ザ・バンド(The Band)のメンバーのソロアルバムについてはリック・ダンコ(Rick Danko)もレヴォン・ヘルム(Levon Helm)も書いてきましたが、肝心なロビー・ロバートソン(Robbie Robertson)についてはまだ書いていませんでした。
1976年のザ・バンドの解散以後、ロビー・ロバートソンはかつてのメンバーのソロアルバムへの参加やニール・ダイアモンド、トム・ペティなどのプロデュースや映画のサウンドトラックのプロデュースは行ったものの、自身のソロアルバムについては制作しませんでした。バンドの再結成にも参加しませんでした。
1987年、解散後10年経って、ようやく初のソロアルバムをゲフィン・レコードからリリースしました。
タイトルは『Robbie Robertson』です。
ゲスト陣はバンドのメンバーからリック・ダンコとガース・ハドソン、それからピーター・ガブリエル、U2のメンバー、ネイヴィル・ブラザーズ、ローン・ジャスティスのマリア・マッキーなど多彩でした。
このアルバムは世間的には好意的に迎えられました。ビルボードの35位にまで達しました。それでも私個人的にはあまりピンときませんでした。10年経っても、どうしてもザ・バンドのロビー・ロバートソンという印象が拭えず、このニューウェイヴ的なサウンドにしっくりきませんでした。当時の人気者ピーター・ガブリエルやU2の参加が多大な影響を与えていたと思います。
そしてさらに4年。1991年にセカンドアルバム『Storyville』がリリースされました。
ゲスト陣はバンドからリック・ダンコとガース・ハドソン、それにニール・ヤング、ネイヴィル・ブラザーズ、ブルース・ホーンスビー、ミーターズ、ブルー・ミッチェル、ジンジャー・ベイカーなど。
ニューオリンズの売春地区、ストリーヴィルを題材にしたコンセプトアルバムになっています。ニューオリンズのミュージシャンが多数参加しました。このアルバムもビルボードで69位、シングル「What About Now」は15位になりました。
ロビー・ロバートソンがインディアンの血を引いていることを公表してから、テレビ番組の『The Native Americans』の音楽を担当し、1994年にこれが第3作目のソロアルバム『Music for The Native Americans』として発表されました。
同じくインディアンのチェロキー族出身のリタ・クーリッジも参加しています。
インディアン・ミュージックとエレクトロの融合です。
そしてさらに4年。1998年に4枚目のアルバム『Contact from the Underworld of Red Boy』をリリースします。
ここでもリタ・クーリッジが参加しています。
これも前作同様、インディアン・ミュージックの流れをくむアルバムになっています。
実をいうと、ここで彼のソロアルバム購入は止めようと思いました。と言ってもこの後また3年空くのですが、もうこれ以上はいいかと、と思ったのです。この頃は、どうしてもこの手の音楽の良さが分からなかったのです。
そして3年後の2011年、5枚目のアルバム『How To Become Clairvoyant』がリリースされます。
買わないつもりでいたのに、何故か買ってしまうのです。悲しいサガです。
ここにはエリック・クラプトン、スティーヴ・ウィンウッド、トム・モレロ、ジム・ケルトナー等が参加しています。
クラプトンとウィンウッドの参加は嬉しいですが、期待はありませんでした。
例によって静かで重々しく始まるオープニング。ああ同じだな、と思いながら聴き続けていくと、これが不思議。どんどん嵌り込んでいくのでした。おそらく、それまでのアルバムとそんなに変わっていないはずだと思い、これまでのアルバムを聴き返してみました。するとどうでしょう。あれほどつまらなく感じていたアルバム達が生き返ってきました。何度聴いても飽きないアルバム群になりました。
ちなみにこのアルバムはビルボードの13位になり、彼自身の最高記録となりました。
さすがにロビー・ロバートソン、しっかり聴いてくれよ、ということだったのでしょう。それ以来、飽きずに何度も繰り返し聴くようになりました。やはり彼は只者ではありませんでした。
こういうこともあるから人間の感性は面白い。時によって趣向が変わります。
今のところ新譜は発表されていないようです。
Robbie Robertson - When The Night Was Young
それでは今日はこの辺で。