Flying Skynyrdのブログ

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映画 『エヴァの告白』を観る

今日の自宅シアターは『エヴァの告白』です。原題は『The Immigrant』です。

監督:ジェームズ・グレイ

主演:マリオン・コティヤールホアキン・フェニックス、ジェレミー・レナー

制作:アメリカ、フランス、2014年公開(日本)

 

1921年、戦争で両親を殺されたポーランド人のエヴァは妹のマグダと共に叔母を頼ってニューヨークへ移住しようとニューヨークのエリス島までやってきます。ところが入国審査で妹は肺結核の診断で隔離されてしまい、エヴァは叔母が迎えに来ておらず、住所もいい加減だという理由で強制送還されそうになります。

そこに、ブルーノという紳士が通りかかり、職員に賄賂を払い助け出してくれます。ブルーノは親切にも彼女をアパートに連れていき休ませてくれました。そして、働き口もないだろうからと、自分の店で働くようにと勧めます。

しかし、そこはショーなどもやりますが裏では売春もやっていたのです。エヴァは逃げようとしますが行き先もなく止む無く踊り子として働き出しますが、妹を助け出すためには金が必要と、やがては売春に手を染めるようになります。

ブルーノはエヴァを溺愛しますが、エヴァには激しく憎悪されています。エヴァはなんとかここから逃れようと、叔母の家を探し出し会いに行きます。叔母は感激して家に入れてくれますが、義理の叔父が警察に連絡し、エヴァは連行されてしまいます。エリス島で送還を待つ間、妹に合わせて欲しいと頼みますが、それは無理だと言われます。ただ慰問のショーに顔を出すかもしれないと言われ、エヴァもそのショーを観に行きます。妹は現れませんでしたが、そこで出演したマジシャンの男と知り合います。

ブルーノは再び賄賂を使い、エヴァを取り戻します。そして再びエヴァは働き出します。店に先のマジシャンの男オーランドが働きにやってきます。実はブルーノとオーランドは従弟同志だったのです。エヴァとオーランドは互いに惹かれ合うようになります。ブルーノは2人の仲に嫉妬します。

オーランドはブルーノに彼女を自由にしてやれと迫ります。怒ったブルーノははずみでオーランドを殺害してしまいます。そして遺体を山の中に捨ててしまします。殺害現場を目撃した売春婦仲間の女がブルーノにかわいがられているエヴァを嫉妬して、殺害したのはエヴァだと警察に知らせてしまいます。

警察に追われる中、ブルーノは殺したのは自分だ、君は逃げろ、そして何とか金を工面できたらエリス島で会おうと言って警察の目を自分に向けるようにして走り出します。ブルーノは袋叩きに遭い金を捕られます。エヴァは叔母に最後の願いだと金を借ります。叔母は内緒で貸してくれました。

そして、エリス島で再会し、ブルーノは再び職員に賄賂を渡し、妹を連れ出すよう頼みます。

妹を待つ間、ブルーノはカリフォルニアまでの切符を渡し、妹と暮らせといいます。感謝するエヴァに、ブルーノは最初のエリス島で君に目をつけ強制送還されるように仕組んだのは自分だと告白します。自分は人間の屑だ、感謝されるような人間ではないと言い放します。それでもエヴァはあなたは人間の屑じゃないと泣きながらすがります。

そして職員が妹を連れてやってきます。姉妹はしっかりと抱き合いやがてボートに乗って去って行きます。ブルーノはそれを見届けその場を去っていきます。ボートに乗った二人とブルーノの後ろ姿が画面上2分割され、永遠の別れを暗示させ終わります。

エヴァは敬虔なクリスチャンです。教会で自分の罪、売春や盗み、移民船の中で犯されたことなどを告白します。そして自分の罪は決して許されるものではない、私は地獄に落ちると。 この告白をブルーノは陰でこっそりと盗み聞きします。これが最後のブルーノの告白に繋がるのだと思います。好きで好きでたまらない女に売春をさせるという、倒錯した精神状態のブルーノ。片や憎んでも憎んでも離れられない女。そして最後に自分の罪を告白する男、そしてそれを許す女。ブルーノは自分の犯した罪滅ぼしに姉妹を助けました。この映画の主人公は実はブルーノだったのかもしれません。

原題の『移民』は当時のアメリカに移住した外国人の生活の厳しさを現したものなのでしょう。エヴァ姉妹はただただ幸せになりたいと、希望を持ってニューヨークへやってきます。しかし目の前の現実はあまりにも違っていました。オープニングシーンの自由の女神像がはっきり見えないのはそれを暗示していたのでしょう。

ジェームズ・グレイ監督は自分の祖父母の実体験などを基にして脚本を書いたようです。

主演のマリオン・コティヤールアカデミー賞受賞のフランス女優です。先日紹介した『エディットピアフ 愛の賛歌』の主演女優です。この映画でアカデミー賞主演女優賞を獲得しました。途中まで同じ女優が演じているとは思いませんでした。あのエディット・ピアフエヴァが同じ人物だとはどうしても思えません。この映画でも素顔と踊り子の化粧したときの顔の違いに驚きます。さすが女優です。言葉少ない彼女の演技に魅かれました。

 


映画『エヴァの告白』予告編

 

 それでは今日はこの辺で。