今日の「聴き比べ」は『悲しい酒』です。
『悲しい酒』と言えば女王美空ひばりさんですが、実はひばりさんの前に歌っていた人がいました。北見沢淳さんという人です。発売は1960年でした。しかしさっぱり売れませんでした。彼は松竹の俳優でしたが声の良さを買われ日本コロムビアと契約し、シングルを何枚か発売しましたが全く売れませんでした。その結果生活は荒れ、酒・暴力・女性トラブルが会社の耳に入り、整理対象になりました。そしてラストチャンスとして『悲しい酒』が提供されたのです。しかし全く売れず、彼は解雇されました。そして再び生活は荒れ荒み、ひばりバージョンが発売された直後に30歳の若さで病死したのです(ウィキペディアより)。
その後、1966年にひばりさんの曲がなかなか決まらずにいたところ、この曲をカバー曲であることを伏せてひばりさんへ提供したのです。ひばりさんは気が進まず録音したようです。当初はセリフ無しでした。そしてテンポももう少し速かったように記憶しています。セリフはひばりさんの要望で石本美由紀が一晩で書き上げたそうです。そして大ヒットを果たしました。ひばりさんの代表曲のひとつになりました。ひばりさんがこの歌を歌う時には必ずと言っていいほど涙を流しましたが、その理由について「小さい頃のつらかった出来事を思い出している」とのことです。

悲しい酒
作詞:石本美由起
作曲:古賀政男
ひとり酒場で 飲む酒は
別れ涙の 味がする
飲んで棄てたい 面影が
飲めばグラスに また浮かぶ
(セリフ)
「ああ 別れたあとの心残りよ
未練なのね あの人の面影
淋しさを忘れるために
飲んでいるのに
酒は今夜も私を悲しくさせる
酒よどうして どうしてあの人を
あきらめたらいいの
あきらめたらいいの」
酒よ心が あるならば
胸の悩みを 消してくれ
酔えば悲しく なる酒を
飲んで泣くのも 恋のため
ひとりぼっちが 好きだよと
言った心の 裏で泣く
好きで添えない 人の世を
泣いて怨んで 夜が更ける
北見沢淳バージョン
美空ひばりバージョン
おちよさん(島倉千恵子)
島津亜矢さん。上手い!
ちあきなおみさん
八代亜紀さん。
それでは今日はこの辺で。