Flying Skynyrdのブログ

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この人の、この1枚 『ストローブス(The Strawbs)/骨董品(Just a Collection of Antiques and Curios)』

ストローブス(The Strawbs)は1964年にデイヴ・カズンズ(Dave Cousins,g,vo)トニー・フーパー(Tonny Hooper,g,vo)アーサー・フィリップス(Arthur Phillips,mandlin)の3人が結成したストロベリー・ヒル・ボーイズ(Strawberry Hill Boys)がその原点になります。このバンドはフォークやブルーグラスを演奏していました。

まもなくアーサー・フィリップスが抜け、ロン・チェスターマン(Ron Chesterman,b)が加わり、バンド名もストローブスに変更しました。1967年でした。この年に、後にフェアポート・コンベンションのヴォーカリストになるサンディー・デニー(Sandy Denny,vo)が加入します。

そして彼らのファーストアルバムになるはずの『All Our Own Work』がレコーディングされます。しかしこれはレーベルとの契約が折り合わず発売はされませんでした(1973年になってようやく発売)。

サンディー・デニーはバンドを去ります。ストローブスは1968年にA&Mと契約し、翌年の1969年にファーストアルバム『Strawbs』をリリースします。

ここにはニッキー・ホプキンスやジョン・ポール・ジョーンズなども参加していました。

 

翌1970年にはセカンドアルバム『Doragonfly』をリリースします。

ゲストとしてリック・ウェイクマン(Rick Wakeman,p)が参加しています。

 

そして同年、そのリック・ウェイクマンを正式メンバーとして迎えて行われたクイーン・エリザベス・ホールでのライブがレコード化され発売されました。それが『骨董品(Just a Collection of Antiques and Curios)』です。

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Side A

1.Martin Luther King's Dream

2.Antique Suite

  1.The Reaper

  2.We Must Cross The River

  3.Antiques & Curios

  4.Hey, It's Been A Long Time

 

Side B

1.Temperament Of Mind

2.Fingertips

3.Song Of A Sad Little Girl

4.Where Is This Dream Of Your Youth?

 

メンバーにも変更がありロン・チェスターマンが抜け、リチャード・ハドソン(Richard Hudson,ds)ジョン・フォード(John Ford,b)が加入します。

プロデュースは前作同様トニー・ヴィスコンティ(Tony Visconti)です。

 

このアルバム、最初に針を落として1曲目が終わった時に観客の拍手が入るまでライブ・レコーディングだったことを忘れるくらい、静謐な感じがします。全体的にアコースティカルな雰囲気です。

さらにライブ盤なのに曲は新曲ばかりです。という一風変わったレコードです。

A-1はキング牧師のことを歌ったメッセージ性の高い曲。

A-2は4曲の組曲になっています。

A-3はリック・ウェイクマンの曲。リックのピアノソロです。

B-1はインド音楽かと思わせる曲。シタールダルシマーが使われています。

B-2はアコースティック・ギターとピアノが奏でる美しい曲。

B-3はリックのオルガンをフューチャーしたポップな曲。

 

このアルバムが評判を呼びストローブスは一躍人気バンドに躍り出ます。

 

翌年には4枚目のアルバム『魔女の森から(From the Witchwood)』を発表します。

そしてリック・ウェイクマン『イエス(Yes)』参加のためこの後脱退します。

 

代わりにデイヴ・ランバート(Dave Lambert,g,vo)が加入し、エレクトリック路線が始まります。フォークロックからプログレッシブロックへと変わっていきます。

さらにアメリカを意識し、よりポップ化し大ヒットアルバムを連発します。

『Grave New World』『Bursting at the Seams』『Hero and Heroine』『Ghosts』です。

     

特に1975年の『Ghosts』は初の全米50位入りを果たしました。しかし皮肉なことにアメリカナイズされた音楽は本国イギリスでは不評でした。

 

彼らはレコード会社をA&Mからオイスターさらにアリスタへと変更しました。このあたりからは当時流行り出したAOR路線へと向かい始めました。

そしてデイヴ・ランバートがデイヴ・カズンズと衝突、脱退してしまいます。しだいにバンドは方向性を見失いはじめ、1980年には1人でバンドを支えてきたデイヴ・カズンズが脱退してしまい、実質上の消滅となりました。

 

その後、デイヴ・カズンズは盟友トニー・フーパーと再会、リチャード・ハドソン、ジョン・フォードも戻り、新たにメンバーを加え再結成しました。

その後もコンスタントにアルバムを発表し、ライブ活動も行っているようです。

 

ストローブスはブリティッシュ・フォークから始まり、トラッド、フォークロック、プログレッシブ、ポップロックAORと時代の変化にあわせてバンドを運営してきました。その功罪は別として、中心人物であるデイヴ・カズンズの力量は大したものです。

現在73歳。ソロアルバムも数多く出しています。

 


Strawbs - Martin Luther King's Dream (1970)


The Strawbs featuring Rick Wakeman TEMPERAMENT OF MIND 1970 Just A Collection Of Antiques


The Strawbs - Song of a Sad Little Girl

サンディー在籍時の音源を一つ


Sandy Denny & The Strawbs-Who Knows Where The Time Goes-1967

 

それでは今日はこの辺で。