先日のキネ旬シアターは『コットンテール』でした。
監督・脚本:パトリック・ディキンソン
出演:リリー・フランキー、錦戸亮、木村多江、高梨臨、キアラン・ハインズ
製作:2023年 イギリス・日本
日英合作映画。監督は日本に留学経験があったそうです。タイトルの「コットンテール」とはイギリスの『ピーターラビットのおはなし』に登場するピーターの妹の名前です。
話の内容は妻に先立たれた男が、妻の遺言に従いイギリスの湖に散骨に行くというお話です。
60歳台の作家・兼三郎の最愛の妻・明子は辛い闘病生活の末に亡くなりました。明子は生前に一通の手紙を書いて住職に託していました。葬儀の日、兼三郎はそれを住職から受け取りました。そこには自分の遺灰をイギリスのウィンダミア湖に撒いて欲しいというものでした。その湖は『ピーターラビット』の発祥の地で、明子が幼い頃、家族で訪れた場所だったのです。いつか兼三郎と息子の慧(トシ)と3人でいきたいと思っていたのでした。
兼三郎は疎遠になっている慧とその妻さつき、孫のエミの4人でイギリスに向かいます。しかし、兼三郎と慧は会話も少なく、ことあるごとに言い争いになり、兼三郎は一人で湖に向かってしまうのです。ところが、途中で道に迷ってしまい、迷子になってしまうのです。仕方なく付近の農場に助けを求めるのですが・・・。
この映画はロードムービー形式になっていますが、夫婦愛と親子関係の修復の物語です。但し、夫婦生活の詳細や父と息子の折合いの悪さの原因などは描かれていません。
妻が認知症になり夫は一人で介護。息子が手伝おうとしますが父親は拒否。あくまで一人でやると頑なです。もともと自分の世界に閉じこもりがちな男で、息子も寄り付かなくなっていました。
妻はまだ意識があるときに夫にある依頼をするのです。しかし、その約束を夫は果たすことができなかったのです。そのために頑なに最後の仕事だけは自分で成し遂げようと、息子の助けを突っぱねていたのですが、実は息子は母が父親に依頼した内容を母親から打ち明けられていたのです。それを知った父親は肩の荷が下りたように息子と向き合うことが出来るようになるのです。
過去の出来事がフラッシュバックのように挿入されながら、物語は進みます。迷子になった兼三郎を助けた地元の父娘との触れ合いも彼の気持ちを和らげていきます。
ありきたりの話ですが、見どころはリリー・フランキーのわがまま親父ぶりでしょうか。
それでは今日はこの辺で。