先日のキネ旬シアターは『凪待ち』でした。
監督:白石和彌
製作:2019年 日本
あるギャンブル狂いの男の転落と再生の物語。
ギャンブル狂いの男、木野本郁男は勤めていた印刷所をリストラになりました。それを機に同棲相手の亜弓と彼女の高校生の娘・美波と共に彼女の故郷・石巻へ移り住むことになりました。実家では亜弓の漁師の父親・勝美と同居です。勝美は末期の癌を患っています。勝美は口をきいてくれません。
郁夫は近所の小野寺に紹介してもらった印刷所に勤めることができ、新生活が始まりました。小野寺はその後も何かと郁夫や亜弓の面倒を見てくれます。郁夫はギャンブルもやめてまともな生活を送り始めましたが、やがて職場の仲間に誘われて競輪のノミ屋に出入りするようになりました。そして再び賭け事にのめり込むようになりました。
そんなある日、亜弓と美波は美波のタバコの件で口論になり、美波が家を出て行ってしまい、なかなか帰ってきません。亜弓は心配になり郁夫と一緒に車で探しに出かけます。郁夫は亜弓を宥めようと声をかけますが、亜弓は逆に「自分の子じゃないから平気なんだ!」と喧嘩になり、郁夫は怒って亜弓を車から降ろしてしまいます。
しばらくして、郁夫は美波を見つけました。しかし、その時警察から亜弓が殺されていることを知らされるのでした。郁夫は自分のせいで亜弓が殺されたと責任を感じ自暴自棄になって、ギャンブルにのめり込むようになりました。そして警察からも殺人の疑いをかけられ、会社も辞めさせられました。ギャンブルは負け続け、借金まみれになってしまいます。
そんな郁夫をみて勝美は自分の船を売って、その金を「身ぎれいになれ」と郁夫に渡します。郁夫はノミ屋に謝金を返済し、余った金で一世一代の大勝負に挑むのでした。さて、その結果は・・・。そして亜弓殺しの意外な犯人が判明するのです。
私も若い頃、私の場合は競馬だったのですが、それまでは競馬場で買っていたものが、ネット購入ができるようになってからは1日36レース、あげくには中央競馬のみならず公営競馬にまで手を出して、一時はギャンブル漬けになったので、郁夫の気持ちは良くわかります。競馬は記憶力の勝負ですから、記憶力の低下と共に的中率も落ちてきて自然に遠ざかることができました。この映画のように石巻あたりでは競輪場も無いので、ノミ屋に頼らざるを得なかったのでしょう。もっとも、今はネットで競輪も買えるので、借金さえしなければ大丈夫です。ギャンブルは楽しめなくなったら危険水域です。
それにしても、香取慎吾の「クズ野郎」ぶりはなかなか堂に入っていました。それから義父役の吉澤健がいい味を出していました。娘役の恒松祐里は最近テレビでよく見かけますがかわいいです。
それでは今日はこの辺で。