ヴィクトリア・ウィリアムス(Victoria Williams)は1958年生まれでアメリカ・ルイジアナ州出身のシンガー・ソングライターです。
1986年にはシンガー・ソングライターのピーター・ケースと結婚し(その後離婚)、1987年にはファーストソロアルバム『Happy Come Home』をリリースします。
ここでは、T-ボーン・バーネットやヴァン・ダイク・パークス、カーラ・ブレイ、アントン・フィアなど多彩なゲストを迎え、独特の唱法で声で独自の世界を展開しました。
続いて1990年にはセカンドアルバム『Swing the Statue!』をリリースします。
アコースティック色が強くなりましたが、ヴィクトリアの世界はますます独自色を強めて行きました。前作ほどの豪華ゲスト陣ではありませんが、スティーヴン・ソールズやウィリアム・ブラザース等が参加しています。
ところが1992年にニール・ヤングのツアーのオープニング・アクトを務めていた時に、彼女は手に麻痺を感じました。ギターを弾くのも困難になってきました。医師の診断の結果、難病の「多発性硬化症」と診断されました。彼女は他のミュージシャン同様健康保険に加入していませんでした。多額の医療費を支払うことが困難になりました。
そこで彼女を知る仲間やミュージシャンが立ち上がり、彼女のためのベネフィットコンサートをニューヨークとロサンゼルスで開催することになりました。
参加ミュージシャンはT-ボーン・バーネット、マリア・マッキー、サム・フィリップス、マイケル・ペン、ジェイホークス、ウィリアム・ブラザース、ルー・リード、エリック・アンダーソン、ジェフ・バックリー、ショーン・コルヴィン、ルシンダ・ウィリアムズ、などなど錚々たるメンバーが参加しました。
これらのメンバーの顔ぶれを見ただけでも、彼女がいかに慕われていたかが伺えます。
そして、続いて企画されたのが、本アルバム『Sweet Relief』の発表です。
このアルバムの収益の一部は彼女が設立した「スウィート・リリーフ・ミュージシャン」基金に贈られ、同じような病気で苦しむミュージシャンの医療費に当てられることになりました。
01.Summer of Drugs - Soul Asylum
02.Main Road - Lucinda William
03.Crazy Mary - Pearl Jam
04.Merry Go Round - Buffulo Tom
05.Weeds - Michael Penn
06.Animal Wild - Shudder to Think
07.Tarbelly and Featherfoot - Lou Reed
08.Opelousas (Sweet Relief) - Maria Mckee
09.This Moment - Matthew Sweet
10.Frying Pan - Evan Dando
11.Lights - Jayhawks
12.Why Look at the Moon - The Waterboys
13.Big Fish - Giant Sand
14.Holy Spirit - Michelle Shocked
各ミュージシャンがヴィクトリア・ウィリアムズの曲をカバーした作品集になっています。
01はソウル・アサイラムです。1983年結成のオルタナバンド。曲はセカンドアルバムから。なかなかのアレンジです。オープニングを飾るにふさわしい曲になっています。ソウル・アサイラムはいつか取り上げようと思いながら、いまだに出来ていません。
02はルシンダ・ウィリアムズです。彼女については先日取り上げました。例によって虚脱感たっぷりに歌い上げます。曲はファーストからです。
03はパール・ジャムです。パール・ジャムについては今更言うことはないでしょう。グランジのスーパースター。ここではヴィクトリアも参加しています。曲は1994年に発表されたアルバム『Loose』に収められた曲です。
04はバッファロー・トムです。アメリカのオルタナ・グランジバンド。このバンドもまだ取り上げていませんでした。その内にと考えています。曲はファーストからです。
05はマイケル・ペン。彼については既に書きました。すぐれたシンガーソングライターです。曲はセカンドアルバムから。
06はシャダー・トゥ・シンク。このバンドのことは良く知りません。クレイグ・ウェドレンが1986年に結成したバンドです。曲はファーストアルバムから。
07はルー・リードです。今更説明の必要もありません。ヴェルヴェット・アンダーグラウンド。
08はマリア・マッキーです。1964年生まれのフォーク・カントリー系のシンガー・ソングライターです。元はローン・ジャスティス(Lone Justice)のボーカルとしてデビューしました。その後ソロに転向。なかなか魅力的なシンガーです。曲はファーストアルバムからです。
09はマシュー・スウィートです。この人についても既に取り上げています。多彩なシンガー・ソングライターでマルチプレイヤーです。曲はセカンドアルバムからです。
10はイヴァン・ダンドゥです。アメリカのオルタナバンド、レモンヘッズの中心メンバーです。レモンヘッズはメンバーチェンジが激しく、イヴァン・ダンドゥが一人で頑張っている状態。曲はファーストアルバムから。アコースティック・ギターの弾き語りです。
11はジェイホークスです。彼らについても既に取り上げました。カントリーロックの貴重な後継者です。曲はファーストアルバムからです。ヴィクトリアはジェイホークスのマーク・オルソンと結婚しますが、その後再び離婚します。
12はウォーターボーイズです。イギリスのフォークロック系のバンドです。曲はセカンドアルバムのオープニングナンバーです。
13はジャイアント・サンドです。1983年結成でキャリアの長いバンドです。一風変わった音楽性です。ヴィクトリアも彼らのアルバムに参加したりして交流も深いです。曲はファーストアルバムからです。
14はミッシェル・ショックトです。1962年生まれのシンガー・ソングライターです。彼女のレコーディングにもおなじみのミュージシャンが数多く参加します。アメリカでは有名人です。曲はセカンドアルバムからです。
なんとも豪華な顔ぶれでした。
この後ヴィクトリア・ウィリアムズは治療に専念しながら、1994年にはアルバム『Loose』を発表します。
今回もスウィート・レリーフに参加したメンバーやヴァン・ダイク・パークスが再び参加するなど豪華なメンバーが揃い、素晴らしいアルバムが出来上がりました。R.E.Mのピーター・バックとマイク・ミルズも参加しました。私個人はこのアルバムが一番のお気に入りかもしれません。
つづいてライブアルバムを挟んで1998年には『Musings of a Creek Dipper』をリリースします。
その後も寡作ではありますが2000年、2002年にアルバムをリリースしました。
近況は聞いておりませんが、いやなニュースには接していないので頑張っている事と思います。
Victoria Williams - Crazy Mary
Victoria Williams - Hitchhikers Smile
Maria McKee - Opelousas (Sweet Relief)
Soul Asylum | Summer Of Drugs | Sweet Relief | Victoria Williams Benefit
それでは今日はこの辺で。