以前にブックオフで86円CDを購入した記事を書きましたが、その続きです。
今日は『フィオナ・アップル(Fiona Apple)/真実(When the Pawn...)』です。
フィオナ・アップルについては名前だけは知っていたというのが正直なところです。以前、エイミー・マンの記事で映画『マグノリア』の監督ポール・トーマス・アンダーソンの恋人がフィオナ・アップルでそのフィオナとエイミーのプロデュースをしていたのがジョン・ブライオンだということを書きました。その程度の知識でした。流行りのポップス系のシンガーだろうぐらいにしか思っていませんでした。
そして今回、ブックオフの100円コーナーでその名前を見つけ、さらに2割引きということで、この値段ならまあいいか、つまらなかったら売ればいいし、と思い購入した次第です。
帰って聴いてみてびっくり。想像とは全く違っていました。
01.On the Bound
02.To Your Love
03.Limp
04.Love Ridden
05.Paper Bag
06.A Mistake
07.Fast as You Can
08.The Way Things Are
09.Get Gone
10.I Know
11.Across the Universe*(Lennon-McCartney)
12.Never Is a Promise (live)*
*日本盤ボーナストラック
主な参加ミュージシャン
フィオナ・アップル vo,piano
マット・チェンバレン ds
ジョナサン・ノートン ds
ジム・ケルトナー ds
マイク・エリゾンド b
グレッグ・コーエン b
パトリック・ウォーレン Chamberlain
ジョン・ブライオン プロデュース、All other instruments
このアルバム、原題が
When the Pawn Hits the Conflicts
He Thinks like a King
What He Knows Throws the Blows
When He Goes to the Fight
And He'll Win the Whole Thing
Fore He Enters the Ring
There's No Body to Batter
When Your Mind Is Your Might
So When You Go Solo.
You Hold Your Own Hand
And Remember That Depth Is the Greatest of Heights
And If You Know Where You Stand.
Then You'll Know Where to Land
And If You Fall It Won't Matter,
Cuz You Know That You're Right
となっていて世界一長いタイトルでギネス世界記録になっているようです。
新谷洋子氏の日本語訳によると
戦場に赴く歩兵は
王様のように考えるの
戦いの中では知識こそがとどめをさせるから
そして彼はリングに上がらずとも
既に勝利を手に入れているわ
知性を武器にしたとき
叩きのめす相手など存在しないのだから
だから独りで歩き出すときには自分を信じて
自分を深めることだけが、頂上へと導いてくれるのだと覚えていなさい
そして自分が何処に立っているかを分かっていれば
何処に向かえばいいかも分かるはず
もしも途中でつまずいたとしても、大したことじゃない
だってあなたの中にこそ"真実"はあるのだから
なにやら只者ではない気配がしてきました。
フィオナは1977年、俳優の父親と歌手の母親のもとに生まれ、姉も歌手という、いわば芸能一家です。小さい頃からピアノを習っていましたが、引込思案で家の中に閉じこもっていることが多かったそうです。さらに強迫性障害もあり、セラピーのお世話になっていたようです。12歳の時にはレイプ被害に遭います。そういった過去が彼女の詩に反映しているのか、歌詞の内容は重く、沈んだもの、反対に攻撃的なものなど一筋縄ではいかない内容となっており、その世界に引きずり込まれます。
1996年にデビューアルバム『ダイタル(Tidal)』が270万枚の大ヒットなります。そして3年後の1999年に、この『真実』がリリースされます。このアルバムも前作ほどではありませんが90万枚を売り上げるヒットとなりました。
歌は決して上手いとは思いませんが、怒りや憎しみのようなものが激しくピアノの鍵盤を叩く姿が想像できるようで、思わず聴き入ってしまいます。
このアルバムも前回のノラ・ジョーンズ同様ジャンルレスでした。ローラ・ニーロを思い出したりしました。
10は恋人のポール・トーマス・アンダーソンに捧げたラブソングです。本人が自分の詩の中で唯一ハッピーエンドが待ってる歌だと言っていますが、そう単純でもなさそうです。