昨日の続きです。
ザ・バンドの活動休止に伴って、リック・ダンコは早速ソロアルバムの制作に取り掛かりました。そんなん中、もう一人のメンバー、レヴォン・ヘルムもabcレコードと契約し、ソロアルバムの制作に取り掛かりました。そして、リック・ダンコとほぼ同時期にファーストアルバムをリリースしました。厳密にはソロアルバムではなく、レヴォン・ヘルムがリーダーのグループを結成したのです。それがザ・RCO・オールスターズです。
なお、ザ・バンドとリック・ダンコについては過去の記事を参考までに。
このバンドのメンバーは次の通りです。
ブッカーT.ジョーンズ(Booker T.Jones,key,per)
スティーヴ・クロッパー(Steve Cropper,g)
ドナルド・"ダック"・ダン(Donald "Duck" Dunn,b)
ドクター・ジョンこと
マック・レべナック(Mac Rebennack,key)
ポール・バターフィールド(Paul Butterfield,harp)
フレッド・カーター・J(Fred Carter,J,g)
ホーンセクションとしてBS&Tから後にブルース・ブラザースに参加する
アラン・ルビン(Allan Rubin,trumpet)
ルー・マリニ(Lou Marini,sax)
トム・マローン(Tom Malone,trombone)
それと
ハワード・ジョンソン(Haward Johnson,sax,tuba)
サウンド・エンジニアが
エディ・オフォード(Eddie Offord)
そして
レヴォン・ヘルム(Levon Helm.vo,ds)
以上12人です。
1977年、アルバム『レヴォン・ヘルム&ザ・RCO・オールスターズ』がリリースされます。
変形ジャケットになっており、中袋を抜くとこのようになります。
Side A
1.Washer Woman
2.The Tie That Binds
3.You Got Me
4.Blues So Bad
5.Sing, Sing, Sing (Let's Make A Better World)
Side B
1. Milk Cow Boogie
2.Rain Down Tears
3.A Mood I Was In
4.Havana Moon
5.That's My Home
A-1 ドクター・ジョン(マック・レベナック)の作品。ドクター・ジョン得意のR&Bです。ノリがいい曲です。
A-2 これはドクター・ジョンとボビー・チャールズの共作。彼もウッドストックの住人で仲間です。レヴォンがちょっと声を変えて歌っています。
A-3 ブッカーTとドナルド・ダック・ダンの作品。スローテンポのR&B。
A-4 レヴォン・ヘルムがアレンジにかかわった作品。これもスローテンポのR&B。ヘンリー・グローバー作。
A-5 R&B、ブルースのアール・キングの作品。
B-1 ブルースマン、ココモ・アーノルドの作品。バターフィルドのハープが聴きどころです。
B-2 これもヘンリー・グローバーの作品。1940年~50年に活躍したR&Bマ ン。
B-3 メンバーのフレッド・カーター・Jrにの作品。彼は一時期、ザ・バンドの前身、ホークスにも在籍していました。
B-4 チャック・ベリーの作品。淡々と流れるメロディー。
B-5 ドクター・ジョンとレヴォン・ヘルムの共作。ゆったりとした、いかにもウッドストック・サウンドという感じです。
この翌年、1978年、レヴォン・ヘルムはリック・ダンコ来日から約1か月後にRCO オールスターズのメンバーを引き連れて来日を果たしました。これもリック・ダンコに引き続き観に行きました。リック・ダンコの時のように居眠りに気を付けながら。ステージの華やかさに圧倒されました。
この年にレヴォン・ヘルムはセカンドアルバムを発表します。今度は単独名義です。RCO オールスターズが解散したかというと、そうではなくMG’Sのドナルド・"ダック”・ダンがプロデュースしスティーヴ・クロッパーも参加、ホーン・セクションも今まで通りで、新たにマッスル・ショールズの有名なミュージシャン、デヴィッド・フッド、ロジャー・ホーキンス、バリー・ベケットなどが加わりました。録音はハリウッドとマッスル・ショールズで行われました。
アルバム名は『Levon Helm』です。
そして1980年にサードアルバム『America Son』がリリースされます。今回はナッシュビル近郊での録音です。参加ミュージシャンもカントリー系の連中です。プロデュースはファーストからずっと付き合っているフレッド・カーター・Jrです。
見事なアメリカン・ロックアルバムに仕上がりました。
この後、レヴォン・ヘルムはザ・バンドの再結成に合流し、1998年の解散まで在籍し、その後は再びソロ活動に入りますが、1996年に喉頭癌に罹り、歌うことは絶望的になり、ドラムとマンドリンなどに専念します。
ところが奇跡的に声が復活し、ソロアルバムを発表します。これがグラミー賞のベスト・トラディショナル・フォーク・アルバムを受賞します。
しかし、2012年に71歳で亡くなりました。
これでザ・バンドのメンバーはロビー・ロバートソンとガース・ハドソンを残すのみとなりました。リチャード・マニュエルは既に1986年に42歳で亡くなっています。
光陰矢のごとし、時の経つのが早すぎます。
Levon Helm - "Washer Woman" - 1977
Levon Helm - "Blues So Bad" - 1977
それでは今日はこの辺で。