Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

この人の、この1枚 『バルネ・ウィラン(Barney Wilen)/ French Story with Mal Waldron』

昨日のヤン・ラングレンを書いていて思い出しました。バルネ・ウィラン(Barney Wilen)です。

バルネ・ウィランと言えばあのマイルス・デイヴィスルイ・マル監督のフランス映画死刑台のエレベーターで音楽を担当したときに、地元フランスの若手ジャズミューシャンを募集したときに目を付けられたサックス奏者です。この時若干20歳でした。

バルネ・ウィランは1937年、南フランスのニースで生まれました。戦後パリに出てアメリカの黒人テナー奏者の影響を受けました。戦後ヨーロッパ各地にアメリカのジャズミュージシャンが滞在してジャズを広めたようです。

マイルスに見いだされた後、ロジェ・バディム監督の映画危険な関係でもアート・ブレイキージャズ・メッセンジャーズに加わって演奏し、人気者になりました。

1960年代に入ると低迷期に入ります。そして1980年代に入りカムバックします。そして1989年に日本のレーベル、アルファ・レコードの企画・プロデュースで『French Story with Mal Waldronがリリースされました。日本語タイトルはふらんす物語です。ジャズ・ピアノの巨匠マル・ウォルドロンとの競演盤です。

01.Un Homme Et Une Femme(男と女)

02.Ascenseur Pour L'echafaud(死刑台のエレベーター

03.Les Paraplues De Cherbourg(シェルブールの雨傘

04.Les Liaisons Dangereuses危険な関係のブルース)

05.Black Orpheus(黒いオルフェ

06.Des Femmes Disparaissent(殺られるのテーマ)

07.Autumn Leaves(枯葉)

08.Quiet Temples(クワイエット・テンプル)

 

レコーディング・メンバーは

バルネ・ウィラン(Barney Wilen,ts,ss)

マル・ウォルドロン(Mal Waldron,p)

スタッフォード・ジェイムス(Stafford James,b)

エディー・ムーア(Eddie Moore,ds)

 

プロデュースは木全信(キマタマコト)です。

 

曲目を見ればお分かりの通り映画音楽集です。ヤン・ラングレンを書いていて思い出した理由です。

 

01は有名すぎる映画『男と女』のテーマです。フランシス・レイ作曲です。ジャジーです。

02は『死刑台のエレベーター』です。マイルスのトランペットが頭に入っているので、ちょっと妙な気分です。

03が『シェルブールの雨傘』です。実はこれが目的だったんです。バルネのサックスが抑制的でもう少し攻撃的だったらと思ったりしましたが、曲の背景を考えるとこれでもいいのかと納得したりしました。途中からのマルのピアノソロがいい。

04は映画『危険な関係』のテーマです。ロジェ・バディム監督、ジャンヌ・モロー主演の1959年の映画です。

05は1959年のマルセル・カミュ監督の『黒いオルフェ』のテーマです。映画ではアントニオ・カルロス・ジョビンでした。

06は1959年のフランス・フィルム・ノアールの『殺られる』のテーマ。ローベール・オッセン主役でした。

07は『枯葉』映画音楽というより、シャンソンやジャズで有名。元はイブ・モンタンが映画『夜の門』で歌ったのが始まり。その後キャノンボール・アダレイマイルス・デイヴィスウィントン・ケリーなど多くのジャズミュージシャンに取り上げられました。

08は1965年の映画『マンハッタンの哀愁』のテーマ。マル・ウォルドロン作曲です。

 

こうしてみると映画とジャズは切り離せない存在なのかもしれません。もちろんジャズだけではなくポピュラー音楽、クラシックなど映画には音楽が欠かせません。観ていない映画を音楽だけで楽しむのもいいですが、映画のシーンを思い出しながら聴くというのも、これまた至福の時です。

 

バルネ・ウィランはこの他にも1959年の名演ライブ『Barney』などがあります。ここれはケニー・ドーハムデューク・ジョーダンとの競演盤です。

バルネ・ウィランは1996年、59歳で亡くなりました。

 


Barney Wilen - Les Paraplues de Cherbourg


Barney Wilen with Mal Waldron Ascenseur Pour L'echafaud French Story 2004


Barney Wilen with Mal Waldron Quiet Temples French Story 2004

 

それでは今日はこの辺で。