先日のキネ旬シアターは『GUNDA/グンダ』でした。
監督:ヴィクトル・コサコフスキー
エグゼクティブ・プロデューサー:ホアキン・フェニックス
ある農場で暮らす母豚グンダとその子供たちや他の動物たちを撮り続けたドキュメンタリー映画です。ナレーションも音楽も一切ありません。聴こえてくるのは動物たちの鳴き声だけです。映像はモノクロです。
たいした期待もせずに観ましたが、迫りくる映像美に圧倒されました。まさに映像芸術でした。
母豚は生まれたばかりの子豚たちの授乳で大忙し。乳首の数以上いる子豚たちは乳首の取り合いで、まさに戦争状態。そんな親子豚の日常を描き続けます。
おそらく半年以上は撮り続けたのでしょう。子豚も成長し大きくなっていきます。それでも乳首の奪い合いは続きます。
そしてとうとう子豚たちはトラックに詰め込まれ出荷されてしまいます。豚はあくまでも家畜ですから。母豚は狂ったように走り回り、子豚たちを探します。そして去っていったトラックの後を見つめます。それでも落ち着かず歩き回ります。豚小屋を覗いて子豚たちがいないのを何度も確認します。カメラをにらみつけます。それでもまだ歩き続けます。やがて諦めたのか、静かに豚小屋に入ってゆくのです。
画面は真っ黒。そしてエンドロール。
途中でやはり家畜のニワトリと牛たちの行動をカメラは追い続けます。このシーンも美しい。
ラストの母豚の荒れ狂うシーンは感動ものです。それまでのったりとした動きだった母豚が気が狂ったように走り回るのです。家畜とはいえ立派な動物です。その母性本能は他の動物と変わらないのです。
それでは今日はこの辺で。