昨日のキネ旬シアターは『ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』でした。
監督:ダニエル・ロアー
出演:ロビー・ロバートソン、リック・ダンコ、レボン・ヘルム、ガース・ハドソン、リチャード・マニュエル他
製作:2019年 カナダ 2020年 日本公開
1976年に解散した「ザ・バンド」のロビー・ロバートソンの自叙伝『ロビー・ロバートソン自伝 ザ・バンドの青春』に基づいて映画化されたドキュメンタリーです。
従って、ザ・バンドのドキュメンタリーというよりはロビー・ロバートソンから見たザ・バンドとそのメンバー達という視点になっています。
映画は「クリップル・クリーク」に乗せて、クラプトンやタジ・マハール、ブルース・スプリングスティーンらのインタビューで始まります。以下、
・ロビー・ロバートソンの幼少時代~
・ロニー・ホーキンスとの出会い~
・ザ・ホークスへの加入~
・メンバー達との出会い~
・ボブ・ディランとの出会い~
・ディランとのツアー・レヴォン・ヘルムの脱退~
・ドミニック(妻)との出会い~
・ビッグ・ピンクでのレコーディング~
・ザ・バンドの結成とファースト・アルバムリリース~
・結婚・子供の誕生~
・メンバーの酒と麻薬・自動車事故~
・ディランとのツアー再開
・ロビーとメンバー間の亀裂~
・「ラスト・ワルツ」の企画・開催~
・メンバーのその後
という流れで進行します。
途中、メンバーの他、マーティン・スコセッシ、ボブ・ディラン、ブルース・スプリングスティーン、エリック・クラプトン、ロニー・ホーキンス、ヴァン・モリソン、ピーター・ガブリエル、タジ・マハール、ジョージ・ハリソン、ドミニック・ロバートソンらのインタビューを交えます。
クラプトンが「ザ・バンドを聴いてクリームを辞めようと思った」とか、タジ・マハールが「ビートルズに対抗できるアメリカのバンドはザ・バンドしかいなかった」などと、多少のお世辞が入っていたとしてもうれしいことを言ってくれています。
ロビーとレヴォンの確執は結局バンドを解散に追い込みました。家庭を大事にするロビーと家庭を顧みない他のメンバーとの人生観の違いも大きかったのかもしれません。また麻薬の使用に関しての罪悪感のズレもあったのでしょう。あれほどお互いに信頼し喜びも悔しさも分かち合ってきた者同士でも理解しえない部分が出てきてしまうのかもしれません。
この映画はあくまでもロビーの視点で描かれています。映画『ラストワルツ』ではレヴォン・ヘルムもリック・ダンコもまた違った考えを語っていました。解散後もレヴォンはロビーのことを散々罵っていたようです。
解散後、他のメンバーが再結成に動きましたが、ロビーは参加しませんでした。しかし、レヴォンの死に際には立ち会ったようです。ベッドで眠るレヴォンの手を握りましたが反応はありませんでした。
ザ・バンドもロビー・ロバートソンとガース・ハドソンを残すのみとなってしまいました。1960年~70年代のアメリカン・ロックを牽引した偉大なるバンドでした。
アメリカン・ニューシネマの代表作『イージー・ライダー』で流れた「ザ・ウェイト」は間違いなく名曲で、ザ・バンドの名前を世界中に知らしめました。この曲を最初に聴いたボブ・ディランは「凄い!」と叫んだようです。
グレイトフル・デッド、オールマン・ブラザーズ・バンドと並びアメリカの三大バンドなどと言われた時代もありました。そして「ラストワルツ」のコンサートは忘れられません。ザ・バンドへの思い出は尽きることがありません。
オープニングとエンディングでロビーの「Once Were Brothers」が流れます。なんとももの悲しい限りです。
ザ・バンド関連はこれまでにも数多く記事を書いてきました。その一部を下記に揚げておきます。
キネ旬シアターも今年はこの映画が見納めになりそうです。最後に大好きなザ・バンドの映画が観れて幸運でした。
それでは今日はこの辺で。