私の好きな女性ジャズ・ヴォーカリストの一人、ダイアナ・クラール(Diana Krall)です。
1964年、カナダ生まれのジャズ・ヴォーカリスト&ピアニストです。ロックファンにはエルヴィス・コステロの奥方と言った方が分かり易いかもしれません。
私が彼女に目を付けたのは(変な意味ではありません)、確か1996年の彼女のサードアルバム『All for You:A Dedication to the Nat King Cole Trio』を聴いた頃だったと思います。
故ナット・キング・コールに捧げられたこのアルバムが、大評判になり、グラミー賞にもノミネートされ、ビルボードのジャズチャートの3位まで上がりゴールドディスクになりました。これを聴いた時になんとも艶っぽいヴォーカリストが現れたもんだと感心しました。
それ以後アルバムが出るたびに購入していました。2004年の8枚目のアルバムあたりまでは買っていました。
ダイアナ・クラールはカナダのナナイモというところの音楽一家に生まれました。4歳からピアノを始め、高校生の時にはジャズバンドで演奏していました。17歳になると奨学金でバークリー音楽院に入学し、そして卒業しました。
ナナイモで演奏しているときに有名なベース奏者、レイ・ブラウン(Ray Brown)に出会いロサンゼルス行きを誘われました。ロサンゼルスでは様々な出会いがあり、ヴォーカルも始めました。
そして1993年、ジョン・クレイトン(John Clayton,b)とジョン・ハミルトン(Jeff Hamilton,ds)とのトリオでファーストアルバム『Stepping Out』をリリースします。
これはビルボードのジャズアルバムで3位まで上がります。
そしてこのアルバムがプロデューサーのトミー・リピューマ(Tommy LiPuma)に認められ、セカンドアルバム『Only Trust Your Heart』をリリースします。
ここではレイ・ブラウンが自ら参加しています。その他にクリスチャン・マクブライド(b)、スタンレー・タレンタイン(ts)などが参加しています。
そして冒頭のサードアルバムへとつながります。
1997年に『Love Scenes』がリリースされます。
これはラッセル・マローン(Russell Malone,g)と前作からのクリスチャン・マクブライド(Christian McBride)とのトリオ演奏です。
このアルバムは堂々ビルボード・ジャズチャートの1位に輝きます。プラチナディスクでした。
そして1998年には傑作アルバム『When I Look in Your Eyes』が生まれます。
ジョン・クレイトン、ラッセル・マローン、ジェフ・ハミルトンなどお馴染みのメンバーとジョニー・マンデル(Johnny Mandel)のオーケストラが加わった、スタンダード集です。プロデュースはトミー・リピューマです。
とにかくうっとりするような、ダイアナのヴォーカルとピアノ、それにオーケストラのアレンジ。素晴らしいアルバムです。
グラミー賞受賞、プラチナディスク認定、ビルボードジャズチャート1位など最高の年になりました。
勢いは止まりません。2001年には6枚目のアルバム『The Look of Love』をリリースします。
これまたゴージャスなアルバムになりました。ストリングスも入り、ボサノバもあり、ジュリー・ロンドンが歌った「クライ・ミー・ア・リバー」などはまたまたうっとりです。「べサメムーチョ」の気だるさ。スタンダードの名曲揃いで、夜中ウイスキーを飲みながら聴きたくなります。
2002年には初のライブアルバム『Live in Paris』をリリースします。
パリのオリンピア劇場でのライブです。DVDも出ています。もちろん買いました。このアルバムで2度目のグラミー賞を受賞しました。
2003年にはエルヴィス・コステロとの結婚。以後共に活動するようになりました。
2004年には8枚目のアルバム『The Girl in the Other Room』をリリースします。
コステロとの共作が大半を占めるアルバムになりました。アメリカでもイギリスでもジャズ部門ではチャートの1位、アメリカのビルボードでは全体の4位にまでなりました。
このアルバムでダイアナは初めてソングライティングをしました。それだけコステロの影響は大きかったのでしょう。
トム・ウェイツのカバー、「テンプテーション」は世界ジャズチャートの第1位になりました。
このようにダイアナ・クラールは今やジャズミュージシャンという枠組みでは語れない大物ミュージシャンになってしまいました。
これ以降のダイアナは聴いていませんが、その後6枚ほどリリースしているようです。変わらぬヴォーカル&ピアノを期待しています。
なかなか彼女のアルバムは中古では見つかりません。こまめに探してみましょう。
Diana Krall - Fly Me To The Moon
[Audio] Diana Krall - Desperado
それでは今日はこの辺で。