.I Am An Animal
3.And I Moved
4.Let My Love Open The Door
5.Jools And Jim
Side B
1.Keep On Working
2.Cat's In The Cupboard
3.A Little Is Enough
4.Empty Glass
5.Gonna Get Ya
レコーディング・メンバーは
Pete Townshend – vocals; guitars; synthesizers
John "Rabbit" Bundrick – keyboards
Tony Butler – bass guitar
Simon Phillips – drums
James Asher – drums
Kenney Jones – drums
Mark Brzezicki – drums
Peter Hope-Evans – harmonica
プロデュースはクリス・トーマス(Chris Thomas)です。
このアルバムはいい曲が揃い、全米5位と大健闘でした。しかし、ケニー・ジョーンズはピートがソロアルバムのためにいい曲を揃え、ザ・フーの活動をおろそかにしていると批判しました。さらに、ヴォーカルのロジャー・ダルトリーがケニーとプレイするのは嫌だと言い出し、ピートは間に挟まって次第に消耗していきました。その結果、ご多分に漏れずアルコールとドラッグに溺れていきました。
薬物治療を経て、4枚目のソロアルバム『All the Best Cowboys Have Chinese Eyes』をリリースします。
しかし、彼の精神状態は限界に達しており、1983年、バンドは正式に解散しました。
その後もピートはソロアルバムをリリースしています。ザ・フーのほうも何度か再結成しています。2004年にはザ・フーとしての初来日を果たしました。
2015年にはロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団とロンドン・オリアーナ合唱団とのコラボでオーケストラ版『四重人格』リリースし全英チャートの32位になりました。
ピート・タウンゼント、現在75歳。ますます元気です。
Pete Townshend - Let My Love Open The Door
Pete Townshend - Keep on Working
それでは今日はこの辺で。