「カクタス」は「ヴァニラ・ファッジ」の解散によって、メンバーだったティム・ボガートとカーマイン・アピスがジム・マッカーティーとラスティ・デイを誘って、1970年に結成したアメリカ東海岸のバンドです。
このアルバムは彼らのファーストアルバムになります。以前、ジェフ・ベックの記事で書きましたように、ジェフ・ベックのバンド、第1期ジェフ・ベック・グループが空中分解した後、ジェフ・ベックは「ヴァニラ・ファッジ」のティム・ボガートとカーマイン・アピスとバンドを組むことを切望しました。彼等も同意していました。ところがジェフ・ベックが交通事故に遭い、話は頓挫しました。
やむを得ず彼らは、カクタスを結成したという経緯があったのです。そして1970年、ファーストアルバム『Cactus』がリリースされます。通称「サボテン」です。
Side A
1.Parchman Farm
2.My Lady from South of Detroit
3.Bro. Bill
4.You Can't Judge a Book by the Cover
Side B
1.Let Me Swim
2.No Need to Worry
3.Oleo
4.Feel So Good
メンバー構成。
カーマイン・アピス(Carmine Appice,ds)
ティム・ボガート(Tim Bogert,b)
ラスティ・デイ(Rusty Day,vo.harp)
ジム・マッカーティー(Jim McCarty,g)
A-1とA-4以外は4人の共作、セルフ・プロデュースです。
A-1 モーズ・アリソンの曲。バリバリのアメリカン・ハード・ロックに仕上がっています。彼らの代表曲。
A-2 一転、バラードナンバーです。これもこれでいいです。
A-3 ブルースナンバー。ノリノリです。
A-4 ウィリー・ディクソンのブルースナンバー。ハードロック仕立て。
B-1 ブギロック。
B-2 スローブルース。これは聴きごたえあります。ジム・マッカーティーのギターが冴えます。
B-3 本格的ブルースナンバー。
B-4 途中でカーマイン・アピスのドラムソロが入るハードロック。
このメンバーでサードアルバムまで出しますが、その時点でラスティ・デイが脱退、替わりに「アトミック・ルースター」のヴォーカル、ピーター・フレンチ(Peter French)を加入させ、さらにギタリストのデュアン・ヒッチングス(Duane Hichings)を加えて、4枚目のアルバムをリリースしますが、再びジェフ・ベックとのグループ・結成の話が持ち上がり、カーマイン・アピスとティム・ボガートが脱退、カクタスは解散となります。
ジェフ・ベックと合流した二人は「ベック・ボガート&アピス(BBA)」を結成しますが、結局バンド内のトラブルで1枚で解散します(ライブ・イン・ジャパンは除く)。
その後、ヴァニラ・ファッジの再結成へと向かい、1982年に再結成を果たしました。
一方、カクタスの他のメンバーはラスティ・デイもデュアン・ヒッチングスもそれぞれカクタスの再生を試みますが、続きませんでした。
現在はオリジナルメンバーのカーマイン・アピスとジム・マーカーティーに3人のメンバーを加えて活動しているようです。
ヴァニラ・ファッジ~カクタスは間違いなくアメリカン・ハードロックを代表するバンドでした。
ヴァニラ・ファッジは1960年代後半に人気を博したサイケデリック~ハードロックバンドです。解散までに5枚のアルバムを残していますが、彼等の名をとどろかせたのはなんといってもファーストアルバムからの大ヒット曲「You Keep Me Hangin' On」でしょう。1967年の発売ですが当時としては1曲7分近い曲は珍しかったのです。もともとは「シュープリームス」が歌った大ヒット曲ですが、3分そこそこの曲をスローテンポにした見事なアレンジでロックの歴史の中でも名曲に挙げられるのではないでしょうか。また、ビートルズの「Ticket To Ride」と「Eleanor Rigby」の長尺カバーも知られています。
Cactus - My Lady From South of Detroit (1970)
You Keep Me Hangin' On | Stereo Unedited Version | Vanilla Fudge
それでは今日はこの辺で。