今日の「この人の、この1枚」は引き続き、キャンド・ヒート(Canned Heat)の5作目『未来のブルース(Future Blues)』です。
1970年、新メンバーによるアルバム『未来のブルース(Future Blues)』がリリースされました。新メンバーのハーヴィー・マンデル(Harvey Mandel,g)はハーピストのチャーリー・マッセルホワイト(Charlie Musselwhite)のバンドにいたギタリストです。
ヘンリー・ヴェスティンが退団した後、キャンド・ヒートのフィルモア・ウェストでのライヴでヘンリーの代わりにギターを担当したのがきっかけでバンド入りしました。ちなみに、この時に最初のピンチヒッターはマイク・ブルームフィールドでした。
Side A
1.Sugar Bee
2.Shake It and Break It
3.That's All Right (Mama)
4.My Time Ain't Long
5.Skat
6.Let's Work Together
Side Two
1.London Blues
2.So Sad (The World's in a Tangle)
3.Future Blues
メンバーは
Bob Hite – vocals
Alan Wilson – slide guitar, vocals, harmonica
Harvey Mandel – lead guitar
Larry Taylor – bass
Adolfo de la Parra – drums
アディショナル・ミュージシャンとして
Dr. John – piano, horn arrangements
Ernest Lane – piano
プロデュースはスキップ・テイラー(Skip Taylor)とキャンド・ヒートです。
A1はエディ・シュラーの曲。
A2はチャーリー・パットンの曲。
A3はアーサー”ビッグ・ボーイ”クラダップの曲で、プレスリーで有名になりました。
A4はアラン・ウィルソンの曲。
A5もアランのジャズ風な曲でアランのスキャットです。
A6はウィルバート・ハリソンの曲ですがこれが大ヒットします。キャンド・ヒートの最大のヒットになりました。
B1はアランの曲でドクター・ジョンのピアノが聴かれます。
B2はキャンド・ヒート全員。
B3もキャンド・ヒート全員。
このアルバムでもアランは4曲でヴォーカルを担当しています。
このアルバムはジャケットも話題になりました。前年に月面着陸に成功したアメリカ。アランは環境保護に熱心でした。アメリカが地球の次に月の環境も汚染するのではないかとの危惧と硫黄島攻略をパロって星条旗を逆さまに立てています。
そのアラン・ウィルソンにとってこのアルバムがキャンド・ヒート単独の最後のスタジオアルバムとなりました。
このアルバム・リリースの後、バンドはヨーロッパツアーに出ます。帰国してからラリー・テイラーとハーヴィー・マンデルはジョン・メイオールのバンドに加わります。代わりに再びヘンリー・ヴェスティンが戻り、ベースにはアントニオ・デ・ラ・バレダ(Antonio de la Barreda,b)が加わりました。
このメンバーでジョン・リー・フッカー(John Lee Hooker)とのアルバム制作のためのレコーディング・セッションを開始しました。フッカーはアランを「史上最高のハーピストだ」と賛美しました。
最初のセッションが終わった直後に、アランはそれまでも鬱病に苦しんでいましたが、トパンガ・キャニオンのボブ・ハイトの家の近くで車の事故により亡くなりました。遺体は山の中腹で発見されました。メンバーは薬の過剰摂取による自殺ではないかと言いいましたが原因は不明です。9月3日、27歳でした。この2週間後にはジミ・ヘンドリックスが、そして1か月後にはジャニス・ジョプリンが同じ27歳で亡くなりました。
この年に、生前のアラン・ウィルソンの様子を伝えるヨーロッパ・ツアーの模様がライヴ・アルバムとして発売されました。『Canned Heat '70 Concert Recorded Live in Europe』です。これは次回に回します。
Canned Heat - Future Blues - 03 - That's All Right, Mama
CANNED HEAT - LET'S WORK TOGETHER
Canned Heat - Future Blues - 07 - London Blues