Flying Skynyrdのブログ

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映画『君は行く先を知らない』を観る

先日のキネ旬シアターは『君は行く先を知らない』でした。

 

監督・脚本:パナー・パナヒ

出演:モハマド・ハッサン・マージュニ、パンテア・パナヒハ、ヤラン・サルラク

製作:2021年  イラン 2023年  日本公開

 

訳あってイラン国境近くを車で旅する4人家族と一匹の犬のロードムービーです。

 

荒涼としたイラン国境近くの大地を4人家族と一匹の犬が車に乗って旅をしています。後部座席ではまだ幼い次男が大はしゃぎ。足にギプスをはめた父親は悪態をつき、母は昔の流行歌を口ずさみ、長男は無言で運転しています。そうこうしながら一家はやがて国境近くの高原に到着します。

 

何も知らない次男が無邪気にはしゃぐ一方、両親は羊飼いや仮面をかぶった男となにやら交渉します。すると、長男は旅人として村に迎え入れられます。一家の旅にはある目的があったと思われるのですが・・・。

ところが、この一家の旅の目的は最後まで語られませんでした。長男が国外逃亡するというのは国情から考えても十分あり得ますが、その理由については全くわかりません。次男には兄は結婚すると教えますが、結婚するにしては長男は終始浮かない顔をしています。

映画は息子と別れなければならない両親の心の揺れを描いていきます。父親と母親では態度と言葉、表情が異なります。父親は厳しい言葉を投げつけますが、その寂しさはアリアリです。母親は明るく振舞おうとしますが哀しみも溢れています。長男はそんな両親を置き去りにして国外逃亡することに悩んでいる。そして何も知らされていない幼い次男のヤンチャぶりがそんな暗い内容を救っています。

 

久しぶりのイラン映画でした。相変わらずイランの荒野の風景に圧倒されます。



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それでは今日はこの辺で。

 

 

君は行く先を知らない』でした。