Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

ニューヨークのため息 『ヘレン・メリル(Helen Merrill)/Helen Merrill』

先日、アレクシス・コールの記事を書いていた時に、久しぶりに「You'd Be So Nice To Come Home To」という曲を聴いて、ヘレン・メリルジュリー・ロンドンを思い出しました。

ということで、今日はこの曲が入ったヘレン・メリル(Helen Merrill)の代表的なアルバムを取り上げてみたいと思います。

ヘレンメリルは1930年、ニューヨークの生まれです。このアルバムがリリースされたのが1955年ですから、私など知る由もありません。初めて聴いたのは学生時代に行ったジャズ喫茶だったと記憶しています。このハスキーヴォイスと演奏に心惹かれました。

ヘレンの父親は船長で、母親に習って歌を覚え、15歳に時にはステージに立っていました。マイルス・デイヴィスチャーリー・パーカーバド・パウエルなど当時の有名ジャズマンの前で歌ったことでジャズに目覚めました。

18歳の時にサックス奏者のアーロン・サクスと結婚、子供も生まれました。長男のアラン・メリルシンガー・ソングライター、ギタリスト、ヴォーカリストで日本のグループサウンズテンプターズ」のドラマー大口広司ウォッカコリンズを結成します。ここにはあのかまやつひろしもいました。アラン・メリルはその後、イギリスでアローズを結成、「I Love Rock 'n' Roll」は世界的なヒットとなりました。

 

その後ヘレンは離婚、1954年に初めてのアルバムを録音します。それがアルバムHelen Merrillでした。今日本ではHelen Merrill With Clifford Brownなどとタイトルがついている時もあります。

f:id:lynyrdburitto:20180914093710j:plain f:id:lynyrdburitto:20180914093729j:plain

 

Side A

1.'S Wonderful

2.You'd Be So Nice To Come Home To

3.What's New

4.Falling In Love With Love

 

Side B

1.Yesterdays

2.Born To Be Blue

3.Don't Explain

 

レコーディング・メンバーは

ヘレン・メリル(Helen Merrill,vo)

クリフォード・ブラウン(Clifford Brown,tp)

オスカー・ペティフォード(Oscar Pettiford,cello,b,on A-3,4,B-1)

ダニー・バンク(Danny Bank,cla,flute,bs)

ジミー・ジョーンズ(Jimmy Jones,p)

バリー・ガルブレイス(Barry Galbraith,g)

ミルト・ヒントン(Milt Hinton,b,on A-1,2,B-2,3)

オシー・ジョンソン(Osie Johnson,ds,on A-1,2,B-2,3)

ボビー・ドナルドソン(Bobby Donaldson,ds,on A-3,4,B-1)

クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones,arranger,conductor)

 

プロデュースはボビー・シャドです。

 

日本盤とアメリカ盤では曲順が違っています。

だれが名付けたのか分かりませんが「ニューヨークのため息」とはよく言ったものです。ハスキーで艶っぽくてたまりませ。日本でいえば青江三奈でしょうか。ちょっと違いますか。

 

お目当ての2曲目「You'd Be So Nice To Come Home To」は絶品です。ヘレンのヴォーカルはもちろんですが、何といってもブラウニーことクリフォード・ブラウンのトランペットでしょう。僅か25歳で亡くなった天才トランぺッターの参加がこのアルバムを名盤に押し上げた一因でもあると思います。このアルバムがリリースされた翌年には交通事故で亡くなっています。

 

さらにクインシー・ジョーンズのアレンジです。彼はブラウニーの親友です。ライオネル・ハンプトン楽団で並んでトランペットを吹いていました。今ではジャズ界は言うに及ばず音楽界の大御所になりました。

 

このアルバムはヘレン・メリルのヴォーカルももちろんですが、ハードバップの演奏がたまりません。

 

ヘレンはその後ドナルド・ブライドンというUPI通信社の総局長と結婚し、日本に定住しました。日本のジャズマン、渡辺貞夫佐藤允彦などとも競演しました。

その後離婚し帰国します。そして音楽界からも引退します。その後再びカムバックして活動したようです。現在88歳です。

 


Helen Merrill with Clifford Brown / You'd Be So Nice To Come Home To


Helen Merrill & Clifford Brown - 1954 - 03 What's New


Clifford Brown - Helen Merrill Don't explain

 

 

Helen Merrill With Clifford Brown (Remastered)

Helen Merrill With Clifford Brown (Remastered)

 

 

 

それでは今日はこの辺で。