さあて、いよいよキンクスです。
以前の記事でキンクスについては恐れ多くて書けないみたいなことを書きましたが、やはりレイ・デイヴィス先生のことに触れないのではこのブログも意味がありませんので少しだけアルバム紹介という形で書かせてもらいます。
ザ・ビートルズ、ザ・ローリング・ストーンズと並ぶブリティッシュ・ロックの三傑に数えられる『ザ・キンクス(The Kinks)』ですが、イギリス、アメリカにおける評価に比較して日本における評価は前の2つのバンドに比べ不当に低いと言わざるを得ません。
そんなキンクスですが、私の全くの独断でレコード・レーベルによって大雑把に時代を分けてみたいと思います。
1964年~1971年のパイ時代 全盛期
1971年~1976年のRCA時代 混迷期
1977年~1984年のアリスタ時代 復活期
1986年~1994年のロンドン時代以降 終末期
今日は全盛期のパイ時代のアルバムについて取り上げてみたいと思います。なおこの時代はビートルズやストーンズと同様イギリス盤とアメリカ盤ではタイトルも曲目も大分違っています。ここではイギリス盤のアルバム紹介ということにします。
ザ・キンクスの創設メンバーは
レイ・デイヴィス(Raymond Douglas Davis,vo,g)
デイヴ・デイヴィス(David Gordon Russell Davis,g)
ミック・エイヴォリー(Michael Charles Avory,ds)
ピート・クウェイフ(Pete Quaife,b)
です。
レイとデイヴは兄弟です。
ピートは1969年に脱退します。代わりにジョン・ダルトン(John Dalton,b)が加入します。1971年にジョン・ゴスリング(John Gosling,key)が加入します。
パイ時代は以上のメンバー構成です。
『The Kinks』1964年
記念すべきファーストアルバムです。この中から全英1位を記録した「You Realy God Me」が収録されています。この曲は後にヴァン・ヘイレンがカヴァーして大ヒットしています。今聴くとさすがに古めかしいですが、後のガレージやパンクを想起させます。カバー曲が半数近くを占めます。
『Kinda Kinks』1965年
2枚目のシングル全英1位を記録したシングル5曲目の「Tired Of Waiting For You」収録。この曲はアメリカでも6位になりました。この時期としては珍しくオリジナル曲が増えカバーは2曲のみとなりました。この曲はアメリカ盤の『Kinks-Size』に収録。この他に全英2位を記録した「Dancing In The Street」も収録。キンキーサウンドが確立されました。
『The Kink Kontroversy』1965年
大好きな「Till The End Of The Day」を含むサードアルバム。この曲は全英8位を記録します。このアルバムでのカバー曲はスリーピー・ジョン・エスティスの「Milk Cow Blues」1曲になりました。他は全てレイ・デイヴィスの曲です。レイの才能がどんどん開花していきます。このアルバムが初期のキンキーサウンドの最高峰かもしれません。ニッキー・ホプキンス参加。
キンクスにはアルバムに収録されていないシングルが多くあります。それらはベスト盤で味わうしかありません。
『Face To Face』1966年
ロック界初のトータルアルバムと言われた作品です。前作までのブリティッシュ・ビートは影を潜めフォーク・ロックの色彩が濃くなってきました。「Sunny Afternoon」が3曲目の全英1位に輝きました。レイ・デイヴィスの風刺の効いた歌詞にも注目が集まりました。ここからキンクスの快進撃が始まります。なお、このアルバムでは一旦ベースがジョン・ダルトンに代わっています。この後またピートが復活します。ニッキー・ホプキンス参加。
『Something Else By The Kinks』19687
名盤の誉れ高い通算5作目。名曲「Waterloo Sunset」を含みます。その他全英3位の「Death Of A Clown(道化師の死)」「David Watts」などを収録。レイの曲は歌詞、曲と共に益々冴えを見せます。
『Live At Kelvin Hall』1968年
初のライヴアルバム。ヒット曲中心の選曲は申し分ありません。会場の雰囲気からの人気ぶりもよくわかります。しかし、音が悪い。これを何とかして欲しい。もったいないと思うのですが。「Till The End Of The Day」「Sunny Afternoon」「You Realy God Me」など収録。
『The Kinks Are the Village Green Preservation Society』1968年
レイ・デイヴィス渾身の力作。2年を費やして作成されたコンセプトアルバムです。一般的にも最高傑作との評価が多いのですが、商業的には当時としては失敗作となりました。その頃はサイケデリックロックブームでイギリスでのフォークロックはやや分が悪かったのでしょう。それとこれまでのヒット曲志向から転換させるような制作方針が会社側となかなか折り合わなかったようです。当初レイは20曲入りの2枚組アルバムにしようとしたらしいのですが会社と折り合わず、結局15曲になりました。その後CD時代になって未発表だった12曲バージョンや3枚組のデラックス・エディションも発売され、当時未発表だった曲はほぼ網羅されました。当然購入しました。「Village Green」は名曲です。このアルバムではピートとジョンが二人ともレコーディングに参加しています。
『Arthur Or The Decline And Fall Of The British Empire(アーサー、もしくは大英帝国の衰退ならびに滅亡)』1969年
これもコンセプトアルバムです。アーサーとはレイの義理の兄です。第2次世界大戦後の労働者階級の悲哀を描いた作品。レイは一貫して弱者に目を向ける姿勢を貫きます。この中の「Victoria」は通算20枚目のシングルです。全英33位になりました。このアルバムではそれまでのフォークロックからブリティッシュ・ロックへと回帰した音作りになっています。このアルバムの前にピートが正式に脱退し、ジョン・ダルトンが正式加入します。
『Lola Versus Powerman And The Moneygoround, Part One(ローラ対パワーマン、マネーゴーラウンド組-第1回戦)』1970年
これもコンセプトアルバムです。レイの自伝的アルバム。ロックシンガーが成功するも、業界の中での様々なトラブルを自分の経験をもとに表現した作品です。なかでも「Lola」は久々の大ヒットで全英2位を記録しました。その他「Apeman」も収録。
『Percy』1971年
パイ時代最後のアルバム。映画のサウンドトラック。結局映画は上映されませんでしたが。パイとの契約上もう1枚作る必要があったからと理由から作られたらしいです。サントラだけあってインストや静かなフォークロック調の曲が多いですが、中にはきらりと光る「God's Children」なども含まれています。
以上をもってキンクスのパイ時代は終わります。この後RCAに移籍して第1作として傑作の『Muswell Hillbillies』をリリースしてスタートしますが、その後は私感ですが混迷期に入ります。そのあたりのことはまたいずれ書くとします。
the kinks Till The End Of The Day
Sunny Afternoon (Live on A Whole Scene Going, 1966)
The Kinks - Waterloo Sunset (Official Audio)
The Kinks - Village Green (Official Audio)
The Kinks - Lola (Official Audio)
動画もきりがありません。
それでは今日はこの辺で。