1960年代末当時、超速弾きギターで一世を風靡したアルビン・リー率いるテン・イヤーズ・アフター(T.Y.A)を憶えている人はどのくらいいるでしょうか。ウッドストック・フェスティバルの映画でもそのギター速弾きの雄姿は観れました。
彼らの2枚目のアルバムがライブアルバムなのですが、こ今日取り上げるアルバムです。クルックス・クリークの鉄道ホテルでのライブです。
ちょっと見にくいですが、裏ジャケットに”アートロックの若き獅子”なんていうタイトルが付けられたいます。当時はこの手のロックをニューロックだのアートロックなどと呼んでいました。クリームやジミヘン、ドアーズ、グレイトフル・デッド、キャンド・ヒート、などなどブルースを基本としたバンドは大体においてそのように呼ばれていました。
このT.Y.Aも当然ブルースが根底に流れています。さらにメンバーがジャズに対する造詣が深いため、ブルースとハードロック、ロックンロール、ジャズなどを取り入れた当時としてはプログレッシブな音楽性を持ったバンドでした。
1967年にファーストアルバム『Ten Years After』でアルバムデビューしますが、これはオリジナルもありますが完全なブルースアルバムです。
そして1968年にセカンドアルバムとして発表されたのが『Undead』です。先に挙げたジャケットは日本盤のジャケットでオリジナルジャケットはこれです。CDには未発表曲がかなり追加されています。
Side A
1.I May Be Wrong, But I Won't Be Wrong Always
2.Woodchopper's Ball
Side B
1.Spider in My Web
2.Summertime~Shantung Cabbage
3.I'm Going Home
メンバーは
アルビン・リー(Alvin Lee,g,vo)
レオ・ライオンズ(Leo,Lyons,b)
リック・リー(Ric Lee,ds)
チック・チャーチル(Chick Churchill,key)
です。
プロデュースはブルースロックではおなじみのあのマイク・ヴァーノン(Mike Vernon)です。
A-1 10分を超えるジャズです。メンバー全員が影響を受けたミュージシャンにジャズ・ミュージシャンを上げていることからも、当然の演奏か。
A-2 これはジャズの大御所、ウディ・ハーマンのヒット曲。アルビン・リーの速弾きギターが堪能できます。それにチック・チャーチルのオルガン、レオ・ライオンズのベース・ソロもいいんです。
B-1 ブルースナンバー。ここにきてようやくブルースが聴かれます。アルヴィンの声は黒人のブルースマンを思わせる不思議な声をしています。
B-2 ガーシュインの「サマータイム」ではじまり、続いてリック・リーのドラムソロが続きます。
B-3 T.Y.Aの代表曲。ウッドストックの映画でも演奏されていた曲。汗を噴き出しながらのアルヴィン・リーの熱演、ギターソロは凄かった。
その後、T.Y.Aは8枚のアルバムを残し1974年に解散します。中でも私が好きなアルバムは『Ssssh 名前のない朝』ですね。また、1972年にはプロコル・ハルムと共に来日しジョイントコンサートがありました。
アルヴィン・リーはT.Y.A解散後ソロ活動に入ります。ソロ第1作目がアメリカのゴスペルシンガー、マイロン・ルフェーブル(Mylon Lefevre)との共演盤です。ジョージ・ハリソンやスティーヴ・ウィンウッド、ロン・ウッドなどが参加したアルバム『On The Road To Freedom』です。
T.Y.Aとは全然違った一面を見せています。レイドバックです。いい感じに出来上がっています。
さらに、Alvin Lee & Co.を結成して2枚組のライブアルバムをリリースします。1974年の『In Fight』は傑作になりました。レイボー・シアターでのライブです。
プレスリーの曲もカバーし、ロカビリー、ロックンロールオンパレード。
色々な一面を見せてくれたアルヴィン・リーでした。
その後、T.Y,Aの再結成を果たし、ソロ活動も続けますが、2013年に手術の合併症で亡くなります。
アルヴィン・リーはもういませんが、ギター速弾きのあの姿は今でも頭から離れません。
Ten Years After - I'm Going Home - 1968
それでは今日はこの辺で。