またしても『シェルブールの雨傘』に惹かれて買ってしまったアルバムです。
リナ・ホーン(Lena Horne)と言えばジャズ・ヴォーカリストであり女優でもあります。と言っても彼女は1917年の生まれで、1917年といえばロシア革命が起こった年です。1938年にミュージカル映画でデビューと言いますから、私など知るはずもありません。
それでもアメリカでは4度のグラミー賞受賞など数々の賞を受賞し、多くの映画に出演した超人気スターでした。
彼女はアフリカ系アメリカ人でニューヨークで生まれました。父は3歳の時に蒸発、母は女優で母方の祖父母に育てられました。1933年が初舞台と言いますから16歳の時でした。ジャズ楽団との競演で名前が知れると、1938年にミュージカル映画『The Duke is Tops』でジャズ歌手としてデビューしました。この当時はアフリカ系アメリカ人女性は主役は出来ないという決まりがあったようで、限られて役しかなかったようです。
人種差別反対などの政治活動が目立ち、アメリカ当局からは目を付けられ、アメリカでの活動が制限されたためユダヤ系アメリカ人のジャズ・アーティストとの結婚を機にフランスに渡ります。二人は異人種間結婚として圧力を受けますが1971年の夫の死まで連れ添います。
その後はアメリカに戻りブロードウェイなどで活躍、グラミー賞受賞など輝かしい功績を残しました。2010年に92歳で亡くなりました。
そのリナ・ホーンが1975年にフランスの音楽家ミシェル・ルグラン(Michel Legrand)とコラボレーションしました。ミシェル・ルグランについてはこのブログでも何度か登場していますので詳細は割愛します。
アルバムは『Lena & Michel』です。日本語のタイトルはその名の通り『シェルブールの雨傘 リナ・ホーンとミシェル・ルグラン』です。
01.I Will Wait For You
02.I Got A Name
03. Nobody Knows
04.Being A Woman
05.Let Me Be Your Mirror
06.Loneliness
07.Time In A Bottle
08.Everything That Happens To You, Happens To Me
09.Sad Song
10.I've Been Starting Tomorrow All Of My Life
11.Thank You Love
12.One At A Time
アレンジ・指揮・プロデュースはミシェル・ルグランです。
参加ミュージシャンは
グラディ・テイト(Grady Tate,ds)
コーネル・デュープリー(Cornell Dupree,g)
リチャード・ティー(Richard Tee,organ)
ポール・グリフィン(Paul Griffin.p)
ラルフ・マクドナルド(Ralph MacDonald,perc)
サド・ジョーンズ(Thad Jones,tp)
ジョー・ニューマン(Joe Newman,tp)
アラン・ルービン(Allan Rubin,tp)
ジョン・ファディス(John Faddis,tp)
レイ・ベッケンスタイン(Ray Beckenstein,flute)
など豪華なメンバーが揃いました。
コーネル・デュープリーやリチャード・ティーが参加しているのには驚きです。
01の「シェルブールの雨傘」は力強く、迫力のあるヴォーカルが聴けます。このようなアレンジは珍しく、これもルグランがリナの歌唱力を認めてしたアレンジだと思います。
02と07はジム・クロウチでヒットした曲。2曲も入れるということはよほどジム・クロウチが気に入っていたと思われます。この時は既にジム・クロウチは飛行機事故で亡くなっています。気持ちがこもった歌い方です。
03はルグランの映画音楽主題歌。名曲です。しんみりと、しかし力強く歌っています。
06と09はポール・ウィリアムスとケン・アッシャーの曲。2曲ともポール・ウィリアムスのアルバムに収録されています。
このアルバムはジャズ・ヴォーカルアルバムというよりはいわゆるポピュラー・アルバムに近いものになっています。
Lena Horne - I Will Wait For You
それでは今日はこの辺で。