昨日のキネ旬シアターは『エリック・クラプトン 12小節の人生』でした。
監督:リリ・フィニー・ザナック
主演:エリック・クラプトン他
制作:2017年 イギリス
「ギターの神様」、「スローハンド」こと、エリック・クラプトンの人生を綴ったドキュメンタリー映画です。クラプトンのナレーションと関係者のインタビューで進行します。
秘蔵映像が目白押しで垂涎ものです。
登場するのは
マディー・ウォーターズ
デレク・アンド・ザ・ドミノス
ボビー・ウィットロック
ジョージ・ハリソンとパティ・ボイド
など、もうこれだけでお腹いっぱいです。
クラプトンは私がロックへのめり込む引き金にもなったアーティストの一人です。それだけにこの映画は楽しみでした。
ヤードバーズ、ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ、クリーム、ブラインド・フェイス、デレク&ザ・ドミノスそしてソロ時代とそれぞれの楽曲やお宝映像なども満載でファンにはたまりません。
出生の秘密、母親との確執、パディ・ボイドとの許されざる恋、ドラッグ、アルコールに溺れる日々、息子の死などなど、壮絶な人生です。
振り返ってみればクラプトンの人生は苦悩との戦いでした。祖父母に育てられた少年時代。母親の秘密を知らされてから彼の苦悩が始まりました。それをギターとブルースが救ったのです。ギターにのめり込み神様と言われるまでになりましたが、心は満たされませんでした。そんな時に彼の心を奪う女性が現れました。
ジョージ・ハリソンとは親友でした。その妻パティ・ボイドを愛してしまったのです。狂おしいまでの恋でした。そして出来たアルバムが『いとしのレイラ』でした。その思いをを紛らすための薬物そしてアルコール。そして当然中毒症。酒を飲みながらのステージは最悪でした。客との喧嘩や途中で中止するなどは当たり前のこととなります。このまま飲み続ければ間違いなく死が待っているところまで行きました。そしてパティとの結婚も実現しますが、結局はアルコールのせいでうまくいかず破局をむかえます。
しかし、新しい恋人との間に出来た息子が彼を救ったのです。彼は息子を溺愛しました。そしてアル中から立ち直らせたのです。しかしそれもつかの間。その息子がホテルの窓から転落死してしまいます。クラプトンは失意のどん底に陥りました。再びアルコール、薬物かと思われましたが、彼は決心しました。息子のことだけ考えて生きていこうと。そして見事に立ち直ったのです。そして新たな家族に囲まれ幸せな生活を送ることができました。
その後は中毒患者のためのドラッグ更生診療所「クロスロードセンター」設立のために基金を創設したり、「クロスロード・ギター・フェスティバル」の開催など活躍しました。そのフェスティバルでB.B.キングが最大の賛辞をクラプトンに捧げました。B.B.キングなどの黒人ブルースマンに憧れてギターを弾き始めたクラプトンにとってこれほど嬉しいことはなかったでしょう。
息子のことを歌った「ティアーズ・フォー・ヘヴン」を含むアルバム『アンプラグド』はグラミー賞を獲得しました。
ヤードバーズ時代の映像やテレビ出演した映像。それをテレビで観るボブ・ディラン。たぶん『Don't Look Back』の頃だと思います。ジョン・メイオール&ブルース・ブレイカーズ、さらにクリームの映像。ブラインド・フェイスでのスティーヴ・ウィンウッドの映像。オールマン・ブラザースのライヴでのデュアン・オールマンの映像。デレク&ドミノスのカール・レイドルやジム・ゴードン、ボビー・ウィットロックの姿もありました。またビートルズとのレコーディング風景。マディー・ウォーターズとの競演。これらを見られただけでも貴重でした。
そういえばクラプトンが初来日した1974年の武道館での公演ではヨレヨレだったことを思い出しました。
今日の映画はなぜかおばあちゃんたちが多かったのには驚きました。私もおじいちゃんですが、昔クラプトンの女性ファンなどはあまり見かけなかったような気がしましたが、どうしたわけか男性がほとんどいませんでした。不思議です。
あっという間の135分でした。
『エリック・クラプトン~12小節の人生~』特別映像/輝かしい名声と成功にあった、人生の苦悩と悲哀。過去、そして現在、すべてを赤裸々に曝け出す
最愛の息子のために作った歌でした。
Tears In Heaven【訳詞付】- Eric Clapton
それでは今日はこの辺で。