先日のキネ旬シアターは『独裁者』でした。
またまた「フォーエバー・チャップリン~チャールズ・チャップリン映画祭」の続きです。
監督・脚本・製作:チャールズ・チャップリン
出演:チャールズ・チャップリン、ポーレット・ゴダード、ジャック・オーキー
製作:1940年 アメリカ合衆国 1960年 日本初公開
チャップリンの代表作です。初めての完全トーキーです。先日の『モダンタイムズ』に続きユナイテッド・アーティスツ社での6作目です。
この映画ではチャップリンがユダヤ人の床屋とトメニア国の独裁者の一人二役を演じます。トメニア国とは当然ドイツのことで、独裁者とはヒトラーのことですが、あくまでもフィクションという設定です。
映画の公開は1940年ですが、製作は38年頃からだと思います。まさにナチス・ドイツのヒトラーが縦横無尽に世界を席巻していた時代です。アメリカもまだ第2次世界大戦には参加していません。ヨーロッパの各国や南米の親独各国もヒトラーを刺激しないようにこの映画の上映を禁止した国も多かったようです。しかし、チャップリンは敢然と上映を強行したようです。失敗すればチャップリンも破産の恐れもあったようですが、結果は大成功でアカデミー賞にもノミネートされました。
日本での公開は戦後15年も経った1960年でした。なんでこんなに時間がかかったのでしょうか。この年のキネマ旬報ベストテンの1位になりました。
映画は基本ドタバタ喜劇ですが、時折挿入されるユダヤ人迫害の場面や新聞ニュースが現実に引き戻します。そして、ラストの独裁者に間違われて演説することになってしまった床屋の男の6分間にわたる演説が何といってもこの映画の見ものです。人の良い、引っ込み思案の男が大聴衆を前にして自由と平等の価値について熱弁をふるいます。聴衆は歓喜の嵐です。
チャップリンはこの映画の製作時点ではホロコーストの存在は知らなかったようですが、ナチス・ドイツの危うさは十分感じていたのでしょう。この演説文はナチスの軍人への警告だったのでしょう。いっときも早く目を覚ませと。
今なら是非ともロシアのプーチン大統領へ聞かせたい名演説でした。
それでは今日はこの辺で。