Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

映画『峠 最後のサムライ』を観る ーキネ旬シアター

先日のキネ旬シアターは『峠 最後のサムライ』でした。

 

原作:司馬遼太郎

監督:小泉堯史

出演:役所広司松たか子、仲代達也、香川京子

製作:2022年  日本

 

司馬遼太郎先生の1968年発表の小説『峠』の映画化です。

映画化は初だとのことです。テレビでは何度かドラマ化されていると思います。印象に残っているのは1977年のNHKの大河ドラマ花神です。主人公は村田蔵六、後の大村益次郎ですが、高橋英樹演ずる河合継之助も登場します。このドラマの原作の一つに『峠』が入っていました。学生時代はなんといっても倒幕派に親近感を持っていたので、幕藩の家老なんて、と思っていましたが、小説を読んでこの人物に対する考えが一気に変わりました。

この司馬先生の『峠』がは発表されると河合継之助の知名度が格段に上がったそうです。小説の力とは凄いものです。

 

河合継之助はご存じの通り、長岡藩の家老で戊辰戦争の中でも熾烈だった北越戦争で新政府軍相手に最後まで戦った男です。小説は長編で河合継之助がまだ家老になる前の人生から始まって、その最期までが書かれてていますが、映画の方はいきなり大政奉還から北越戦争、そしてその死までのストーリーです。

 

あくまでも戦争を回避したい継之助でしたが新政府軍には受け入れられず、戦争に突入。激しい戦いが繰り広げられますが、地方の小藩で新政府軍に対抗するには限度があります。やがて、北越戦争は敗戦、負傷を負った継之助は会津に逃れ、戦いは会津戦争へと突入します。そして会津でその最期を迎えます。

 

 

もう原作を読んでから何十年と経って、忘れてしまっている部分も多く、原作との比較はできませんが、映画版はあの膨大な長編を僅か2時間で描いているため、河合継之助の小説で描かれていた人間的な魅力や戦争に至る歴史描写が少ないため、ちょっと肩透かしを食ったような気がしました。芸者相手に踊るシーンとか必要なの?なんて思ってしまいました。

司馬遼太郎先生の長編は映像化するならやっぱり「大河ドラマ」向きでしょうか。小説と映画を比べてはいけませんが、小説の面白さにはかないませんね。

 

私のブログでも時々登場する高校時代からの友人N.S君が「今、河合継之助のような政治家がいれば日本も少しは良くなっているかも知れないね」と言っていました。私も全く同感です。その友人の時代を見る目の確かさにはいつも感心させられます。中でも「時代の進化は螺旋階段のようなもの」は心にストンと落ちる名言でした。しかもこの名言はなんと40年も前に出たのです。今の時代にもピタリと当てはまるのです。いわゆる先見の明というやつです。

河合継之助を初め維新の傑物たちにはこの時代を読む力があったのですね。

 

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それでは今日はこの辺で。