今日の「聴き比べ」は『セーラー服と機関銃』と『夢の途中』です。
ご存じのようにこの2曲は異名同曲です。小説『セーラー服と機関銃』が角川映画によって映画化されるにあたって、主題歌は来生たかおの『夢の途中』に決まっていたのですが、監督の相米 慎二が主演の薬師丸ひろ子に歌わせると言い出し、来生は降ろされました。これに怒った姉の来生えつこがレコード会社に乗り込みました。レコード会社は来生バージョンもヒットさせるからと説得し落ち着いたのです。
薬師丸ひろ子は1978年の角川映画『野生の証明』でデビューしました。この映画を観た時に薬師丸ひろ子について、なんてかわいい子なんだろう、そしてその輝くような瞳の美しさに驚いたものでした。主演は高倉健さんでした。
その後も角川映画の『戦国自衛隊』などに出演し、1981年『セーラー服と機関銃』に出演したのです。共演は渡瀬恒彦でした。映画の大ヒットと共に主題歌もヒットしました。
作詞:来生えつこ
作曲:来生たかお
さよならは別れの言葉じゃなくて
再び逢うまでの 遠い約束
夢のいた場所に未練残しても
心寒いだけさ
このまま何時間でも抱いていたいけど
ただこのまま 冷たい頬をあたためたいけど
都会は秒刻みのあわただしさ
恋もコンクリートの 篭の中
君がめぐり逢う
愛に疲れたら
きっともどっておいで
愛した男たちを想い出にかえて
いつの日にか 僕のことを想い出すがいい
ただ心の片隅にでも小さくメモして
スーツケースいっぱいにつめこんだ
希望という名の 重い荷物を
君は軽々と
きっと持ち上げて
笑顔見せるだろう
愛した男たちをかがやきに替えて
いつの日にか 僕のことを想い出すがいい
ただ心の片隅にでも小さくメモして
薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」 1stシングル, 1981年11月 [HD 1080p]
一方、ほぼ同時期に発売された来生たかお・バージョンも売れました。当初は無名の来生たかおが売れるかと心配されましたが、薬師丸バージョンとの相乗効果でした。
両者では1番の歌詞が若干違っています。
さよならは別れの言葉じゃなくて
再び逢うまでの遠い約束
現在(いま)を嘆いても 胸を痛めても
ほんの夢の途中
当時夜の街のカラオケでは大流行でした。
薬師丸ひろ子はその後も『探偵物語』や『Wの悲劇』、『ALWAYS 三丁目の夕日』など映画出演も多数、さらにテレビドラマも数多く出演して現在も大活躍です。
来生たかおはこの後もシンガーソングライターとして活躍。特に作曲家として多くのヒット曲を提供しています。桃井かおりの『ねじれたハート』や大橋純子の『シルエット・ロマンス』、中森明菜の『セカンド・ラブ』など来生えつことのコンビでヒット曲を連発しています。
二人にとってその後の大飛躍のきっかけとなった曲でした。
たくさんの人がカバーしていますが、この二人にはかないません。
それでは今日はこの辺で。