イギリスのシンガー、イアン・マシューズ(Ian Matthews)は1946年のイギリス生まれで、1967年にポップ・デュオ、ザ・ピラミッド(The Pyramid)を結成しますが、シングル1枚で鳴かず飛ばずに解散します。1968年にはフェアポート・コンベンションに男性ヴォーカリストとして参加します。ここで、ジュディ・ダイブルやサンディー・デニーとのヴォーカルを分け合いました。
ただフェアポート・コンベンションがイギリスのトラディショナルな音楽に傾倒する方向性と合わずに1969年に話し合いの末脱退します。フェアポート・コンベンションの3枚目のアルバム『Unhalfbricking』の作成途中でした。
そしてその年には初のソロアルバム『Matthews Southern Comfort』をリリースします。ここにはフェアポート・コンベンションのアシュレイ・ハッチングスやサイモン・ニコル、リチャード・トンプソンなども参加しました。この時にバックを務めた連中と意気投合し、このアルバム名をバンド名にして、グループを結成しました。
メンバーはマーク・グリフィス(Mark Griffiths,g)、ゴードン・ハントレー(Gordon Huntley,steel g)、カール・バーンウェル(Carl Barnwell,g)、アンディ・レイ(Andy Leigh,b)、レイ・ダフィ(Ray Duffy,ds)です。
そして同年、正式なバンド名としては初めてになる『Second Spring』がリリースされます。
このアルバム発表のあと、彼等がBBCラジオへの出演時に演奏したジョニ・ミッチェルが書いて、CSN&Yでヒットした「ウッドストック(Woodstock)」が評判を呼び、急遽シングル発売したところまたたく間に全英1位となってしまいました。
1970年にはサードアルバム『Later That Same Year』が発表されます。
Side A
1.Woodstock
2.To Love
3.And Me
4.Tell Me Why
5.My Lady
6.And When She Smiles (She Makes The Sun Shine)
Side B
1.Mare, Take Me Home
2.Sylvie
3.The Brand New Tennessee Waltz
4.For Melanie
5.Road To Ronderlin
プロデュースはイアン・マシューズです。
A-1はご存じジョニ・ミッチェル。ちょっと複雑なのが、この曲日本ではセカンドアルバムに収録されています。そしてこのサードアルバムにも当初は収録されていませんでしたが1971年の再発盤に収録されました。
A-2はキャロル・キング。A-4はニール・ヤング。A-6とB-1がアル・アンダーソン。B-3がジェシ・ウィンチェスター。メンバーのカール・バーンウェルがB-2、4、イアン・マシューズはA-3、5、B5です。
とにかくソフトで悲しげなイアン・マシューズのヴォーカルとメンバーのハーモニーは美しいです。ジョニ・ミッチェルなど取り上げているアーティストを見ればわかるようにアメリカに対する思いが強かったのでしょう。フェアポート・コンベンションの向かった方向とは相いれない音楽性が現れています。
イアン・マシューズは本名イアン・マシューズ・マクドナルドといいます。フェアポート・コンベンションのアルバムクレジットなどを見るとイアン・マクドナルドとなっています。ところがキング・クリムゾンに同じイアン・マクドナルドがいたため、所属事務所から改名を命じられたそうです。
マシューズ・サザン・コンフォートは3枚のアルバムをリリースした後、イアン・マシューズがソロ転向を発表、バンドを去ることになりました。
残ったメンバーはMattewsの名前を切り捨てサザン・コンフォート(Suthern Confort)として再出発をしますが、その後2枚のアルバムをだして解散します。
イアン・マシューズはソロになって1971年に2枚の素晴らしいアルバムを発表しました。『If You Saw Thro' My Eyes』と『Tigers Will Survive』です。特に後者はイアン・マシューズのソロの中で私の一番のお気に入りです。
その後もプレインソング(Plainsong)を結成したり(1枚のみですが傑作です)、ソロアルバムを制作したりと未だに大活躍です。現在71歳、元気です。
Matthews Southern Comfort - Woodstock (1970)
Matthews Southern Comfort - Tell Me Why.wmv
Matthews Southern Comfort "Later That Same Year" (1971/2008).Track 07: "Mare, Take Me Home"
それでは今日はこの辺で。