昨日のキネ旬シアターは『マリッジ・ストーリー』でした。
監督・脚本:ノア・バームバック
主演:スカーレット・ヨハンソン、アダム・ドライバー、ローラ・ダーン
製作:2019年 アメリカ・イギリス
舞台監督として活躍する夫チャーリー、そしてその舞台に立つ女優で妻のニコール。一見上手くいっているような夫婦ですが、離婚調停の真っ最中なのです。
ニコールの中では既に離婚は決定的でした。ニコールは実家のロサンゼルスに戻り、息子のヘンリーと暮らしテレビドラマへの出演や監督への挑戦も考えていました。
一方チャーリーはブロードウェイの舞台が決まっています。ニコールにはテレビ出演の間だけロサンゼルスに帰ることを許しています。
穏便な協議離婚をするつもりでいましたが、ニコールが雇った女弁護士によって意外な展開が待ち受けていました。
冒頭のシーンではお互いの長所を書くという場面で始まります。調停員がそれをお互いに読み上げましょうと誘導しますが、ニコールは断固拒否して出て行ってしまいます。
その内容はお互いに認め合って愛し合っていた時期があったという事実でした。しかし、監督と女優という微妙な位置関係がやがて破局を迎えることになってしまったのです。
お互いに穏便な離婚を望んだはずでしたが、ニコールの雇った弁護士によって協議は泥沼化していきます。そして二人の激しい罵り合いが始まります。見ている方も辛くなるくらいです。
結局、息子の親権は55対45でニコールが僅かに上回ったものの、ほぼ同等の権利が与えられました。そして息子は両親の間を行ったり来たりしながらの生活が始まりました。二人の関係も夫婦関係とは違った関係性を築いていくことになるのです。
どんなに愛し合って結婚しても人の気持ちは変わります。しかも、お互いに仕事を持ち、子供が生まれ成長してくれば、その環境も変わり、お互いも成長し、人生観も当然変わってくるでしょう。お互いの気持ちが離れた時に留まるか別れるかの判断は人それぞれですが、この決断は結婚の決断よりもはるかに重たいものでしょう。
昔から離婚に要するエネルギーは結婚のそれよりはるかに大きいと言われていましたが、この映画を見て改めて実感しました。
最初から最後まで離婚話で、しかも2時間20分近くの長い映画です。そして二人の罵り合いは凄まじく、少々気持ちが萎えました。理想の夫婦のように見えて、実は気持ちはすっかり離れてしまっている。そんな夫婦、いっぱいありそうです。人の気持ちは移ろいやすい。くわばらくわばら。
それでは今日はこの辺で。