ローラ・ニーロの記事を書いていたら、久しぶりにスリー・ドッグ・ナイト(Three Dog Night)の名前を思い出しました。
スリー・ドッグ・ナイトはダニー・ハットン(Danny Hutton,vo)、チャック・ネグロン(Chuck Negron,vo)、コリー・ウェルズ(Corry Wells,vo)という3人のボーカルを擁した変わった編成のバンドで、1967年にこの3人にマイク・アルサップ(Mike Allsup,g)、ジョージ・シェルミー(Joerge Schermie,b)、フロイド・スニード(Floyd Sneed,ds)、ジム・グリーンスプーン(Jim Greenspoon,key)の4人が加わって、ロサンゼルスで結成されました。
1968年にファーストアルバム『Three Dog Night』がリリースされます。
ここからハリー・ニルソンの「One」が全米5位の大ヒットになりました。その他にトラフィック、ビートルズ、ダニー・ウィットン、ランディー・ニューマン、ニール・ヤング、ティム・ハーディンなどをカバーしています。彼等には自作曲というものはあまりありません。カバー曲をどう選ぶかが命綱です。逆に言うとまだまだ無名のソングライターの曲をいち早く取り上げてヒットさせるのが上手でした。それだけ選球眼があったという事でしょう。ニルソンやランディ・ニューマンその恩恵に預かっています。そういう意味からもこのファーストは大成功でした。これで彼らの知名度は一気に上がりました。
1969年、セカンドアルバム『Suitable for Framing』をリリースします。
ここではデイヴ・メイソン、エルトン・ジョン、サム・クック、ローラ・ニーロなどをカバーしています。ここでもいち早くローラ・ニーロの「イーライズ・カミング」を取り上げています。
3作目はライブ盤です。『Captured Live at the Forum』です。1969年発売。
ザ・バンドの曲もカバーしています。これは思い出深いライブ盤です。
1970年には『It Ain't Easy』と『Naturally』の2枚をリリースします。
前者からはランディー・ニューマンの「ママ・トールド・ミー」がヒットします。
後者からはラス・バラードの「ライアー」、ホイト・アクストンの「喜びの世界(Joy To The World)」がヒットします。
またフリーやエルトン・ジョン、トラフィックなどもカバーしています。
1971年には『Harmony』、1972年には『Seven Separate Fools』をそれぞれリリースします。
前者からはポール・ウィリアムスの「An Old Fashioned Love Song」が大ヒット。その他にもスティーヴィー・ワンダー、ジョニ・ミッチェルなどをカバーしています。ホイト・アクストンの「Never Been To Spain」もヒットします。
後者からは「Black And White」が全米1位のヒットとなります。
つづいてライブ盤を挟んで1973年に『Cyan』、1974年に『Hard Rabor』をリリースします。
この前にベーシストのジョージ・シェルミーが退団、代わりにジャック・ライランド(Jack Ryland,b)が加入します。
前者からは「Shambara」が全米3位の大ヒット。「Let Me Serenade You」もヒットします。
後者からはジョン・ハイアットの「Sure as I'm Sittin' Here」、アラン・トゥーサンの「Play Something Sweet (Brickyard Blues) 」、レオ・セイヤ―の「The Show Must Go On」がヒットします。スキップ・プロコップの曲もカバーしてます。
ここまで破竹の勢いで売れまくってきたスリー・ドッグ・ナイトですが、さすがに陰りが見え始めました。
1975年にリリースしたライブを含めた通算11枚目のアルバム『Coming Down Your Way』ではバックに多くのスタジオミュージシャンを起用しました。
このことが原因したのか、人間関係の悪化なのかアルバム発表後にマイク・アルサップ、フロイド・スニード、ジャック・ライランドが次々とバンドを去り、その後もチャック・ネグロンがコカインの不法所持で逮捕、ダニー・ハットンも退団し、残ったのはジム・グリーンスプーン一人になってしまいました。
何とかメンバーを補強して1976年にアルバム『American Pastime』を発表します。
しかしこれはもはやスリー・ドッグ・ナイトではありませんでした。そして当然ながら解散となりました。
1960年代末から70年代前半にかけてビルボードのトップ40に21曲もチャートインさせた驚異のバンドでした。
3人のヴォーカルによるハーモニーの美しさと歯切れのよいバンド演奏は当然の如くヒットチャートを賑わしました。ロックとポップスの中間という位置づけだったと思いますが、中学・高校生の興味を洋楽に向けさせた功績は偉大だったと思います。
チャートインした21曲です。
1969年
One 5位
Try a Little Tenderness 29位
Easy to Be Hard 4位
Eli's Coming 10位
1970年
Celebrate 15位
Mama Told Me Not to Come 1位
Out in the Country 15位
One Man Band 19位
1971年
Joy to the World 1位
Liar 7位
An Old Fashioned Love Song 4位
Never Been to Spain 5位
1972年
The Family of Man 12位
Black and White 1位
Pieces of April 19位
1973年
Shambala 3位
Let Me Serenade You 17位
1974年
The Show Must Go On 4位
Sure As I'm Sittin' Here 16位
Play Something Sweet (Brickyard Blues) 33位
1975年
Till the World Ends 32位
An Old Fashioned Love Song/Three Dog Night
Three Dog Night - The Show Must Go On
それでは今日はこの辺で。