今日の「聴き比べ」は『四季の歌』です。
誰でも一度は聴いたことのある歌だと思います。私が最初にこの歌を聴いたのは確か高校生の頃だったと思います。歌手はたぶん年代から推測するといぬいゆみだったと思います。私の伯父が「くだらない歌だ」と言ったのを鮮明に覚えています。なぜ「くだらない」と言ったのか、その理由はわかりません。一度聞こうと思っていましたが、すでに他界してしまいました。
以来、私は特別な感情もなくこの歌を聴き流していましたが、歳を重ねるごとに、歌詞はともかく、メロディに癒されるようになりました。そして多くの人が歌っているのは知っていましたので、ここで「聴き比べ」てみようかと思い、その歴史を調べてみました。
曲が出来たのはなんと1963年から64年でした。作詞・作曲は荒木とよひさです。演歌歌手の神野美伽の元夫です。今では大作詞家です。彼がまだ大学生だった頃、日大のスキー部に所属しており、新潟の妙高高原で合宿中に大腿骨を骨折し、入院していた時に暇を持て余し、作ったのがこの曲でした。当初は「春」の1番だけが出来上がり、面倒を見てくれた看護師たちにプレゼントしました。その後、東京の病院に転院し、2番から5番までを書き上げて、看護師たちに聴かせたところ、これが人伝えに歌われ始め、レコード会社がこれに目を付けレコーディングの話になりました。但し、レコーディングされるまでは作者不明で、レコーディングに際し友人の勧めで荒木とよひさが名乗り出てこれが荒木とよひさのデビューとなりました。
レコーディングでは2社の競作になりました。一人はいぬいゆみ、もう一人は片山知子でした。私が最初に聴いたのが「いぬいゆみ」だと思ったのは、これを聴いて思い出したからです。
四季の歌
作詞・作曲:荒木とよひさ
春を愛する人は 心清き人
すみれの花のような ぼくの友だち
夏を愛する人は 心強き人
岩をくだく波のような ぼくの父親
秋を愛する人は 心深き人
愛を語るハイネのような ぼくの恋人
冬を愛する人は 心広き人
根雪をとかす大地のような ぼくの母親
ラ ララ ララララ……
いぬいゆみ・バージョン
片山知子バージョン
そしてこの歌が全国的に有名になったのはラジオのリクエストがきっかけとなって火が付きました。1976年には歌芹洋子の歌唱がシングル発売され大ヒットになったのです。実は芹洋子はその5年も前からこの歌を持ち歌として歌っていたようです。
芹洋子バージョン
芹洋子は日中文化交流音楽大使を務めており、1981年に中国でこの歌を歌ったところ中国でも大ヒットしたようです。1984年には後に習近平の妻となる彭麗媛と二人でこの歌を歌ったそうです。
これは私も全く知らなかったのですが、この歌には5番があったそうなのです。
「春夏秋冬愛して 僕らは生きている
太陽の光浴びて 明日の世界へ」
この5番を歌っている人はいないようです。
その他にも多くの人が歌っています。
驚いたのは石原裕ちゃんです。
もちろん倍賞千恵子様も歌っています。
四季の歌 Shiki no uta(倍賞千恵子 Baishou Chieko)ローマ字歌詞付き(With Lyrics in Rōmaji)
それでは今日はこの辺で。