原作・監督・脚本:西川美和
製作:2016年 日本
先週、西川美和監督の『すばらしき世界』を観たばかりですが、今週はまた西川監督の『永い言い訳』が再上映されました。西川監督特集らしいです。その他に『ディア・ドクター』も上映されています。これは既に観ていましたのでスルーです。
『永い言い訳』は原作本は読んでいたのですが、映画は見逃していました。内容も忘れかけていましたのでラッキーでした。
あらすじをザックリと。
人気小説家の津村啓(本名:衣笠幸夫(広島カープの鉄人・衣笠祥雄と同姓同名))はある日、妻の夏子が親友の大宮ゆきとバス旅行に出かけるのを見送ります。妻は美容師で結婚生活は20年ですが夫婦間は冷えています。
旅行に出かけた晩に津村は不倫をしていました。翌朝、テレビでバス事故のニュースが流れます。津村はテレビを消しますが、電話がかかってきます。妻がバス事故死んだというのです。親友も一緒でした。
津村は世間に対しては悲劇の主人公を装いますが、悲しみは沸いて来ず、涙も流せませんでした。テレビのインタビューを受けているときに、親友のゆきの夫・陽一が「幸夫君だろ?」と声をかけてきました。
陽一は長距離トラックの運転手をしています。長男の真平と長女の灯との3人暮らしです。妻を亡くし途方に暮れていたのです。津村はこの家族、特に子供たちと関わっていくことで少しずつ心の変化が生まれてくるのですが、ある時、夏子のスマホに残されたメールの下書きを見て愕然とします・・・。
映画と原作は全く別なものとして捉えなければいけないと、ずいぶん以前のブログで書いたことがありましたが、原作者と脚本・監督が同一人物の場合はどうなのだろうと、考えてしまいました。映画の内容はほぼ原作通り(記憶があやふやではありますが)なのですが、どうも主人公の人物像が私の想像と一致しません。これはどうやら西川美和が小説と映画の狙いを変えてきたのではないかと想像するに至りました。小説家・西川美和と映画監督・西川美和は別人格なのだと考えることで納得した次第です。もっとも私の想像力の欠如かもしれませんが。
子供たちがすこぶるかわいくて、とくに灯ちゃんを演じた白鳥玉季ちゃんがかわいかったです。この子はどこかで見たと思って調べてみるとNHKの朝ドラや大河ドラマに出演していました。
髪を伸ばし髭を生やした本木雅弘の風貌は、永い時間をかけて、ようやく妻の愛情に気がつき、許しを請うイエス・キリストのようでした。
大切な人を亡くす喪失感など二度と経験したくない思いつつ・・・・。
それでは今日はこの辺で。