アンドリュー・ゴールド(Andrew Gold)は1951年にカリフォルニア州バーバンクで生まれました。
父親のアーネスト・ゴールドは作曲家で1960年の映画『栄光への脱出』でアカデミー賞を受賞しました。母親は歌手で多くの女優の吹き替えをしていました。
彼は13歳から既に曲を書くようになっていました。そしてケニー・エドワーズ、カーラ・ボノフ、ウェンディ・ウォルドマンと『ブリンドル(Bryndle)』というバンドを結成しました。しかしレコード会社との関係で長く続かず、カーラ・ボノフとウェンディ・ウォルドマンはソロに転向、アンドリューはケニーとバンドを結成します。しかしこのバンドもパットせず、解散。ケニーはリンダ・ロンシュタッドのバックミュージシャンとしての道を得ました。アンドリューの方は1970年の初めごろまでにはマリア・マルダー、ウェンディ・ウォルドマンのレコーディングに参加するようになり、マルチミュージシャンとして、また作曲家としての才能を発揮するようになりました。そしてケニーにリンダを紹介され、大きな転機を迎えました。
1974年にリンダ・ロンシュタッドのアルバム『悪いあなた(Heart Like aWheel)』翌年の『哀しみのプリズナー(Prisoner in Disguise)』に参加し、共にギター、ピアノ、キーボード、ドラム、タンバリン、ヴォーカルで参加しマルチプレイヤーぶりを遺憾なく発揮しました。その他にリタ・クーリッジ、カーリー・サイモン、アート・ガーファンクルなど多くのレコーディングに参加するようになりました。
そして1975年にアサイラムとの契約で自身のソロアルバムを発表しました。『Andrew Gold』です。日本盤のタイトルは『アンドリュー・ゴールド・デビュー』でした。
Side A
1.That's Why I Love You
2.Heartaches in Heartaches
3.Love Hurts
4.A Note from You
5.Resting in Your Arms
Side B
1.I'm a Gambler
2.Endless Flight
3.Hang My Picture Straight
4.Ten Years Behind Me
5.I'm Coming Home
アンドリュー・ゴールドはギター、ピアノ、オルガン、ベース、ドラム、パーカッションまでカバーしました。
その他に
ケニー・エドワーズがベース、ギター、バックヴォーカル
リンダ・ロンシュタッドがバックヴォーカル(A-2,3)
ダン・ダグモアがペダル・スティール
マイク・ボッツとデヴィッド・ケンパがドラム
で参加しています。
プロデュースはチャック・プロトキンです。
A-1のGene Garfinとの共作を除き全曲オリジナルです。
B-3,4はすべてを彼一人でこなしています。
ウェストコーストの香りがプンプンとする爽やかなポップサウンドが満載です。
しかしこのアルバムそのものは大したヒットにはなりませんでした。翌年のセカンドアルバム『What's Wrong with This Picture?』の中の「Lonley Boy」のヒットと1978年のサードアルバム『All This And Heaven Too』の中の「Thank You For Being A Friend」のヒットにより広く認知されるようになりました。
しかし1980年の4枚目のアルバム『Whirlwind』が商業的に失敗しアサイラムとの契約は終了してしまいます。ここでアンドリュー・ゴールドのソロシンガーとしての活動はいったん終了します。
当時、ウェストコーストのシンガーソングライターではジャクソン・ブラウン、J.Dサウザー、ダン・フォーゲルバーグなど続々とデビューし人気を得ていましたが、アンドリュー・ゴールドもその一人でした。
1980年代のアンドリュー・ゴールドは10CCのグラハム・グールドマンに誘われ、『WAX UK』なるバンドを結成し、4枚のアルバムを残しました。
1990年代になるとケニー・エドワーズ、カーラ・ボノフ、ウェンディ・ウォルドマンと『ブリンドル(Bryndle)』を再結成し、2枚のアルバムを残しました。
しかし2011年に心不全で亡くなりました。59歳でした。シンガーソングライターの範疇には収まり切れない多才なマルチプレイヤーでした。
THAT'S WHY I LOVE YOU - ANDREW GOLD
Andrew Gold - Heartaches In Heartaches
Andrew Gold - Resting In Your Arms
それでは今日はこの辺で。