Flying Skynyrdのブログ

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サンディ・デニー(Sandy Denny)とフォザリンゲイ(Fotheringay)

新しい時代の幕開けです。「令和」時代の最初の記事は、これまた敬愛するサンディ・デニーを取り上げます。彼女については以前にも書いていますが、今日は別な一面を見てみたいと思います。

lynyrdburitto.hatenablog.com

1969年、フェアポート・コンヴェンション(Fairport Convention)を脱退したサンディ・デニー(Sandy Denny,vo,g)は当時の恋人で後に結婚するトレヴァー・ルーカス(Trevor Lucas,g,vo)と新たなバンドを結成します。それがフォザリンゲイ(Fotheringay)です。

バンドのメンバーは2人の他に、ジェリー・ドナヒュー(Jerry Donahue,g)パット・ドナルドソン(Pat Donaldson,b,vo)ゲーリーコンウェイ(Jerry Conway,ds)の5人でした。ゲーリーコンウェイトレヴァー・ルーカスとEclectionというバンドで一緒でした。

サンディ・デニージュディ・ダイブルの後任でフェアポート・コンヴェンションに加入し素晴らしい3枚のアルバムを残し、その存在感を遺憾なく発揮しましたが、トラディショナルばかりでなくオリジナル作品を数多く取り上げたいと望み、このフォザリンゲイを結成しました。

そして1970年にファーストアルバム『Fotheringay』を発表しました。

リチャード・トンプソンの夫人リンダ・トンプソン(Linda Thompson,vo)が参加しています。

サンディは全9曲の内、5曲を提供しています。残りはゴードン・ライトフット、ボブ・ディラントレヴァー・ルーカスが1曲、トラディショナルは1曲のみでした。

1曲目の「Nothing More」からいきなりサンディの世界へと引き込まれます。暗く沈んだ静謐なメロディーにサンディのやや掠れた声が見事にマッチして、素晴らしいフォークロックを生み出しています。

ボブ・ディランToo Much of Nothing、ゴードン・ライトフットの「The Way I Feel」のカバーはトレヴァー・ルーカスのヴォーカルはオーストラリア人ですが、いかにもブリティッシュ・フォークロックが似合う朴訥なヴォーカルでホッとします。

しかし、このアルバムは商業的には成功とは呼べませんでした。

 

バンドは続いてセカンドアルバムのレコーディングにかかりますが、資金的な面で結局解散となりました。サンディはソロアルバムの制作、トレヴァーとジェリー・ドナヒュー、ゲーリーコンウェイはフェアポート・コンヴェンションに参加しました。

 

サンディは3枚のソロアルバムを発表した後、1974年にフェアポート・コンヴェンションに再加入し、1975年の『Rising For The Moon』のレコーディングに参加し、その存在感を示します。

 

しかし、1977年に4枚目のソロアルバムを発表した後、1978年4月17日に友人宅での階段からの転落が原因で亡くなります。彼女は躁うつ病アルコール中毒症に悩まされていました。夫のトレヴァー・ルーカスは幼い娘の安全のためオーストラリアに避難していましたが、サンディーが昏睡状態にあると聞いて駆け付けますが間に合いませんでした。

 

これ以降、サンディに関して未発表音源を含むレコード、CDが数多くリリースされました。

そうした中、2008年にフォザリンゲイのセカンドアルバムが編集されリリースされました。アルバム名は『2』です。

既にトレヴァー・ルーカスも亡くなっており、ジェリー・ドナヒューが編集にあたりました。レコーディングされていた曲は数曲ですが、あとはそれまでの音源を寄せ集めて制作されたようです。

この中の曲から彼女のソロアルバムに収められた曲も収録されています。さらにボブ・ディランやデイヴ・カズンズの カバーがあり、サンディのオリジナルは2曲と少ないですが、これはアルバム自体未完成だったことを考えれば仕方ありません。

 

さらに2015年になると『Nothing More』というボックス・セットのコンピレーションが発売されました。当然即買いでした。

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この4枚組コンピレーションはファースト、セカンドにそれぞれデモバージョンなどの未発表音源を付け、DISK3は1970年のロッテルダムとBBCでのライヴ音源です。さらにDISK4のDVDは1970年のドイツのテレビ出演時の映像です。4曲演奏しています。ライヴ音源も音は悪くありません。

これは大満足でした。とにかくサンディ・デニーは40年以上飽きずに聴いているアーティストの一人です。CD時代になってからのフェアポート・コンヴェンションも含め彼女に関するコンピレーションや未発表音源の発売は相当な数にのぼります。私も随分貢献しています。機会があったら紹介していきたいと思います。

 

未発表曲を含むオリジナル盤と編集盤。これ以外にも多数あります。

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今では珍しくなったLPサイズのCD ボックス

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豪華ブックレット

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フェアポート・コンベンションとサンディ・デニーのそれぞれ5枚組ボックス

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サンディ・デニーとフェアポート・コンヴェンションのBBCライヴ音源

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'Nothing More' ~ Fotheringay {Sandy Denny}


Fotheringay-The Pond and the Stream


Late November, Fotheringay

 

それでは新しい時代に期待を寄せて、今日はこの辺で。