今日の聴き比べは『初恋』です。
この曲は島崎藤村の詩に若松甲という人が曲をつけたものです。このタイトルは同名異曲が多く、中でも村下孝蔵の『初恋』が有名ですが、この曲とは全く違います。
藤村の処女詩集『若菜集』に収められた詩です。恋愛にも苦悩した藤村の美しい詩です。
私がこの曲を知ったのは舟木一夫さんが1971年に歌ったものでした。これがオリジナルかと思っていましたが、どっこい1963年に小林旭さんが歌っていました。えっ、と思いましたが、考えてみればアキラは『惜別の唄』や『サーカスの唄』なども歌っているので、さもありなんと納得です。
島崎藤村のこの詩は有名なので、私でも知っていました。その詩に曲が付いてるなんて、と思って驚いたのを憶えています。舟木一夫さんはそれまでに『絶唱』や『夕笛』など、戦前の時代を描いた映画の主題歌を歌っていたのでその系統なのでしょう。
そういえば映画『絶唱』は舟木一夫さんの映画の前にアキラ主役で映画化されていました。これまた面白いです。
初恋
作詞:島崎藤村
作曲:若松 甲
まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり
やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり
わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情に酌みしかな
林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ
アキラです。画像は関係ありません。小百合様が写っています。「伊豆の踊子」でしょう。
舟木一夫さん。
それでは今日はこの辺で。